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ギャラリー,イベントで出逢った作品

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偶然の出逢いも含めた、ギャラリーやイベントで出逢った作品たちを紹介した記事をまとめたマガジンです。
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2024年2月の記事一覧

身体性,関係性とSoh Souen(ソー・ソウエン) -既に終了した2つの展示から

 昨年末と1月に、Soh Souen(ソー・ソウエン)の作品を観た。 「Let us see what you see.」(-2/17)  個展「Let us see what you see.」(-2/17)@銀座 蔦屋書店    展示室に、均等に展示された大きなポートレート。  網がかかったような、または欠けたようにも見えるが、  近づいてみれば、絵を構成しているのはピクセルだ。  貼り絵のようにも見える。  ぼやけたように見えるポートレートのピクセルは、その

群衆,遠吠え -Yu Seto「HOWL」@銀座 蔦屋書店(-2/16)

  遠吠えするオオカミ。  親とおぼしき1頭と、  おそらくは子供たち?  Yu Seto「HOWL」@銀座 蔦屋書店(-2/16)彫刻家・瀬戸優の新作4点。  その等身大の野生動物の姿はリアルで、テラコッタで創造されたものだとわかりながらも、あたたかな血が通い、息づかいが聞こえてくるかのように、感じられてしまう。  遠吠えとは、コミュニケーション。  展示作品の周囲には、こんなふうにカフェに集う人たちがいて、彼らの多くは、スマホやPCの液晶を見ている。  彼ら

開発の再開発 vol.4松平莉奈|3つの絵手本・10歳の欲

 gallery αM@武蔵野美術大学市ヶ谷キャンパス2階。市ヶ谷駅すぐ。  「αMプロジェクト2023-2024 開発の再開発」開催中。  無印良品の入った1階から、階段でギャラリーへ。  開発の再開発 vol.4 松平莉奈|3つの絵手本・10歳の欲(-3/6)  日本画?を思わせる、静けさを感じる画風。  尋常小学図画を挟み込みながら。  不思議な動きと、気になる一瞬を切り取ったような。  リズムを持って展示された作品たちを何度か鑑賞し、最後に作家のメッセージ

手縫いの人形,想い -約5500個の[つるし雛]@京王プラザホテル

 干支の動物たち。  犬 猿 雉  と、くれば桃太郎? とか  かわいらしい、手作りっぽい人形たち。 ホテル空間×つるし雛  これらは何かといえば  つるし雛@京王プラザホテル(新宿)。 素朴さに籠る想い  中央エントランスのほか、ホテルのいろいろな場所に、展示されている。  モチーフは、さきほどの、干支や動物たちのほか、  このように、とてもリアルな花々も。  雛祭り、のイメージからすると、あまりにもさまざまなモチーフにあふれていて、自由さを感じる

エネルギー,脱皮 -宮本果林 作陶展 [con anima]@銀座 蔦屋書店

 銀座 蔦屋書店で出会った、笠間焼の動物たち。  目を引かれるのは、まるで亀裂のような、その表面だ。 陶の動物に感じる生命、躍動感  彼らのポーズと相まって、非常に大きなエネルギーを内部に得た犀と牡牛が、自らの皮を破り、大きく成長していくような躍動を感じる。  どのように制作されたものなのか? 興味が抑えられなくなってくる。 “心、魂を込めて、生き生きと”  作家による、ステートメント。  “裂文”という手法は、はじめて知った。  最後のところで作家は手を放し

Pop×静寂 -矢入幸一[KoichiYairi 24,♯1]@SAI(Miyashita Park)

 Koichi Yairi 24,♯1@SAI(Miyashita Park)、2/18まで。  渋谷、宮下公園。  いかにも渋谷、な喧騒を離れ、会場へ。  ショップも併設。 会場そのものが1つの作品  展示会場の全貌はこちら。赤い導線の通りに巡ってみよう。  建物の吹き抜けをはさんで向かい合う一対のスペースでは、「史上最強のヒーロー・ジャスティス」の物語が紡がれる。  向かい側からはこんなふうに見えて、この様子そのものも作品のようだ。  矢印に誘導されて、反対

行き場を失う視線の先 -佐藤誠高[Reality -Dancing on the Edge-]@銀座 蔦屋書店

 佐藤誠高個展「Reality -Dancing on the Edge-」@銀座 蔦屋書店(-2/14)  まるで目隠しのように、顔を覆われた人の顔。  モノクロ写真への加工? とも思えるが、  近寄って観ると、写真でなく、手法を変えて描いているようだ。 視線の行き場  脳はエネルギー消費が非常に大きいため、できるだけ負担を減らそうとするという。  自分の場合に照らしてみれば、たしかに日常生活のなかで、人の顔を見るときは目を見る。そのほかのディテールは、よほど注

アートによる刺激の面白さ -荒木由香里[Talkative happy colors]@銀座 蔦屋書店

 日曜日の銀座、歩行者天国。   荒木由香里 個展「Talkative happy colors」@銀座 蔦屋書店 インフォメーションカウンター前 (- 02/16) へ。  展示の中で特に目を引いたのは、3足並んだ赤いハイヒール。  近寄って覗き込んでみれば、  そこにはさまざまな物たちが、挿し込まれている。 作家のステートメント  後になってステートメントを読み「なるほど」となったのだけど、わたしが連想したのはこんなことだ。 思わず靴を擬人化して  ハイヒ

立体感とスローモーション -川邉耕一展@日本橋三越本店

 晴天。日本橋。  川邉 耕一 展@日本橋三越本店本館6階美術 アートフレーム&ソリューションズ(-2/6)へ。  「触れないでください」の禁止マークが、もれなく作品隣にあるくらいに多い。ほかの展示物に対してもそうなのかもしれないけれど、作品たちには、たとえ薄く塗られたタッチのものであっても、ふしぎな立体感がある。そう、思わず触れて確かめたくなるような。 「線の浮遊感、表層の存在感」  作家によるステートメントがあった。  浮遊感。  時間の感覚が、突然にずれたよ