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022【強欲資本主義は死んだ: 個人主義からコミュニティの時代へ】を読んで
書籍情報
書籍名:強欲資本主義は死んだ: 個人主義からコミュニティの時代へ
著:ポール・コリアー、ジョン・ケイ
訳:池本幸生、栗林寛幸
発行日:2023年2月
内容判定
●読みにくさレベル……【3】多少の経済学の知識は必要
●参考文献……注付き、巻末に参考文献一覧が20Pほど
●内容の偏り……資本主義への批判
●内容ページ数……約220P、訳者解説が約40P
概要
本書は現行の経済の在り方に対して批判的な内容の本である。それは1970年代の終わり頃から始まる新自由主義に彩られた資本主義への批判でもある。第Ⅰ部では強まった個人主義についての解説、個人が持つ権利が歴史的に、もしくは近年どのように社会に対して影響を与えているかをまとめている。第Ⅱ部では主に第二次世界大戦後の国家、政府、政治の役割がどう変容していったかを第Ⅰ部に沿った形で補完している。第Ⅲ部がもっとも長くなっており、第Ⅰ部の個人主義に相対する形でコミュニティの重要性を説く。
どういう人が読むべきか
タイトルと黒地に白い文字で書かれた表紙を見れば、これが今流行の資本主義の失敗やそれによって生み出される新しい資本主義に関する本の1つのように感じる人は多いかもしれない。しかし、内容は資本主義に関して解説するようないわゆる経済や政治の話というよりも、それによって私たちの生活や考え方にどのような違いが生まれたのか、といったような1つ下の目線から描かれている。それは単なる経済や政治の括りの中での話というよりも人の本質から経済や政治を辿る物語のように思えた。そういう意味では経済や政治に関する深い知識を持っていなくても読みやすく、また納得感も得やすかった。
初学者がきっちりとした理論書の後の1冊としてもおすすめできるし、視野を広げるという点ではそれなりにこの分野の本を読み漁っている人にもおすすめできる。
以下、感想
思っていた内容と違う…と感じるのは資本主義というタイトルに引っ張られすぎたからなのかもしれない。私なりに言い換えれば、資本主義や新自由主義が個人主義を強め、強欲さがここ数十年の経済や政治を作り出したが、それが終わりつつある。その後には個人主義的な考えを見直し、コミュニティや社会という場に焦点が当たるだろう。……という感じで、実際に今後の部分である第Ⅲ部がもっとも長い。
章自体は短く読みやすい。きっちりとした経済学や政治学というわけでもないところは新鮮だった。最近の流れである資本主義の見直しや批判に準じているものの内容がふわっとしている感じは否めない…と客観的に評価すれば微妙な本だとなりかねないが、個人的にはこの本はかなりの
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