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不死身のヒーロー・ZOMBIEMAN

 子供の頃からヒーローに憧れていた。

 悪者から地球を救う正義のヒーロー。

 撃たれても死なず、強くて優しい。赤いマントを付けて自由に飛び回る姿のカッコ良さったらない。普段は正体を隠し「まさかこの人が!」と周囲に思わせてるからまたシビれちゃう。


 七夕。駅前の笹の葉に「ヒーローになれますように」と書いた短冊を吊るした。大学生にもなって「ヒーロー」なんて可笑しいかもしれないけど僕は本気。スーツアクターのバイトもやって、ヒーローになるための特訓中。これでも僕は子供達からけっこう人気があるんだ。

 しかしその短冊を書いた後、電車に跳ねられた。

 家族や地球、そして子供達を守れなかった事を悔やみながらだんだんと意識が遠のいたのは覚えている。


 目を覚ますと実験室のベッドのような場所に固定されていた。傍に黒い影がぼやけて見える。

「僕…助かった…の?」

「いや。残念ながら君はもう亡くなっている」

 黒い影が男の声で答えた。

「でも喋れるよ! 僕生きてますよ!」

「ちょうど地球担当のヒーローに相応しい者を探していた時に、君が立候補用紙(短冊)を提出したのだ。だから我々が君を秘密裏に再生させたのだよ」

「じゃあ僕、ヒーローになったんですか?」

「そうだ。但し君は普段はこの基地で待機し、有事の時だけ出動するヒーローなのだ。では地球を頼んだぞ、我らがヒーロー!」

 そうして黒い影がすーっと消えてしまった。

 とにかく僕は念願のヒーローになれたんだな。まずは宣言。何があっても地球の平和は僕が守る! これでよし。でもどうやって変身するんだろう。変身しないパターンかな。変身したかったけどな。名前はどうしよう。スーパー…蝙蝠…蜘蛛…飛蝗…まずは鏡で自分の姿を見てからだな。鏡…鏡…。

「ぐぁっ! 何なにナニ!?」

 横を向いたり首を回したり鏡の中の虚像が自分であることを確認…。

「ゾンビじゃん! 僕、継ぎはぎだらけじゃん!」

「ちょっとキカ○ダーみたいかも…いやいやいや、ゾンビだわ! 助けに行ったらどっちが悪者かわからないじゃん! ちょっと撃たれたぐらいじゃ死なないかもだけど、ゾンビじゃん!」

 すると黒い影の声がまた聞こえた。

「頼んだぞゾンビマン!」

「うがごごががぎぎごががが(やっぱりゾンビじゃん)!」

 ゾンビマンは喋れない。黒い影とは念波で話していた。

「ぐぅあががぁがごごおげげぼぁ(地球の子供達、待ってろよ)!」



(993字)

🐈 🐈 🐈 🐈 🐈

 今回は以下の企画に参加させて頂きましたー^^

 普段はゾンビ映画などは苦手な方でして…

 グロい感じの本寸法とは程遠いものですが、楽しく書かせて貰いました。なんか企画と違っていたらゴメンナサイ…。



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