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【fami studio】ファミコン風BGM制作 その2 テクニック編

どうも私です。

前回上げたnoteが妙に反響があって驚きました。皆さんも結構ネタが被った経験してるんですかね。

ということで今回は自分が欲しかった『ファミコン風BGM制作における音作り、テクニックまとめ』です。
読み返すとめちゃくちゃマニアックな話になっててしかもめっちゃ長くなってました。でも初心者だった頃の私はこういうのが見たかったので興味がある方のみどうぞ。

基本的に独学なので至らぬ所はあるかもしれませんが悪しからず。

おそらくmmlで曲を作る上でも共通してくるとは思いますが、あくまでfami studio上でのやり方なのでご容赦ください。


■基礎知識編

基本仕様

ファミコンBGMは矩形波2、三角波1、ノイズ(2種)、DPCM、拡張音源(ディスクシステム、コナミやナムコやサンソフト等)からなる。
拡張音源を使わなければ最大3音+ノイズ+DPCMという仕様。

矩形波

拡張音源なしではduty比12.5%25%50%の3種類の音が出せる。
50%が太く12.5%は細く歪んだような音。

三角波

音量調整不可?ビーとかポーというような音

ノイズ

16段階で音程変化ができる。
短周期ノイズ所謂キンキンノイズは初期型ファミコンでは鳴らない

音量

16段階、任意のタイミングで調整可

BPM

ややこしい仕組みだが、ファミコン内部にはBPMを管理する仕組みはなく、60fpsをどう分割するかでBPMを決定する(合ってる?)ので取り得るBPMの数値はある程度限定される。

fami studio内では通常のDAWと同様に視覚化する関係でか、bestなテンポとbetterなテンポがありbestなテンポは更に限定される(150の次は180まで飛ぶ)

betterなテンポだとbeatが一律ではなくなるらしいのだが、確かにそんな気もするし、そこまで気にならない気もする。誰か詳しい人に教えてほしい。

DPCM

サンプリング音源。音量調整不可。
ドラム関連として扱われることが多かったが、ベースやボイスとしても使われる。

質は低いがそれがまたファミコンの味になっているので、自分で作るとなったら再現が大変かもしれない。

fami studioではオリジナルのサンプリング音源を作れるっぽい。やってないから詳しい話はわからん。

■音作り編

ただ矩形波をそのまま鳴らすだけだとファミコン初期の様なシンプルな音になってしまうので、如何にチープさを消しキレイに鳴らすかが大事になる。

楽器を想定して近づけるか、なんとなく良い音を探すのかはお好みで。自分はバンド編成以外の楽器に明るくないのでなんとなくやっている。

fami studioはNSFファイルの入出力が可能なので、気になるゲームのNSFファイルがあれば取り込んでみて、音作り見てみるととても勉強になる。

・ビブラート

なんと言ってもいちばん大事なビブラート。これがあるだけで大分表情豊かになると思う。
ピッチを上下させることで可能。深さ長さも段階的に調整可。

・音量ビブラート

音量を上下させればよい。

・クレッシェンド

音量を調整し音の立ち上がりをゆっくりにする。
これまたやるだけで豊かになる大事な技術。

・デチューン

2トラックで同じ音程を鳴らす場合、完全な同位相になるのを防ぐためピッチを僅かにずらす技術。
ディレイやダブリングの際によく用いる

・ディレイ

2トラックディレイと1トラックディレイがある。

2トラックディレイはそのまんま同じフレーズを音を小さめにしてずらしてやるだけ。ズレを小さくするならデチューンしてやるとよい。

1トラックディレイも更に二種類に分かれる。

1つは単音アルペジオ等で、間に前の音を鳴らす王道的ディレイ。

グラⅡの例 王道的ディレイ

もう1つフレーズの終わりに残響音的に前の音を鳴らし、擬似的にディレイ感を演出する方法。

シャッターハンドの例 真ん中のC3はディレイが設置されていない

・ダブリング

2トラックで同じ音程を鳴らすこと。duty比を変えていても干渉があるためデチューンしたほうが良さそう。
片方の音を小さくし、ピッチを2〜5くらいずらすとコーラス感がでる。

