第五話 とあるランプとの邂逅
世界中のサイトを検索する日々は続いていたが、やはり国内、ヤフオクとメルカリのチェックは重点的に行なっていた。
海外のサイトで買うよりも手続きが簡単だし、国内でも売られていた過去がある以上、誰かが持っているし、そして誰かが売りに出す可能性があると思っていたからだ。
ここまでくると手に入れたいという欲求と最早執念である。
そんな地道な検索活動が功を奏し、たまたまヤフオクをチェックしようとした際に、彼のこれまでの履歴から、自動で商品がおすすめされる箇所に、まさかのシルエットを目にする。
あのランプが出品されていたのだ。
外も明るくなってきていた早朝、ベッドに寝転びながらスマホで見ていた彼は飛び起き、お気に入りチェックしてすぐにパソコンでページを開き直し詳細を確認した。
間違いなくあのランプであった。
電球もコード類もついていない状態だが、オリジナルそのままの姿での出品。
夢か幻か、信じられない...が、現実だった。
さまざまな角度、分解されたもの、これまでは確認することも叶わなかった詳細なディテールも見ることができた。
公開されたのは前日の夜、12時間前。2000円スタートで、見つけた翌朝の時点でウォッチリストは3件、入札は2件でまだ2100円だった。
やはり、と彼の思惑は当たっていた。
待っていれば誰かが売りに出すことはあるのだ。
運命的な出会いに感謝しつつ、これはどうしても落札しなくてはいけないと思った。この機を逃せば必ず後悔する、次にこんなチャンスが訪れる保証もないのだ。
大人しく待ってることなど出来ない、そんな彼の熱量はやはり違った。
出品者の情報は、アンティーク品を出品している只個人としか載ってはいなかったが、4300を超える評価数から、どこかのお店である可能性が高いと踏んだ。
しかし店舗情報などは載っていない、そこで出品者のIDを検索してみた。
すると北海道のとあるショップがヒットした。
やはり検索こそ近道なのである。
ホームページにはオンラインショップの項目もあり、そこにあのランプも載っていた。
商品説明欄にある購入リンク先はヤフオクのページだ。
しかし、ページ構成の定型であろうとは思うが、商品への問い合わせ先としてメールフォームも同ページ内にあったため、早速得意のDMを送った。
同時にインスタもあったのでフォローしたが、今回はきちんとしたメールフォームへのDMだ。
「こちらの出品ですが、即決は可能でしょうか?もしくは直接購入はできますでしょうか?」
競売に出されている商品への問い合わせとしてはズルくもあるが、綺麗事は言ってられない。
こちとらこの機会のために過去何十時間に及ぶ検索労力をかけてきたと思っているのだ。これは戦争なのだ。
それにページ内に問い合わせ先が記載されているかぎり、これはこれで正当なルートでの打診なのである。
そして店主からの返答を待った。
オークション自体はまだ3日残されていた。
ー第五話 完ー
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