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『エレファント』・覚書

何度か書いてるし、別の話してよ。って思う人もいるかもしれないけど、ごめんなさい。今回も映画です。

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ガス・ヴァン・サント監督の『エレファント(Elephant)』を観ました。

これは、1999年に起きた、コロンバイン高校銃乱射事件という実話をもとにしている作品。この実話をもとって言葉から多くの人が結末を想像することができると思います。わたしもその1人だけれど、長回し、音楽もあまり使わない、セリフも少ない、人物の後ろ姿のショットが多い、実際の高校生を起用していることなどもあってか、淡々と進んでいくけどどこか鬱々としている、とてもリアリティのある日常に緊張感を持ちながら観ていました。80分の中で高校生たちの何気ない日常が悲惨な1日に変わる様が描かれていて、人によっては前置きが長いと感じるかもしれないけど、個人的には無駄がないと思います。

その中で個人的に印象的なシーンがあって、銃撃犯の2人が犯行前にシャワーを浴びるシーンで
「今日死ぬんだよな」
「キスしたことないんだ。お前は?」
って言ってキスをするシーンがあって、不覚にも泣いてしまいそうになりました。あと、キャッチコピーが「キスも知らない17歳が銃の撃ち方は知っている」っていうことを観終わって知って、これもすごくいいなと思ったと同時に、苦しくなりました。被害者側だけではなく加害者側からも同等の視点(いじめのシーンはほんの少しで、背景はほとんどない。本当はもっと複雑な事情らしい。)で描かれていて、感情移入するというより、本当にその日に起こった事実を観ているって感じがしていたから、この苦しさがどう生まれてきたのかはよく分からないけど。最近「死」に対して敏感なのもあるかもしれないです。

ちなみに、監督の作品で『ジェリー(gerry)』『エレファント(Elephant)』『ラストデイズ(LAST DAYS)』の3作品は「死の三部作」と呼ばれていて、日常生活の延長にある死を題材にしているそう。監督の作品は『マイ・プライベート・アイダホ』と『ドラッグストア・カウボーイ』しか観れてないので、いろいろ観ないと。


キャッチコピーからアメリカの銃規制がどうこうというわけではなくて(もちろん考えることも大切だとは思う)、こういう胸の苦しさだとかいいと思った感情を、今日のうちに言葉にしておかないと、忘れてしまいそうで、だからと言ってFilmarksとかTwitterにだらだら書くわけにもいかなくて、ここに書いておこうと思いました。間違いなくわたしの記憶に残る映画です。『エレファント』観てよかったです、観てね。

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