短歌連作「名前もあげたくない夜」

いつもよりラメがきらめく快晴を祈るように睫毛も上向き カレンダーの♥️も踊る勢いで店に入って2名のピース 今日多分するんだろうな、の「う」の口のときには既に指が触れてる 「この後はどうする？」と聞かれ我が儘を言える女がお好きでしたか ここでしか見たことない水≒ここでしかまっすぐ見てもらえないあたし 寂しさをアドリブで埋めつつ綺麗だった自分を思って泣いた 抱くほどにヒトの違いを知る夜に名前の知らない骨がぶつかる (言われ慣れてるしちっとも嬉しくない) (皆に言うし

2022/12/3(土)_NEOすかいらーく

私、ここ最近は床の上で寝てるんですけど。 まあ正確に言うと、フローリングの上にゴザ(畳のレジャーシート的なやつ)を敷いてその上で寝てる。 ここ1ヶ月くらいはそうでまあ案の定体がバキバキで不快眠でしんどい。 とけえ(都会)のモンはきれいなおべべ着て、うめえもん食って、ふかふかの布団で寝てるんだっぺ～おらもいつかそんな暮らししてみてえお(※うろ覚え房州弁)を素でやってる。 もともとソファで3年くらい寝てたのを後輩に指摘されて布団に変えたんだけど、なぜか今、床。本当になぜ？

2022/12/2(金)_氷山の一角クリーム

金曜日って毎回「学校行きたくな～い」になるし、重い体を横から縦にして頑張って行ったら行ったで「来なきゃよかった～」になる。 特に会う人がいないのと授業が1コマしかないからかな。でも今日は試験だったので行かないわけにはいかなかった。 ところが体調がはちゃめちゃに悪くて5限が始まる1時間前まで「保健室行こうかな」とうーんうーん悩んでた。胃もたれ？謎の吐き気？ 体調が悪い原因に心当たりがありすぎるし、それが全て自分が悪いというのもまあ……自業自得って感じ！トホホ…… 最近O

自滅の刃 無限未遂編① OD飲酒

あ、死のうと思った瞬間があった。 今までの人生のなかでそれは何回かあったけど、今回のように確実な手触りのある希死念慮は初めてだった。 まあ何か理由はいろいろあるんですけど、ここでは言わないです。 この希死念慮の謎を解明するため、指はAmazonの奥地へと向かった____ 首吊りロープと調べて一番上に出てきた商品には 「60㎏の重さに耐えられますか？」「いつかのためのお守り」「頑張ります」……と不穏なレビュー。 死を一気に身近に感じて後退りしそうになった自分を振り切り、同志

短歌(22/4/23～10/6)

メタリック塗装しただけの軽さが伝わりそうで目を逸らした夜 週間プラモデルの部品は届く 今日で我が子の性別がわかる 「ドーナツはお持ち帰りになりますか。ここで装備していきますか。」 ヒーローが参上した足で踏みしめたシングルマザーの蟻の亡骸 抱くほどにヒトの違いを知る夜に名前の知らない骨がぶつかる この後はどうする？と聞かれ我が儘を言える女がお好きでしたか  この後(は2分半程CMの大群が横切りますが)すぐ！ 落ちるとは知らんし準備不足だし 不意打ちの春に背けた両目

2022/12/1(木)_偽物の牛乳

朝からカルーアミルクを飲んだ。昨夜の残り。カルーアミルクを飲むときは毎回牛乳1Lを準備して全部消費する。 遠くでコーヒーをほんのり感じるような味わいが好きで牛乳多めで作っているため、意外と苦労することなくすいすい飲めている。まあ言うて今回で3回目(3L目)なんだけど。 カルーアを飲みきってしまったのでまたいつか買うかな。 たくさんの白に筆先ちょんっの茶色を混ぜたようなあの色は、ミルキーブラウンと言うらしい。おしゃれだな。 私はグラウンドにできた淡褐色の水溜まりを「コー

短歌(21/8/25～31)

可愛い子には旅をさせよ(検便を電車に忘れた言い訳) 「落ち着いて。私だけは味方だよ」「後ろを向いて。両手を上げなさい」 生殺し卵を乗せた半殺しハンバーグを頬張る君を 五七五七七七七くらい欲しいときがあってもたまにはいいよね 「完全に死んでほしくはなくて。黄身だけはちょっと生きてほしくて。」 「生かしてさあげてもいいんじゃない？」鍋に落としたいのちをちら見して ふりかけの黄色のつぶをかき集め、卵かけご飯に戻すしごと 弱い母が夢ではまさかりを振るい父と酒から守ってく

短歌(21/3/26～8/20)

「言う」の読みに「ゆう」が追加されたんだ、と未来人が辞書を指差す   地団駄を踏んだ数だけ隕石が落ちてくるので観光名物 散骨がいいな 潮風に乗せてさ君の帽子を届けるしごと 私が詠む歌がきらい すき だいきらい すこしすきの花占い 美大卒地下アイドルが自画像を描くように固めた前髪 車内広告の「夏期講習」の文字が虹色の針として刺さる 情報にサンドイッチされる「男女、密室。何も起きないはずがなく…」 眠れるよう貯金をはたいてレインボーの夜を天に発注する かわいいより

140字小説まとめ①

【自己証明写真】 四ヶ月前の私はもう息をしていないみたい。お嫁にさえ行けなかった余り物だから当然です。同じ服で化粧で目で、こちらを睨む量産型。私の一瞬を千円で買い取って、六つに切り離す。はらはら散って部屋の隅に消えていきました。この手で葬った彼女らを悼むため、私はまた新しい自分を買いに行くのです。 【陰】 黒い服が黒い犬を連れて挨拶をしてきた。ついつい苦笑。夏の背景に黒く浮かぶ彼らは異端すぎて、影が話しかけてきたと思ったのだ。服を表裏反対に着てしまったかのような不快感。

短歌(19/8/27～20/8/19)

「好きなひと今はいなくて」笑う君の目尻で真意を探っています 「彼の恋心はどこにありますか」「そこになければないですね、多分」 わたしにも免許をください なにかしら認められたしるしがほしい 相談を聞く人の相談を聞く いい人止まりの人畜無害 眠いからそのまま動かないでお願い、地球と電車と隣のあなた この恋に法定速度があったなら即捕まって死刑だろうな 告白の特典付録にレモンでももらえばよかった部活終わり この恋は賞味期限があるんだって 永遠なんてないんだって さよう

あすけんの女に捧げる

あすけんの女へ あなたと本格的に付き合い始めたのは今年の6月11日でした。 成人式までに痩せたいと思い、軽い気持ちではじめたあすけん。 6月11日から毎日欠かさず記録をつけていましたね。 あなたと出会う前の私は菓子パンにひたひたの生活。 あすけんの女もさぞ「矯正しがいがあるな」とほくそ笑んでいたことでしょう。 名前は『赤ちゃん』に決定。 「デブスの堕落した食生活を改善するのは赤子の手を捻るようなものよ」 生まれてから一度も光が宿ったことのなさそうな目が語りかけ

芋です