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Farewell, My Lovely さようなら、愛しい人/Raymond Chandler 村上春樹訳 自宅の本棚から その7

レイモンド・チャンドラーの2作目を取り上げるが、この順番は単に自分の好みであり、それ以上の意味はあまり無い。
一般的にマーロウ主役の7作品のベスト3は「ロング・グッド・バイ」「大いなる眠り」「さらば愛しい人」だと言われている。

あらすじは、下記に書いておくが、他の作品と同じで、この事件の主役のムース・マロイの純粋なキャラクターやその対局のジゴロや暗黒街のボスが対象的に描かれる。それらが生き生きと動き回る映像的な描写は、やはり魅力的であるし、登場する女性たちの魅力も素晴らしい。

と、書いて村上春樹氏のあとがきを再度読んだら、結構自分と異なる感想を書いていたので、ふむと考えてしまった。一読者の感想と真摯に作品と向き合う訳者では、こうも違うのかと。
どうも村上春樹氏は他の作品の登場する脇役達と比べているのかも知れない。
主人公のマーロウもLong Goodbyと比べると確かに30台のようなシニカルさを持っているし、Longの方が年配の落ち着きがあったと思う。
でも、そんな細部のことよりも、作品自体のドライブ感や展開の意外さを楽しんだほうが良いと思う。何よりも、娯楽作品だし、素晴らしい探偵小説なのだから。

あらすじ

刑務所から出てきたばかりの大男、通称、大鹿(ムース)マロイは、別れた踊り子の恋人ヴェルマを探しに酒場フロリアンを訪ねるが、酒場の主が何も答えようとしないので逆上して、再び殺人を犯し逃亡する。仕事で現場に居合わせてマロイと話しこんでいた私立探偵フィリップ・マーロウは警察に尋問されるが、マロイを捕まえたいならまずヴェルマを見つけろという自身の勧告を警察が受け入れないので、自らヴェルマとマロイを探し始める。その折に怪しげな用心棒の仕事がマーロウの元に舞い込む。マーロウもまたなぜか命を狙われる中、その依頼人や、ヴェルマがかつて居た酒場の元女主人などが殺されていく。事件が紛糾するなか、ついにマロイの居場所を突き止めたマーロウは、ヴェルマに会わせると言付けて、マロイを自宅に呼び出すと、彼を別室に隠す。そのとき現れたのは意外な人物で、真相が暴かれていく。

登場人物

フィリップ・マーロウ
ムース・マロイ
身長2メートル近い大男で、腕っ節が強い。ムース (moose) はヘラジカを意味する。銀行強盗で8年間オレゴン州立刑務所に服役する。恋人のヴェルマ・ヴァレントを探してセントラル・アヴェニューの黒人専用のレストラン兼賭博場「フロリアンズ」に立ち寄り、殺人を犯す。
ヴェルマ・ヴァレント
踊り子。マロイの昔の恋人だった。
ジェシー・フロリアン
白人専用のナイトクラブ「フロリアンズ」の元経営者マイク・フロリアンの妻。マーロウはヴェルマの情報を求めて彼女の元を訪れる。不潔で自堕落な生活を送り、アルコール依存症でもある。
リンゼイ・マリオット
マーロウの依頼人。モンテマー・ヴィスタに住む。盗まれた翡翠のネックレスを買い戻す一件で、マーロウに護衛を依頼する。
アン・リオーダン
元ベイ・シティー警察署長の一人娘。フリーライター。
グレイル夫人
富豪の若き未亡人
ジェームズ・アムサー
霊能力者。
セカンド・プランティング
体臭の強いインディアン。
ソンダボーグ
レアード・ブルーネット
ナルティー

七十七番通り分署の刑事部長。
ランドールロサンゼルス中央警察署殺人課の警部補
ジョン・ワックス

ロバート・ミッチャム主演映画のトレーラー


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