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会社でスキルを磨きたい。

障害者だって働いているし、転職もする。

障害者が転職するためにまず必要なのは「勝手に動かない能力」である。

言われてもないことをしてはいけない。そういう人に限って、言われたことができていない。
言われたことを言われたようにやるだけ。
障害者枠に求められるのはそのレベルである。
とはいえ、衝動性やこだわりが強い人にはハードルが高い。その場合は、一度就労継続支援か就労移行支援を通ってからの転職をおすすめする。


あとは、「距離感を保つ能力」ではないか。
特に特例子会社や障害者雇用に力を入れている企業では、同じく障害者枠で入った仲間と一緒に働くことになる。

と聞くと、中には
「障害者同士、でこぼこな部分を補って協力したらかなりクオリティの高い仕事ができるのでは?」
と想像した方もいるかもしれないが、現実はそんな上手くはいかない。

「十人十色」なのである。
良くも悪くも。
本当に一人一人得意不得意も違えば、対人反応や価値観も様々だ。
すると、当然、障害者同士で揉める。それを治めるために障害者雇用担当者がいると言っても過言ではない。
人と適度な距離を保てる能力がないと、仕事にならない。技能以前の問題である。



もう一つ挙げるなら「愛される能力」だろうか。
基本的に地方の一般企業では、障害者雇用はそれほど進んでいない。障害者は離職率が非常に高い。そして、同僚がいたとしても同じスペースで働くとは限らない。
となると必然的に、障害者一人、健常者の中で仕事をこなしていかなければならなくなる。

障害者といえど結局は一人の人間なので、「愛される障害者」と「愛されない障害者」とに分かれる。
別に媚を売る必要はない。挨拶をして、嘘をつかず、言われたことを一つ一つ真面目にこなしてさえいれば、自然と周りの人も認めてくれるようになる。

以上の3つがしっかりできていれば、転職先でも上手くやっていけるだろう。



だが、実際に一般企業の障害者枠で働いている者は少ない。
現在の障害者雇用率を支えているのは、「A型就労継続支援事業所」の存在が大きい。
A型(略)は、一般企業と同じように「1」として障害者雇用率に反映されている。

A型とは、障害者に雇用を供給する福祉的事業所のことである。働く場であると共に、支援を受けながらスキルを身につけていく場である。運営母体は子会社やNPOなど様々で、フランチャイズ式A型経営を主力事業とする企業が運営していることもある。

「A型はビジネスとしてメリットが多い」というのはよく言われることだ。初期投資が安く済み、国からの助成金や補助金も豊富である。
「低リスクで初心者でも始めやすい」というのが最大の売りなのだ。
そのためA型の事業所は、近年急激に新規設立が進んでいる。

しかしその分一般企業での障害者雇用が疎かになり、大手就労移行支援でも1年かけて最低賃金のパートに就職させるのがやっとなのもまた、現状である。

だが、先程申し上げた通り、A型も企業での雇用もカウントは同じ、「1」。
そのため数値に現状が反映されておらず、統計が一般企業へ与えるプレッシャーは極めて弱くなっている。A型ばかりで雇用が進み、一般企業はそれに甘んじている。

いくらスキルが身についてステップアップの転職を望んでも、それを発揮する場が限りなく少ないのが今の障害者雇用の実態なのである。

「そんなにキャリア積みたくないっすよw」
と若い障害者に笑われるくらい、障害者のキャリア形成に力を入れる一般企業がどんどん増えるようになってほしいものだ。



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