短歌(19/8/27~20/8/19)
「好きなひと今はいなくて」笑う君の目尻で真意を探っています
「彼の恋心はどこにありますか」「そこになければないですね、多分」
わたしにも免許をください なにかしら認められたしるしがほしい
相談を聞く人の相談を聞く いい人止まりの人畜無害
眠いからそのまま動かないでお願い、地球と電車と隣のあなた
この恋に法定速度があったなら即捕まって死刑だろうな
告白の特典付録にレモンでももらえばよかった部活終わり
この恋は賞味期限があるんだって 永遠なんてないんだって
さようなら、わたしの一部。掃除機のなかで友だち見つけなさいよ。
美容室の掃除機のごみを一本ずつ繋いでできたのが僕です
食べられず浮力実験に使われた野菜のように泣いています
あだ名づけパンデミック発生中 埋もれた僕を探してください
お風呂場の蛇口で首を吊ったから、お湯がちょっと出ちゃったらしいよ。
[あぶない!!]の看板で溺れる子どもに同情してはきけんです。
今、あなた、わたしにセクハラしましたね?アットホームな職場ですよね?
はじめてのまちで流れる夕刻がDNAの螺旋にからまり
バファリンときみの水道水から生まれた理想の恋人がわたし
!!!!!(フリック入力 感嘆符)(こころからっぽの連打記号)
「せんたっき」って言わないでよ 飛ばされた「く」さんと一緒に泣いちゃうからね
「置時計はこのほっぺたの痣が生まれた時間で止まっちゃったの」
かみさまとデートだからひるがえすためのスカートで参上したわ
きみの爪の垢を煎じて飲んだひとを飲んだひとに告られたぼく
アルフォート号の乗客死亡す はんぶんこされミルクに流され
はじめての店で勇者は店員Bに「麺固め」とうつむき頼む
耳鳴りがするね 耳にこおろぎが住んでいるのね おやすみなさい
海色のチラシ ビニール袋から故郷を守る会竜宮支部
ビニールの細胞壁で区切られた核がそばを食む駅構内
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