マンション探しでの忘れられない思い出

最初のマンションを買おうとしたとき、比較対象として中古マンションも検討し、とりあえず予算に合うところをいくつか選んで内見することにした。予算に収まることを最優先に、立地にはこだわらず、同じような広さ・間取りの家を何軒か見学にいくこととなった。

そして迎えた最初の内見の日。駅からはやや距離があり、築年数も経っているが、狭いながらも工夫された間取りに好感を持っていたお部屋だ。居住中とのことなので、最初の挨拶は何と言えばいいかしら、などと考えていたら、仲介の不動産屋さんが「じつはこのお部屋、売主さんが有名な方で…」と言い始めた!ご本人ではなく関係者が住んでますが、と続いたが、一気に高まる野次馬根性。それを察してか、お名前は伏せます、住人の方にも聞かないでくださいね、と不動産屋に釘をさされ、余計なことは言わないように…と自らに言い聞かせながら建物内に足を踏み入れた。

しかし、こちらの自制心などおかまいなく、向こうから「〇〇さんがああでこうで、で、ここは〇〇さんが…」と売主さんのお名前を連呼してくるので、誰なのかすぐにわかってしまった(笑)  〇〇さんは「めっちゃファンだというわけではないけど、その感性に一目置いている人」でした。

結局、駅距離がネックになって購入は見送ったけれど、最初に見に行った物件がこういうものだったことで、自分の選球眼にお墨付きをもらったような気持ちになりました。あの人がいいと思ったものを私もいいと思った。この事実だけで、マンション選びにおける自分の嗅覚・判断基準・引きのよさに自信を持つことができた。それは今に至るまで残る誇らしい記憶です。


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