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「出来てない」がなかなか伝わらない生徒さんを持つ先生へ

先日、ピアノのレッスンに行ってきました。ピアノの先生からはいつも、多くのことを学びますが、今回は、「脳内変換」についての話がとてもヒットでした。

生徒さんにできていないことを伝えてもなかなか伝わらない時どう考えるか、どう伝えるかということをここで書いてみたいと思います。

今の先生についてから、一年半ほどになりますが、視点の多さにいつも驚きます。今までの先生からもきっと、同じようなことを言われていたんだと思います。大学の頃の先生に、「あなたは自分が出した音が消えるまで責任持ってる?」と言われたのを覚えています。これもおそらく”脳内変換”してしまってる状態だったからだと思います。でも、ストンと入ったのは今でした。
今ブルグミュラーのやり直しをしています。ブルグミュラーで、色んな技術的なことを教えてもらった後に、「脳内変換が一番やっかいなんだよ」という話を聞きました。

脳内変換=言われたことをやっている(つもり)なので、できていると思い込んでいる状態

という定義でのお話です。

私の生徒さんの例でいうと、言われたことをやってるから、「そこができていない」と言われても、生徒さんにとっては「は?やってるし!」と思うだろうし、「やってても出来てない」と言われると、壁を作られ、さらに話ができない状態になったりすることもあります。

先生にとっては、「出来てない」わけです。おそらく、他の人が聞いても出来てない。でも生徒さんは「言われたことをやっている」つもり。
それなら、それを伝えようとして、「あなた、やってるつもりかもしれないけど、出来てないわよ!」と言っても、素直に、「あ、私はやっているつもりだったのか。じゃぁ本当にやってみよう」なんてことにもならないと思います。更に、「やってたこと」が「やったつもり」なら、どうしたらいいの?ってことにもなると思います。

ここで想うのは、先生と生徒さんの視点のズレです。
先生は「結果」にフォーカスしているけど、生徒さんは、「行動」にフォーカスしています。そこの説明をしないと、生徒さんにとっては???なのです。

〇〇という結果になるといいから、■■をしてみたらどうかな?と思うんだけど、というような言い方にするだけでぐっと変わってくると思います。
もう少し言うと、○○という結果がいいと先生が思う理由、そして、■■をした結果、生徒さんが○○になってるか自分で確かめられるようにしていくことがとても大事な気がします。

○○がいい理由は、例えば楽典的な話だったり、作られた時代の話だったり、ピアノの特性だったり・・・・色々あると思うのですが、まず守らなければいけないことと、生徒さんが決めていい事があると思います。そこまで話が出来たら、自主性もとても育ってくると思います。

■■をお勧めするのはなぜか、ということも触れられたらとてもいいと思います。○○になれば方法なんてなんでもいいのかもしれませんが、あなたにとって■■をやることでやりやすくなるんじゃないかという見立てがあるんだよ、とか、そう言っているけれど、■■じゃないなって思っても大丈夫、あなたが感じることもとても大事だからとか、そんなことを伝えることも大事だと感じます。

そうしていくと、ただ、■■をやることが目標じゃなくて自分で考える力も育つように思います。

そのうえで、○○になったかどうかを確かめることをしていかないと、やったつもりになってしまうのだよ、という話です。

どうやって自分が○○になっているか確かめるのかというと・・・。
ここが一番大事ですが、やっぱり自分の耳で確かめるということが一番なのだと思います。
指の感触、身体の使い方、先生のこうしなさいなどに頼ると、動作をやったかどうかが結果になってしまうことに陥りますが、自分が出した音が思ったように伝わっているかを確認しながら演奏すること、これに尽きると思います。

最初は、スマホで録音してみて、「自分が演奏したと思っている音楽とスマホで録音した音楽が近いかどうか」を確かめてみます。
もちろん、録音した音は音色は実際よりも薄いと思いますが、それでも俯瞰して聴く音と自分が演奏している時に感じてる音の違いを知るに繋がります。
そこが思ってたのと全く違うようであれば、音がほぼ聴けていない、となるのではないでしょうか。

ということで、「出来てない」を伝えるためには、生徒さんと先生の視点のズレを認識して、方法はあくまでも方法であり結果にはならないこと、結果は自分の耳で確かめることが大事ですよ、という、当たり前のようで当たり前ではないことをしっかりやっていくと、生徒さんに出来てないことが伝えやすくなるのかなというお話でした。






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