・高速アルペジオ

高速で音を切り替えることによってコード感や、音に厚みを持たせる技。(ドラクエ3 勇者の挑戦、レッキングクルーゴールドハンマー等)
個人的には意外と使い所が難しい。

シルバーサーファーの例 fami studioではアルペジオも設定して保存できる


・duty比切り替え

音の最初や特定のタイミングでduty比を切り替えることで、通常と異なる音色が得られる。

近年のチップチューンでよく用いられる気もするが、昔からあった。(グラディウスⅡ、ドラクエ4ジプシーの旅等)

特に最初の数音のduty比を変えるだけでかなり音の雰囲気は変わるので、意外と音作りの幅は広い。

・ゆらぎ

ゲームによってはピッチが0と1or-1の間だったりそれ以上の幅で、ゆらぎながら鳴っているものがある。
おそらくピッチがゆらぐことで打ち込み感を減らしたいのだと思われる。

グラⅡの例 音階によって規則的にピッチをずらしている
ついでにDuty比も切り替えも

一定の音階だけずらしていたり(キー依存?)、不規則に見えたり、高音の時は上がりきらないようにしたりと基準はゲームによって様々だが、この違いがどれほどの差になるかまではわからない。
誰かわかる人いたら教えてくだせえ。

どちらにせよ手付けで一個一個ピッチを調整するのはfami studio的には中々酷な作業なので、拘るなら中々大変。でもプロは細部まで拘るんすよねぇ。

・ギターっぽい音色

色々なゲームでギターを再現しようという曲があるが個人的に凄いと思うのがMOTHERとシルバーサーファー。

MOTHERはクリーン〜クランチ系ギターを完全再現してると言える。とくにチョーキングのチョーキング感は凄い。

チョーキング部 Duty0で細かなピッチ調整

シルバーサーファーでは歪み系の高速ブリッジミュートがある。
fami studio的に言うとアルペジオの設定から2音目だけ12個上の音を鳴らすことでピッキングノイズのような音になる。

シルバーサーファーのピッキングノイズの様な音


・音を切る、切らないという選択

基本的に三音しか鳴らない音源で、主旋律の音が切れたらどうするのかという話。

音を切ったら副旋律に移行したり、バッキングを重ねたり、逆に何も鳴らさない事でシンプルな音にしたりと、色んな選択肢がある。
が、ことファミコンBGMでは音を切らないという選択肢もある。

本来音を切るタイミングで、音量を小さく鳴らし続けることでリバーブ感が得られ、音が薄くなることを避けられる。(MOTHER OP等)

MOTHER OP冒頭のアルペジオ、例として挙げたけどもっと適切なやつがある気がする


・カービィ的音作り

ファミコンBGMを学んでから聴くと、訳分かんない鳴り方してる事が多々ある夢の泉だが、基本的に矩形波をベースにあてて(頭だけduty比を切り替え)、三角波でチャカポコしている事が多い。

無敵BGMの主旋律のハモってるような独特な響は、ピッチの0〜1間を16分で揺らぐことで出来ている。

無敵BGMの終わりの高音部


・あえてピッチをずらす

あえてやや大きめにピッチをずらすことで違和感だったり、独特な雰囲気を出したりする。

MOTHERのマジカントなんかはベースのピッチをずらすことで独特な浮遊感を出している。

またテクノスジャパン作品ではピッチをやや大きめ(主旋律で常に3〜6くらい)にずらすことで、一発聴いただけで「これはテクノスジャパンだな」とわかるような強烈な個性になっている。

・音量調整

やはり拘る会社は音量調整にも拘る。
プリセットの楽器を作って使い回すだけではなく、フレーズ単位で音量調整をしたほうがきっとクオリティは上がる。

でもめんどくさいんだなぁこれが。やるならミックス的に最終段階でやるものかも。
fami studioでは作った楽器の音量を下げることは出来ても上げることは出来ないので、その辺の設定は悩みどころである。

