短歌(22/4/23～10/6)

メタリック塗装しただけの軽さが伝わりそうで目を逸らした夜

週間プラモデルの部品は届く 今日で我が子の性別がわかる

「ドーナツはお持ち帰りになりますか。ここで装備していきますか。」

ヒーローが参上した足で踏みしめたシングルマザーの蟻の亡骸

抱くほどにヒトの違いを知る夜に名前の知らない骨がぶつかる

この後はどうする？と聞かれ我が儘を言える女がお好きでしたか 

この後(は2分半程CMの大群が横切りますが)すぐ！

落ちるとは知らんし準備不足だし 不意打ちの春に背けた両目

女には負けたくないとドーピング いつもの朝にピルを足す儀式

ゴキブリさん、きび団子はいかがです？(ホウ酸忍ばす手が震えつつ)

剥製の狸がホールインワンの姿勢で歓声待ち40年

座礁した鯨が前世の者たちの海 シブヤはメルトダウンする

愛してるの響きだけじゃ足りないがスピッツを無欲そうに歌う

団地裏の夜にゆらめくフラフープ ふたり土星になりたかった

ゆっくりと口は開かれ「今日大事な話があってさ」の弾丸

染みついた副流煙も片想いも許してくれる青さだから

未成年者喫煙禁止法を犯す君の寂しさを満たせず

わたしとじゃしあわせにわなれないよ わの口にふとニコチンのかほり

君とじゃなきゃだめだったのに、は立ち昇りウィンストンの煙にまじる

「じゃあいつか面白いことやりましょう」初恋くらい実らない愛

最後にはボタンを託し永遠の校則違反を選んだ先輩