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約束なしのお別れです

別れに、予告はない。

本当の意味で、別れを決意することはできない。

別れとは、風のように、そっと訪れるものである。

別れとは、いきなり出逢ってしまうものである。

自分から出逢いにいくものではない。


「別れようと思うんです」という人がいる。

それは「別れたくない、でも別れたい」と言っているに等しい。

その人は、別れることが、生まれることと同じであると気づいていない。

あなたは生まれた。

そして相手との関係も、生まれたものである。

あなたは、あなたを生んだのではない。

あなたは、相手との関係を生んだのではない。


生んだ、と、生まれたは全く違うのだ。


沈んでいく夕日を止めることができないように、別れをコントロールすることもできない。

別れはただ起こる。生まれたものが死に向かう絶え間ない動きの一つとして、ただそこにある。

突然の別れに驚いたり、ショックを受けたりするのなぜだろうか。

それは、自分の生であれ、相手との関係であれ、生まれた瞬間からいつくるかわからない死に向かって動き続けていることを直接知らないからだ。

「死はいつか来るが、それは今ではない」という何の根拠もない思い込みの世界に生きているからだ。


短い人生の中で、幸運な人は、別れは全て約束できないものであることがわかる。

突然、愛する人に別れを告げられた時。

大切な人を事故や病気で亡くした時。

なぜ、このタイミングで?という混乱の中で、別れは自らのものではない、誰のものでもないことを学ぶ。

どうにかしようとジタバタすることの無意味さを知る。

どうにかしなければならない緊張の連続の中、生きていたことを知る。

そこから本当の意味での委ねが始まる。

委ねが起こると、コントロールしよう、支配しようとすることで生じた力みから解放された人生が生まれるだろう。この瞬間が奇跡であると、頭ではなく直接知ることになるだろう。

別れを、鳥籠の中に閉じ込めるのはもうやめなさい。

あなたに必要なことであれば、たとえあなたの元から飛び立っていったとしても、またいつか、当たり前のように還ってくるのだから。


2024/02/21

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