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読書感想文は知っている

ジメジメしますね。
体のあちこちが痛いです。


最近読んだ本の感想です。

最近読んだ本

ショートショートの花束/阿刀田高

てっきり阿刀田高氏が書いたショートショートだと思って楽しみにお家に帰って
「アレ?違うやん‥素人投稿型やんけー!やられたわ〜」
と思ったけど読んだ。
文学雑誌の素人投稿欄のまとめ本です。
ショートショートなので全体的にブラックユーモア系。
中にはセミプロ(もしかしたら既にプロになった方もいらっしゃるのかも)のような方もいて、玉石混交という感じ。
面白い話は面白いけど
「コレはちょっと無いわぁ‥」というのも。
オチが甘いとか。
何故か日本昔話の「鶴の恩返し」モチーフが多い謎。そして、何故か秀逸な作品も多い鶴の恩返し。
まんまタイトルの「恩返し」は面白かった。そうきたか〜!って感じ。
「鶴子」もヤバい。もう何から何までカオス。

阿刀田高氏は巻末の評価のみ。
やはり星新一がこの企画の元祖だったらしいので、全体的にそんな感じです。
表紙イラストも和田誠。贅沢だ。
言葉遊びあり、SFありetc‥。
私は絶対読まない趣向の本なので、たまには騙されてみるもんかなと。
「ビヘイビァ」って言葉を聞くと「あ、阿刀田高だ」と思う。



通りすがりのあなた/はあちゅう

何かと炎上キャラなこの方。
全盛期の頃は、ファッション雑誌でコラムを持っててなかなか良い事を言う人だなぁと思ってた。
頭が良いのでキレのある事言うイメージ。
好きなブロガーさんがこの著者を一刀両断してて、そこで小説書いてた事を知ったのですが、たまたま図書館にあったので借りました。
タイトルの通り人生で「通りすがり」になった人をテーマにした短編集。

結論を言うと、読破できませんでした

一文が長いので進まない‥。
あと、主人公がハイスペ女子で性格が悪く全く感情移入出来ないので、パナマ留学の途中で挫折。

Amazonレビューの感想を拝借させて頂きました。

残念ながら、私はこの本にとっての
「通りすがりですらなかった読者」
になってしまったようです。



湖は知っている/サンドラ・ブラウン

林 啓恵 訳
湖の近くにある田舎町で以前、強盗があった後、仲間うちで殺人事件があって、未解決のまま20年。
その強盗と殺人事件の犯人とされ、未だに行方不明の男を父に持つ女性が帰省。
20年前の未解決事件がまた動き出すというストーリー。
しかもお腹の中に父親不明の子供がいる。
主人公アーデンの設定がモリモリです。

プロローグが強盗団の話からスタートするので不穏な感じの出だし。
こういう作品にありがちな
「冒頭が苦行レベルにつまらない」
という事が全く無く、最初から最後までサクサク読めた。
ただ、私は何ヵ所かある「濡れ場」がダメでそこは飛ばしました(笑)
割と序盤で20年前の結末と犯人は大方分かってしまったのですが、それでも悪役のラスティがもうクズ過ぎて本当にクソ野郎なので面白かったですね。ラスティのキャラすごい。
アメリカの王道サスペンスもので面白かったです。


トライアングル・ビーチ/林真理子

久しぶり、というかエッセイ以外実は林真理子氏の本はあまり読んだ事がない。
大河ドラマになった『西郷どん』くらいかも。
エッセイは読書を始めたピチピチの25歳くらいの頃、読み漁ってたかなあ‥。
コチラはカテゴリー的には「官能小説」の短編集。
元々はタイトルはまんま『短編集』だったっぽい。
その当時のサブタイトル「官能小説をちょっと‥」というのがこの本のタイトルにピッタリだと思います。そんな感じ。
エロティック全開な官能小説ではなく、その辺の女性(時代的には90年代?)の日常とそれにまつわるセッ◯スの話。
不倫とか2号さんとかそういう系多し。
割と主人公の妄想が半分。
そして、ユーモアがあって笑えます。
冒頭のお正月に帰省する話はちょっと怠い感じですが、徐々に面白くなってくる。
私は伏字が全く分からなかったのですが、アレは何て言ったんだろう‥(笑)
2号さんの話「白いねぎ」辺りからはもうページを捲る手が止められない!
「トライアングル・ビーチ」も面白いけど、最後の「私小説」は林真理子氏の神懸かりな物書き力に惹き込まれる。
この人、女の嫉妬とか愛憎モノを描かせたら右に出る者がいない。
やっぱり林真理子は凄かった‥。


売春島~「最後の桃源郷」渡鹿野島ルポ~/高木瑞穂

“売春島"。三重県志摩市東部の入り組んだ的矢湾に浮かぶ、人口わずか200人ほどの離島、周囲約7キロの小さな渡鹿野島を、人はそう呼ぶ。島内のあちこちに置屋が立ち並び、島民全ての生活が売春で成り立っているとされる、現代ニッポンの桃源郷だ。

この島にはまことしやかに囁かれるさまざまな噂がある。

「警察や取材者を遠ざけるため客は、みな監視されている」「写真を取ることも許されない」「島から泳いで逃げようとした売春婦がいる」「内偵調査に訪れた警察官が、懐柔されて置屋のマスターになった」「売春の実態を調べていた女性ライターが失踪した」……

しかし、時代の流れに取り残されたこの島は現在疲弊し、凋落の一途を辿っている。

Amazonより引用

コチラの書籍はジョーブログさんというYouTuberの方が紹介していて、興味が湧いたので読んでみました。

「売春島」なんて名前を聞くだけで、ヤバすぎですが、本当に性産業で潤ってた島が日本にあるなんて驚き。
今は廃れてバブルの名残を残す廃墟だらけの島に成り果てているようですが、伊勢志摩サミット辺りまではバリバリ稼働してたというのが驚愕。
2017年とかまで全然稼働してたんけー!
離島って日本には多いですが性産業メインでやってた島って激レアですよね。
地元新潟といえば「佐渡島」と「淡島」が離島だけど、どっちも農業と漁業と観光ってイメージ。

渡鹿野島も綺麗な浜(パールビーチ)があるし、離島独特の穏やかな時間の流れを感じられて魅力的ではあるんですよね。
近畿地方の湾って私は大好きです。
海産物も美味しそうだし。

私はあんまりルポって読まないのですが
「風呂敷だけを広げて核心に迫らない」もしくは「引用ばっかりでまとまりが無い」イメージだったんですよね。結論何が言いたいの⁈みたいな。
そんなイメージだったので毛嫌いしていたのですが、コチラはちゃんと順を追って纏まってるし、憶測ばかりではない感じ。
インタビューされてる人によって話が違ったり、矛盾点もあるのですかが、敢えてそのまま書いてあるのでそこを逆に楽しめる。

性産業というのは、女性が苦労してる暗い悲しいイメージですが、娼婦自身が割と楽観的だったというのがこの島の独特な所ですね。

一番「へええ」だったのは巻末の「つたや」系列のビルを購入した男性へのインタビューで
「建物の付帯価値(だったかな?)と固定資産税」の事でした。
目から鱗でしたね。不動産って奥が深い。
ちょろっと新潟の話も出てきたけど、ホント活かしきれてないビルが多くて、なんなの⁇って地元ながら思ってたんだけど、ああいうバブルの残骸は買い手に莫大な固定資産税の請求が来るから迂闊に買えないからなんだね!

とても興味深いルポでした。

今回はこの辺で。
ではまた。

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