グラⅡの例 基本の音量+細かく強弱をつけている


■ドラム音作り編

基本的に音量と音階の変化でドラムっぽい音を作る。

中期以降はDPCMでドラムを厚くするソフトが増えており、ノイズのみでドラムを再現するのは中々大変だということが分かる。
有名所で後期までノイズのみでドラムを鳴らしてたソフトだとロックマンを始めとしたカプコン。

ゲーム内ではSEにノイズが使われることがよくあるので、ゲームの性質や場面によってノイズを使わない(又はDPCMを使う)という選択肢もある

・ハイハット

簡単にぽい音ができるので、DPCMを使ったソフトでもノイズのみで鳴らすものが多い。
ハーフオープンとクローズは音量と音程でできるがオープンはやや難しい。

ハイハットの例 2音目以降を+2上げるといい感じになる シンバルも同様


・スネア

ノイズのみでもそれなりなものは出せる。FF3は多分バスとタムはDPCMでスネアはノイズのみ。
各社各コンポーザーによって音作りも様々。

キャッスルバニア2のスネア例 良い音してて終わりの+12がハイハットの音と同じになるのでよく考えられている
ちなみにfami studioではドラムの音階は鍵盤に割り振られてループするので何番目の音かは分からない


・バスドラ

ノイズのみだとやや難しい。「これ良い音」と思ったバスドラは大体DPCMだったりする。

低音のノイズは歪の強い「ゴー」という音でややバスドラ感が弱いのでこれまた各社解釈が異なる。

ナツメやテクノスは低音でスーパーマリオブラザーズは中音、ロックマンは(作品にもよるが)高め。

・タム

ノイズのみではかなり厳しい。多くはロックマンのように三角波や矩形波を使って表現されるか、DPCMを用いる。

ノイズのみでも多少の高低は出せる(熱血物語等)。

・シンバル

ハイハットの延長。ただファミコンbgmを聴いていると、あんまりシンバルを多用してるものは少ない気がする。(シンバル中はビートが刻めなくなるからか)

使うとしてもスプラッシュみたいな運用がよいかもしれない。

・ライド

聴いたことないしノイズのみは多分無理。矩形波と合わせればいけるのか?

・ノイズ+三角波ドラム

DPCMでベースを鳴らしたGimmick(サンソフト)や、三角波ベースのフレーズの合間にドラムの音を差し込むソルスティス、シルバーサーファー等。
ノイズのスネアやバスドラに合わせて三角波を鳴らすことでより綺麗な音を鳴らす方法。

サンソフトパターンだと三角波を完全にドラムに振れるので何の制約もないが、ソルスティスシルバーサーファーパターンだと三角波でベースも鳴らしつつドラムも鳴らさないといけないので、フレーズにがつく。
(全音符中にドラムのために音が途切れると不自然だが、刻んでる途中にドラムが入っても意外と聴ける)

シルバーサーファーの例 緑がスネア、紫がバスドラ、水色がベース 凄まじい


・ノイズ+DPCM

DPCMはややこもった音になりヌケが悪いので、アタック音としてスネアやタムにノイズをたすパターン。
DPCMは性質的に音量調整が効かない(多分)のでノイズの音量で擬似的に音量調整ができるとの利点も。

DPCMに容量を割ければ音質も上がるので、あまり使ってるソフトはないかもしれない。


■色々聴いてみて

前々からファミコンBGMには慣れ親しんではいたものの、今回より一層知識を深めた状態で色々なゲームの音楽を聴いてみたら「KONAMIってすげぇな…」となりました。

各社それぞれ特色があって面白いんだけどやはりKONAMIの拘りは一線を画していますね。流石FM音源積んじゃうだけあるわ。

色んなゲームの音周りを解剖していくだけでも面白そうだしネタになりそうだけど、そんな事をしてる時間はないので自重しておく。

■近況

最近はひたすら筆が乗り30曲近くまで量産していて、最早ただのチップチューンおじさんと化していたので、プログラミングの本を追加で買ってゲーム制作方面に戻ってきています。

ただその分良い曲出来たなという自負はあるので気が向いたらあげます。

しかしまだSEやらMEにほぼ手をつけていないと考えるとゲーム制作とは中々果てしないですね…。

ではまた。

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