マガジンのカバー画像

ギャラリー,イベントで出逢った作品

116
偶然の出逢いも含めた、ギャラリーやイベントで出逢った作品たちを紹介した記事をまとめたマガジンです。
運営しているクリエイター

#休日のすごし方

Atsushi Kaga個展「眠っている猫に触っているとあなたがそこにいるのがわかるような気がするのです。」(-6/1)

 某日。裏原宿から、  外苑西通り方面に歩き、かなり急な階段の先に  その空間はあった。  Atsushi Kaga個展「眠っている猫に触っているとあなたがそこにいるのがわかるような気がするのです。」(~6/1) 6枚の絵が創る世界  「靴を脱いで、上がっていただけます」というギャラリーのスタッフに声をかけていただき、上がりこんでみた。茶室を思わせるような空間に佇む。 小さなものたち  足元には、小さなものたちがいた。  かがんで、目線を落としてみる。  彼

小さな生態系,種を蒔く - [生景-2024](-6/2)

 某日、青山。  華やかな表通りから入った小さな建物に、その小さなギャラリーはあった。 生態系を思わせるインスタレーション  扉を開けると、  そこに広がっていたのは、こんな「世界」。  作家さんの一人が在廊していて、話を聞くことができた。 世界そのものが一つの作品  かぎ針編み、針金造形、陶芸。3人の作家たちが、1つの世界を造り上げる。ラフスケッチもお見せいただいた。  すべて人工物であるのに、生命に満ちた空間だ。  深い森の中にいるような気分になってくる

都会の[よるべ(寄る辺)] -園田 源二郎 @Brillia Art Award大賞展

 某日、京橋。  ふと、この看板が気になって、  中に入ってみた。  2カ所のギャラリーが並んでいて、向かって左のほうでは歴代受賞アーティストのプロフィールや小作品、隣ではインスタレーション的に作品が並んでいて、それぞれのアーティストの世界を創っていた。 「ヨウコソ、ヨウコソ」  そのなかで、一番奥のインスタレーション、  手描きのふしぎな案内に誘われて進むと、その作品はあった。  全体はこんな感じだ。 「クルモノコバマズ」  遠目には、何となく子どもの落書

抽象化された形,その中身 -ススム・カミジョウ個展@MAKI Gallery

 ある休日の午後、@天王洲アイル。  ススム・カミジョウ個展「帰って来たら When You Come Home」(-2024/06/08)@MAKI Gallery(天王洲, 東京) 抽象化で付与される、あたたかさ  ホワイトキューブを贅沢に使った展示空間は、鑑賞用に椅子も用意されていて、心地よい。  プードルは写実的に描いてもかわいらしいと思うけれど、解像度を下げて抽象化され、一本の線に収れんされていくうちに、その線と色塗られた丸みのなかに、かわいらしさが内包され

深い青色,画面から広がる宇宙 -伊藤咲穂[BEGINNING of WORSHIP ‒ First Beheld the Blue ‒]

 伊藤 咲穂 個展「BEGINNING of WORSHIP ‒ First Beheld the Blue ‒」@ Tokyo International Gallery(天王洲)(-2024.5.18) 「青色」の世界へ  作品はすべて青色。白い空間に、青い窓が開いているようにも見える。   距離、角度、光で表情を変える  「⾃⾝で研究を重ねた独⾃の漉き⽅によって⽣まれる錆和紙により、⾃然を想起させる⾊鮮やかな作品を制作する」と、さきの説明にあった。その制作手法

エネルギー,脱皮 -宮本果林 作陶展 [con anima]@銀座 蔦屋書店

 銀座 蔦屋書店で出会った、笠間焼の動物たち。  目を引かれるのは、まるで亀裂のような、その表面だ。 陶の動物に感じる生命、躍動感  彼らのポーズと相まって、非常に大きなエネルギーを内部に得た犀と牡牛が、自らの皮を破り、大きく成長していくような躍動を感じる。  どのように制作されたものなのか? 興味が抑えられなくなってくる。 “心、魂を込めて、生き生きと”  作家による、ステートメント。  “裂文”という手法は、はじめて知った。  最後のところで作家は手を放し

Pop×静寂 -矢入幸一[KoichiYairi 24,♯1]@SAI(Miyashita Park)

 Koichi Yairi 24,♯1@SAI(Miyashita Park)、2/18まで。  渋谷、宮下公園。  いかにも渋谷、な喧騒を離れ、会場へ。  ショップも併設。 会場そのものが1つの作品  展示会場の全貌はこちら。赤い導線の通りに巡ってみよう。  建物の吹き抜けをはさんで向かい合う一対のスペースでは、「史上最強のヒーロー・ジャスティス」の物語が紡がれる。  向かい側からはこんなふうに見えて、この様子そのものも作品のようだ。  矢印に誘導されて、反対

アートによる刺激の面白さ -荒木由香里[Talkative happy colors]@銀座 蔦屋書店

 日曜日の銀座、歩行者天国。 荒木由香里 個展「Talkative happy colors」@銀座 蔦屋書店 インフォメーションカウンター前 (- 02/16) へ。  展示の中で特に目を引いたのは、3足並んだ赤いハイヒール。  近寄って覗き込んでみれば、  そこにはさまざまな物たちが、挿し込まれている。 作家のステートメント  後になってステートメントを読み「なるほど」となったのだけど、わたしが連想したのはこんなことだ。 思わず靴を擬人化して  ハイヒ

弱い彫刻,強い絵画 -安井鷹之介「HOE」@六本木ヒルズ

 冬の快晴、六本木ヒルズ。  この案内に心惹かれて  安井鷹之介「HOE」へ。 彫刻? 絵画?  でこぼこした波が立ったような、立体的な表面が特徴的な絵画。そしてこのように印刷物となったとき、作品の特徴はより強調される。  絵画、いやもしかして彫刻なのだろうか? という疑問がわく。 遠目&間近、両方で楽しめるペインティング  遠目には、まるで点描画のように見えるペインティング。凹凸のある表面は、近寄ってみるとより迫力がある。 防波堤の様子を連想  これらの長

東山 詩織「盾、葉」-総体としての世界は美しい +旅気分の隅田川散策

 東山詩織 個展「盾、葉」(〜11月13日、土日祝のみ、Token Art Center.)に足を運んできた。たまたま読んだ『美術手帖』に作家と作品が紹介されており、とても気になってInstagramをフォローしていた。都内で個展があることを知り、心待ちにしていた。 ■小さな分断の集積を俯瞰  まず、作品と展示風景をランダムに。  急な階段を上がって、2階へ。  2階建ての木造建築をリノベーションして2019年にオープンしたこのギャラリーの雰囲気に、作品たちはよく似合