鋭い目つきで構える
「あーここも廃業していたか」
かつてはお客が絶えない居酒屋だった店に閉店の張り紙を認め立ち止まりました
繁華街の中で50年続いていたお店が出て行ってすでに1年半。次のテナントは入らないまま廃墟のような姿をさらしている
あの店もこの店も居なくなっていて、テナント募集のプレートだらけ
最後にこのあたりを歩いてからすでに3年は経っていたようで、日の出ている時間帯に歩いたのは初めてだったから街の衰退が急に現実として襲いかかってきたように感じた。
数年前まだ前の仕事の付き合いで数回行った飲食店も閉店していた。看板が下に落ち、枯れたベニヤ板も裂けて尖ったナイフの先端のようなささくれがギザギザな姿のまま転がされている
寂しくい廃墟の街になっていた
映画やアニメですら描かれないくらい悲惨な街並みになっている
これは思っていた以上に酷い
そんな思いを抱きながら、店のガラスに貼られた閉店の挨拶を読んでいると、足元で物音とかすかなニャーという声
視線だけそーっと下へ移すと一匹の猫がこちらを見ている
私がいる場所に来たにしては鋭い警戒心を向けているので、どうやらお互い気付かぬうちにプライベートエリア内に入ってしまっていたようだ
とはいえ、厳しい現実に心を囚われているのに瞬時に笑顔を向けられるほど気持ちの切り替えが上手には出来ない
猫もそうだろう。かつては楽にありつけた食べ物を簡単には得られなくなっているはず
自然とこれ以上の接近はやめてこの場を離れようと思いながら
たまたまスマホを手に持っていたので一枚だけ撮らせてもらった
放置され錆だらけになった自転車と一緒に
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