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恋愛のことと心のこと 2

 そんなわけで、マッチングアプリでの婚活をはじめた。

 その手順は
①まず希望条件を検索し、「私が見ました」のマークを送る。
②次にそれを確認した相手も条件が合致するとなったら、メールのやり取りを繰り返す。
③最終的に直接会う。
 簡単3ステップである。

 はじめのプロフィールの設定などは多少煩雑だが、誰かに頼ることなく婚活ができるし、ある程度条件を絞った上で相手を探せる。相手を探す上で、自分がどういう相手を望んでいるか改めて考えることもできる。
「人を介して双方の家族を連れて顔合わせをする」ドラマで見たことのあるお見合いのような畏まった感じはなく、インターネット環境さえあればはじめられるし、結婚相談所に比べると安価なので敷居が低い。会うまでに半ばタイミングを伺うようにメールのやり取りをするのは若干面倒だが、相手のことを事前に直接聞けると思えばそれもメリットだとも言えるのだろう。私は一番安いプラン、3ヶ月の先払い、でお金を払った。そのためお金がもったいないし飽きないうちに、と収入で検索を絞り、趣味、そして写真を見て、毎日「いいね」を飛ばしていった。
 はじめに収入で絞ったのは、なんとなく二人で生活していくとなるとお金が必要になってくるのではないかと思ったからである。一応「結婚」前提でお付き合いを考えているので生活のことを考えるとなんとなく安定した職と収入を持った人が望ましい。実際一緒に生活してみないと相手の収入についてやお金についてはわからないかもしれないが、自分の生活が圧迫されてしまうのは避けたいと思った。どのくらいが高水準かはわからないのでとりあえず「自分より稼いでる人」に絞った。
 収入以外のでみた趣味はある程度私の漫画やゲームなどの趣味を許容してくれそうな人を選んだ。
私はこの、漫画やゲームが趣味であることをこれが私だ!と思うと同時に少し恥ずかしくも思っている。その恥ずかしいと思う感情のため、引かれたり、くだらないとされたりするのではないか。無理に合わせようと思って辛くなるのではないか。つい、先行してそう考えてしまう。だったらある程度、はじめから抵抗がないような人の方がよい。
 また、顔写真も当然しっかり見た。私は自分の好みの顔というのがいまいちわからない。ただ、「この人の顔は好みじゃないな」というのはなんとなくわかるので結局は顔の判断は大いにしているのだという自覚はある。
 こう考えて絞っていくと、「婚活は自分の希望を具体化させていくことで、自分を見つめ直せるのだな」と思えてくる。
 だが作業しながら、最終的には慣れの問題だと思った。実際に会ってある程度違和感を持っても次第に愛着がわいて好きになっていくものなのではないか、ある程度お互いに意見を交わして歩み寄れさえすれば「こういう感じもあるんだ」と違いを楽しめればよいのではないか。つまり婚活の環境の中で出会った相手と会合を重ねることで仲良くなり、結婚したいな、と自分が思えるようになるのではないか。それで「恋愛」は成立していくのだと思った。


 そんな厳選の中でメールの連絡が続いた人がその「お付き合い」をしようとしていた人である。
「いいねありがとうございます、✗✗です。よろしくお願いします」
 自分から「いいね」を飛ばした相手から連絡が来て、相手がその中でも特に高収入で、自分が気になっていることを趣味にしている相手だったため喜んで返事をした。まずはお互いに仕事は何をしているか、どんなことが好きなのか、そういった自己紹介からやり取りは始まった。
 彼とのやり取りをはじめて彼はすぐに気になる言葉を返してきた。彼は自分のことを「論理的な性格です」と言ってきたのだ。私は少々混乱した。論理的というのは感情的の逆で、筋道を立てて冷静に物事を判断できるということだと私は解釈している。となると、自分が「筋道を立てて冷静に物事を判断できる人だ」という自覚をしているということになる。「私は冷静に物事を判断できる人なんです」と自分で言う人は果たして自分のことを冷静に見られているだろうか。正直ドン引きした。しかも私は自分に自信があると公言なんてできないので、自覚はなくとも、ないなら尚更、自分とは性格のギャップを感じた。
 だが、ここでこの違いに怯んではいいのだろうか、私が重く受け止め過ぎなのではないか。まずこれはメールのやり取りである。一緒に過ごしていくとなってメールのやり取りで意思を伝え合うわけではない。ならばしばらく関係を続けてみて判断してもいいのではないか。第一印象で仲良くできないと判断はできない。好きになれるようまずは自分から歩み寄ることが必要だと思ったのである。
 私はこの時点で彼と「恋愛」をする気でいた。

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