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NO.9 五月 必然の聖地

 今月は例年より少し早い雨期に突入した。四月までとんでもなく暑く連日クーラーを利用していたため、電気代が通常の二倍に跳ね上がり心臓に悪かったが、五月から少しずつましになってくるだろう。さて今月は予告通り観光地紹介をする。写真も多く載せているので、これからベトナムに来る学生は楽しみをとっておくために見ない方がいい回かもしれない。今回の扉絵は現地で教壇に立っていた時の教材の一部。


 市内編
観光地MAP省略(画像が見つからない!)

① ホーチミン歴史博物館&Hung Kings' Temple
フン王の寺を見たくて訪れたが、すぐ向かいに歴史博物館があったのでついでに入ってみた。フン王の寺は誰でも入れる。中に管理人の男性がいたので撮影可能か聞いたが、自由に撮影していいらしい。目の前のカラフルな祭壇にも目を引かれるが、天井の装飾も非常に美しい。歴史博物館は入場料150円。以前は昼になると一度閉館していたらしいが、今は昼でも入れる。博物館情報によると、ベトナムの仏教はおよそ紀元前二世紀ごろに北と南、二つのルートから入ってきて、インドと中国の影響を受け独自の形に進化したようだ。ベトナム語と英語からの未熟な翻訳なので読み流してほしい。

② 福海寺
仏教の寺。観光地として有名らしく、外国人の姿も多くみられる。中は二階建てで迷路のようになっており、祭壇の前では現地の人々が多く祈りをささげていた。撮影可らしいが現地の人々も多いので邪魔にならないように、人の少ないところだけ撮ってきた。

③ タンディン協会(Nhà thờ Tân Định)
福海寺を見た後歩いて向かった。徒歩30分ほど。私が教会についたのは丁度12時で、建物が見える前に昼を知らせる鐘の音が聞こえてきた。たどり着いた教会は思わず笑ってしまう程のショッキングピンク。炎天下の元慢性の貧血を引きずりながら歩いたせいで、薄い視界に映るピンクはかなり鮮明に記憶に残っている。貧血でなくても、四月は暑いのでこのルートはあまりお勧めしない。

④ サイゴン中央郵便局&ドンコイ通り(Đường Đồng Khởi)
中央郵便局は先月紹介した。郵便局の前には工事中のサイゴン大聖堂がある。その前に伸びているのが土産物店の並ぶドンコイ通りである。アオザイやカゴバックなど何でもある。値段は少し高い、見るだけに留めた。個人的に一番好きなのは、細い道を曲がったところにあるアートアーケードだ。お財布の戦闘力はすでにほぼゼロなので購入はできないが、眺めるだけでも十分楽しい。

⑤ ベンタイン市場(Chợ Bến Thành)
友人に連れられて入った。ここはスリが多いと聞いていたため警戒して近付かなかったのだが、四時くらいの比較的すいている時間に訪れたのでそういった心配はなかった。ベトナムの市場は主に現地で生活する人々のための施設であるが、このベンタイン市場は観光客向けの店が大多数を占めていた。どこかで見たような土産物が所狭しと並び、右も左も店、店、店である。安いよ~、welcome~など日本語も時々聞こえてくる。 

どこか別世界に入り込んだような雰囲気

 市外編
① ミト県
12月15日、大学の催しでミト県にツアーに行った。ホーチミン市内からバスで約二時間半、船でメコン川を遊覧し、ココナッツキャンディの加工工場を見学した。川魚を食べたのもこのツアーが初めての経験だった。ここミト県付近のメコン川は、カンボジアや中国などからの商品をやり取りする流通の場として有名である。付近の市場では鮮魚が多くやり取りされる。先生にチェーをごちそうになったり、日帰りの旅行を堪能した一日だった。 

② クチ県
4月30日、クチ県を訪れた。以前から興味があったベトナムの新興宗教、カオダイ教を見学するためである。市内からバスで三時間。先生とは現地集合だったために公共機関を利用して旅に出た。バスを乗り継ぎ何とか先生と合流、境内に入った。ここクチ県にはカオダイ教の本部がある。広大な敷地に建てられたカラフルな建物。

キリスト教をベースに、仏教や儒教、道教などが融合し、世界各国の歴史人物をも信仰しているという。内装の派手さは写真を見ていただきたい。

この円形の物体がご神体だ。案内してくださった先生も信者だそうで、信者の多くがベジタリアンであるとのこと。
(ベトナムではベジタリアンは珍しくない。自分とは無縁だと思っていたベジタリアン生活、ほぼヴィーガン生活が帰国してから二年以上も続くとは、当時の私は思ってもいなかった。)

この後駆け足でクチトンネルへ。寺からかなり距離があり、ついたころには閉館30分前だった。戦時中に作られた罠や拷問器具が展示されている。ゲリラ戦のためのトンネルには実際に入ることができ、40メートルものトンネルを他の観光客と数珠つなぎになって這った。長身の人間には厳しい姿勢で暗いトンネルをひたすら進んだ。
そしてここクチ県はタピオカが有名なのだそうだ。この日は特に暑く、クチトンネルの後にタピオカが食べられるよと言われていたので心待ちにしていた。汗だくになってトンネルを抜け、さぁタピオカだと思って出てきたのはタピオカのデンプンの方であった(芋)。タピオカの原材料は米粉とデンプンである。漠然とタピオカミルクティーを想像していたために、かなりの衝撃を受けた。確かによく考えれば、戦時中にも食されていた物が製造に時間のかかるあのタピオカのはずがない。ジャングルでデンプンを摂取し、口内環境を乾燥させながら帰路についた。

地下の作戦室

このほかにも、五月中旬には大学主催のツアー予定が一件入っていたり、まだ訪れていない市内の観光地を回る予定である。雨期に入ってしまったので天気と相談しながら、ぼちぼち進めていく。これは余談だが、雨期には雷を伴った雨が降るため、雷の音と光から雨雲の位置を計算し、今いる地点から帰宅できるかどうかを判断するという、日本では使わないスキルを身に着けた。


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