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人間様にごめんなさい

私は今、実家に帰省している。
大学生の権利を行使してそれは長い期間。
さすがにもう帰りたい。

友達に会って、田舎の大自然に触れて、まあまあ充実している。

暇だったから、フォトアルバムを漁った。

そこには親の愛情を多く含んだ言葉と共に、幼い頃の写真が貼られていた。

まだ腹の中の写真もあった。

「妊娠がわかった時は涙が止まらなかった」
「まだ人っぽくない我が子、かわいい〜」
「すっかり人間らしい形になっていた」

愛されてたんだなって思った。

あの人は確かに愛してたんだって。


そして、当時の俺は真っ当な人間としての人生を始める準備していた。

希望を沢山抱いて、「死にたい」とか言う人間を軽蔑する。
そんな人生の準備を確かにしていた。

俺はどこで間違えたのだろう。

そもそも、なぜ貴方の息子である俺が、そんな人間になれるのだろうか。


俺は、目も当てられないほどの醜さを持って生まれてきた。

出来損ないの卵子に、持つものに不相応な精子が突き刺さったままの形で、貴方の腕に抱かれたんだ。

外見だけは完璧な人間だった。

このシャバの空気を吸った時。
へその緒をちぎられた時。

両親の眼に映る自分の姿に、嘆き悲しみ大声で喚いたんだ。

この見た目じゃ人間をするしかないから。

それが俺の産声となったんだ。



俺は貴方が生きた印として、使命を全うしている。

貴方が死んだ後だって、貴方が生きたことを証明し続ける。

腹の中で死ねたなら。
何も知らずにいられた。

誰かに愛されることも。誰かを愛そうとすることも。

愛する方法とかそんなことを考える必要だってなかった。

見た目に釣り合わない、出来損ないの内面とのギャップに潰されそうだ。

心に姿があったなら、きっと俺は目も当てられない姿かたちをしているんだろうな。

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