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NO.5 1月 夜は短し駆け出せ青春

ベトナムに渡り4ヶ月が過ぎた。毎日が飛ぶように過ぎていく。うまくいかないリスニングに少しばかりの焦りが生まれている。もともと私は心配性なたちだが、今頃になって楽観的な殻を破り、以前の自分が少し顔を出したような気がする。勉強も大事だが息抜きも必要である。今回は嗜好品についてまとめてみた。大学に提出するレポートでこのテーマは正直いかがなものかと自身の胸に手を当て一度は内省したが、ネタ切れに陥る私に悩んでいる余裕はないと胸から𠮟咤が返ってきたので実行に移すこととなった。本レポートはアルコール・煙草・コーヒーの3章で構成されている(大学のレポートとしてはおよそ最悪)。
今回の題の元ネタは、森見登美彦氏の夜は短し歩けよ乙女。京都の大学生が主人公の学園恋愛小説で、私の敬遠するジャンルであったが彼の文章の面白さ故に愛読書の棚に収まることとなった。個人的に彼の作品で一番好きなのは四畳半神話大系だ。好きなのでベトナムに持ち込んでいる。一文読めばリズムに魅入られ、二文読めば花が咲く。ぜひご一読を。

 アルコール
つい最近得た知識であるが、一日の終わりにアルコールを摂取すると、その日の記憶の定着が阻まれるそうだ。そう聞いて以来アルコールの摂取を控えているので、これを聞く以前に摂取したアルコールをまとめておく。

333ビール alc5,3%
330mlと3にこだわったビール。ビアバーバーバーと発音する。日本のアサヒビール等よりも味が薄い。強い苦味などは少なく、後味にほんのりとビール特有の苦味が残るだけで、少しビール慣れしていれば普通に飲める。日本円で一缶50円ほど。ベトナム人はビールに氷を入れて飲むと聞いていたが、大家さんに呼ばれた週末の食事で、彼らがビールに氷を入れて飲んでいるのを目視した。少し薄いと感じるビールに更に氷を入れる、彼らはそれでいいのだろうか。また、彼らは乾杯が大好きなので、目が合うたびに乾杯をすることになる。酔って言葉に詰まればとりあえずdô(ヨー、乾杯の意)、というのはベトナム人たちの習性であるらしい。


strongbow berry Gold apple alc4,5%
これは後で知ったのだが、ベトナム産というわけではないらしい。若者の間で人気だと友人から聞いた。ジュースに近い甘い酒。ベリー味は少し人工的な甘さを後味に残すが、黄色のアップル味は甘く美味しかった。炭酸の中にほんのり感じる程度のアルコールであるが、それでも日本の缶チューハイ(2〜3%)よりはアルコール度数が高いので、弱い人は注意。

Vang Đà Lạtヴァン・ダラット 375ml alc12%
中部地方のダラットで作られているワイン。700mlの標準サイズもあったのだが、ゴミ出しするときに大家さんに見られるのが恥ずかしいので小瓶を購入。私の羞恥心はいらぬところで働く癖に、肝心な時に作用しないのだが、これは最近の悩みでもある。
赤も白も渋みが少なく飲みやすい。白は冷やして飲んだ。少し薄いような気がする(ワインに長けていればもっといい表現があったかも…)。とてもさっぱりしているが度数は高いので、飲み過ぎには注意。375mlで日本円にして400円程度。
日本で気軽に買うことができる安めのワインは大体の蓋がペットボトルのような蓋だった。そんなに高くないし、これもそうだろうと購入し、夜によし飲もうと開封したとき、コルクを目視した。悔しすぎておとなしく引き下がることが出来なかったのでハサミで開けた。手先は器用である。次の日、スーパーで栓抜きを購入した。順序は完全に逆であった。

