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007【不道徳な見えざる手】を読んで
書籍情報
書籍名:不道徳な見えざる手
著:ジョージ・A・アカロフ/ロバート・J・シラー
訳:山形浩生
発行日:2017年5月
内容判定
●読みにくさレベル……【3】解説書レベル
●参考文献……注付き、巻末に70Pほどの一覧有り
●内容の偏り……自由市場への懸念
●内容ページ数……約300P
概要
これまでの経済学の不備を指摘するために今までの定説とは違う観点からその問題点に触れている。その1つが「釣り」という考えで、私たちが市場に漂い合理的な意思決定をすることを妨げるようなごまかしや詐欺である。もちろんそれは世界金融危機が起こった理由でもあり、もっと身近な…例えば広告や自動車、住宅、クレジットカード、食品、衣料品にも見られるし、政治にも見られる。この本ではなぜ私たちが「釣り」に引っかかってしまうのか、「釣り」に誘導されている原因は何か、ということを具体例を用いながら説明している。
前半は身の回りにあふれている「釣り」に関しての話だが後半は企業や市場だとか政府、国という大きな話に展開していく。ごまかしや詐欺が個人間のやり取りではなく、企業や業界、もしくは政府や国によって間接的に生み出されていることにも言及している。
最後には自由市場の話に移り、これまでの「釣り」が現行の自由市場とどんな関係なのか、についてまとめている。
どういう人が読むべきか
経済学の基本を一通り勉強した後に読むことで視野を広げられると思う。大学での講義で習うような経済学はやはり一昔前の経済学者の理論だが、この本はそこに反した意見を幅広く取り入れている。
堅苦しい文ではないが専門的な用語、難しい言葉が少なくはない。数学的なモデルや式の展開などはないが経済学に関する多少の理解があったほうが読み解く際の手助けになるだろう。
キーワード
・意思決定
・世界金融危機
・カール・シャピロ
・広告
・オバマ大統領
・ロナルド・トバイアス
・ロビイスト
・経済成長
・ロバート・ソロ―
・自由市場
以下、感想
まず、経済学的な見方をすると、多くの問題は「見えざる手」が解決してくれるのだ…という自由な市場によって多くの調整が自然と行われ、皆が幸せになるような理念からがその基礎となっている。だからこそ経済学では人々が何か意思決定をするときには合理的であり、そういった合理的な判断によって経済が動いているとされている。もちろん、それは幻想であり、
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