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絡む人

人が怖いとき。
引きこもる人がいる。
そして、より人に絡んでいく人がいる。

今回は、絡む人の話。


絡む人は、人とつながりたいと思っている。
相手を理解したいと思っている。

人と仲良くなりたくて、愛想良く振る舞ったり、時には何かを施したりする。
人の気持ちを理解したくて、コミュニケーションに関する文章を読んだり、心理学を学んだりする。
何かのコミュニティに入って、あくせくと働いたりする。

ひどいことになると、世の中は間違っている、皆を救うと言って、神様になろうとする。
頼まれてもいないのに、人を癒そうとする。
正そうとする。
導こうとする。


絡む人は、人とつながりたくて、もがいている。
さみしいから。
しかし、もがくほど人が離れていってしまう。
こんなに仲良くなりたいのに、こんなにしてあげているのに、なぜ離れていくのかが、わからない。
わからないから、焦る。
焦って、さらにがんばる。
がんばるほど、さらに人は離れる。

周りの人たちが離れていき、静かになった部屋で、ひとり悩む。
気がつけば、以前より人がより怖くなっている。嫌いになっている。


絡む人は、実は好かれたかった。
絡む人は、好かれたい人だった。
好かれるのが重要になるのはなぜかと言えば、好かれることによって、対人恐怖を無くしたかった。

安心したかった。

安心したくて、好かれるための言葉を使い、好かれるための行動をした。
人に好かれるために生きる人は、いつか必ず、ずるい人に見つかってしまう。
気がつけば、周りはずるい人ばかりになる。
周りのずるい人は、好かれたい人を骨までしゃぶり尽くす。

ずるい人とは、自分のために他人を使う人。
心に触れ合う気持ちがない人。

ずるい人は、好かれたい人を見つけるのが本当に上手い。
そして、心のふれあいに見えるラッピングをした爆弾の箱を差し出す。
好かれたい人は、本当は自分を破壊する爆弾なのに、プレゼントの箱と思い込んで受け取る。
箱の中で、時限爆弾の時計の針がカチカチと鳴っているのに、その音が聞こえても、聞こえていないフリをする。
いつかその爆弾が爆発し、関係は終わる。
ずるい人は、利用した分のものを得て、立ち去っていく。
好かれたい人は、爆風に吹き飛ばされて、ボロボロになる。
人に対する憎しみだけが残る。


好かれたい人は、安心したくて、好かれる行動をした。
なのになぜ、相手に好かれないのだろうか。
それは、相手が見えていないから。
自分が安心したいだけだから。
ニコニコと愛想良く振る舞っていても、実のところは「安心させろ!」と土足で絡んでいる。

好かれるために何かを言うこと、何かをすることは、絡むことである。
つながることではない。


絡むほど、ずるい人からは利用される。
優しい人は、好かれたい人に対して、「自分が安心したいだけだろう」と察知して、遠ざかる。

つまり、好かれたい人も、ずるかった。
だからずるい人が集まる。

好かれたい人は、好かれない。
なぜなら、安心したいだけだから。
相手を見ていないから。

好かれたいのに、相手をきちんと見ることはできない。
相手を見ない人は、本当の意味で好かれない。


もし好かれたいけど、相手をしっかりと見たいと思っているのなら、
「私はあなたに好かれたいと思っている」と相手に打ち明けることである。

打ち明けると、本当の安心感が生まれる。

ただ、好かれたい人はこれができないかもしれない。
恥ずかしいから。
受け取ってもらえないことで憎んでしまうから。
怒ってしまうから。
自分の気持ちを伝え拒否されて憎むのは、相手を見ていない、何よりの証拠。

打ち明けられないなら、この心の仕組みそのものを理解することから始める。
前に進める。


打ち明けたいことを、謙虚に打ち明けられるだろうか。
それができた時、好かれたい人は、きっと好かれる人になれる。
謙虚に打ち明けることは、時に誰かを安心させる。


2023/12/21

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