rượu nếp alc25%
直訳すると米(nếp)の酒(rượu)である。日本酒のウォッカ割りのような味。個人的には日本酒の方が好き。甘みはほぼなく、アルコール度数は日本酒よりウォッカ寄りだ。後味に独特の風味があって少し苦手だが、量がある。消費に悩んだ挙句、私はコーラ割を編み出した。ペプシコーラが40円で購入できるのだ。うーん、それなりに飲める。オレンジジュース割りやベリージュース割りも試している。まだ半分残っているのだが、今度は緑茶で割ってみることにする。
 煙草
煙草は肺に悪い。副流煙は周りの人間にも害をもたらす。そんなことはわかっている。理解もしているのだ。ということで私は喫煙者である。私が成人した頃には既に、多くの喫煙者たちが小さな喫煙スペースに追いやられたあとだった。そんな喫煙者希少種時代を生きる私が希少種たりうる原因は片思いだった。憧れにも似た、少しでも相手の世界を知りたいという子供っぽい背伸びから、煙草に手を出しはや1年。吸い出してから気付いたが、煙草を嗜む女を好きな男はあまりいない。幸か不幸か彼はまだ、私が喫煙者であることを知らない。私はどうすればいいのか、宙ぶらりんの心はそのまま、ニコチンをとりあえず摂取している。日本から持ち込んだ物が無くなったので現地調達してみた。あまり需要はないだろうが、ベトナムの煙草を紹介する。
ベトナムは喫煙天国である。たばこ税がほとんどなく、1箱100円程度で手に入る。


こちらは少し高めだが、ベトナムの愛煙家に人気の555である。値段は日本円で約160円。日本ではひと箱460円ほどなのでそれでも格安である(今日本じゃ600円だもん!やめちゃった!)。
箱の側面を見ると、British American Tobaccoの文字。イギリス製?アメリカン…?無知なので詳しいことはわからない。
タバコを吸う男性はよく見かけるが、女性は見たことがない。友人曰く、煙草を吸う人は良くない人か低所得者のイメージがあるらしい。女性で煙草を吸う人もほとんどいないそうだ。私も人前では吸わないようにしている(友人には後にバレたが、異文化だと喜ばれた)。
そしてベトナムの煙草には、タール値を示す表記は一切ない。日本では表記が義務付けられているが、ベトナムには無いようだ。吸ってみた感じ、なかなかに重い。吸い過ぎ注意。私が煙草に火をつけるのは、心身が疲労した時、追い詰められた時だけだ。4か月目になれば数箱は開けていると踏んだのだが、思ったより心は健康である。そのため煙草の紹介はひと箱だけとなった。ストレスフリー国、ビバベトナム。
(留学が半年に突入した頃、隣に韓国人の留学生が引っ越してきた。ヘビースモーカーであった彼とベランダで仲良くなった。一緒にビールを飲む約束をしたが、その約束は果たされぬまま私は帰国した。)

 珈琲
そしてタバコとくればコーヒーだ。インスタントコーヒーとタバコの組み合わせは退廃の香りがして大変良い。喫煙スペースに自販機を確認するたびに、商売上手の手玉に取られてしまう。ホーチミンのコーヒーを紹介する。

ベトナムコーヒーは苦味が強いため、人々は練乳を入れて飲む。こちらは練乳入りのコーヒー(cà phê sữa)。コーヒーというより、カフェオレに近い味わいだ。このカフェのコーヒーは、氷もコーヒーでできていた。

これは砂糖を入れたもの。ブラックだと思って飲んだら砂糖が入っていて驚いた。私は甘党だがコーヒーはブラック派なので、コーヒーは家で飲むようになった。

木曜日担当の先生からはいろいろな物を頂く。マンゴーやミカン、グアバにコーヒー。家で淹れるコーヒーは先生の故郷からのお土産だ。無くなったらまた言ってねと言ってくれたが、1キロほどあるので帰国しても無くならないと思う。先生はきっと私が一人暮らしをしていることを失念している。保存方法に悩んでいるのだが、今のところもらったまま、ビニール袋に詰められている。そのうち瓶でも購入して詰め替える予定だ。

以上3章に渡って嗜好品を紹介した。嗜好品は、摂りすぎは体に悪いが少しは息抜きのために必要だ。

番外編
大学へ向かう大通りには、排気ガスで汚れた黄色やピンクの看板がある。日が沈むと目に眩しい電飾が灯る。レストランや貴金属店、スーパーの並ぶ通りだがKhách sạnと書かれた看板がかなり多い。Khách sạnとはホテルという意味だ。旅行客を入れているようには見えない、ローカルの古い建物群。近くには小学校もあり、この通りは通学路でもある。近いうちに一掃されるであろう途上国のいとしき光景である。
ベトナムには、わりと最近まで結婚していない男女が同室に宿泊することを禁じる法律があった。2010年に項目が削除されてから、婚姻前の同棲なども認められるようになった。しかし実際行動する人に中年層~高齢の人々は顔をしかめているし、若者でも良く思っていない人が多いようだ。

来月は旅行記。この留学自体壮大な旅行記だが、さらに移動してみる。ドキドキワクワクの一人旅である。お楽しみに。

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