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2023/02/26 3年半ぶりに演奏に復帰

 6時20分起床。前夜がリハーサルで遅かったことが関係して(リハーサルレベル以上は体か頭か、どこかが昂ぶってしまいその後すぐは寝られない)寝不足。朝食を食べて身支度。化粧をする洗面台あたりが寒い。外気温に比例する。いよいよ対策を考えねば、と思う。息子1をどやして用意させて、出発。県劇目前で、息子1が眼鏡を忘れて取りに帰る。この人は時間感覚と約束遵守の意識が低い。そして注意力がない。ということで教育的指導をしつつ、県劇へ。
 本日、演奏会当日。いつものように午前中はゲネプロで…と思い、ハッとする。いつもも何も、3年半ぶりじゃないか。こんなに間隔が空いたのに「いつもの」としている自分に愕然とすると同時に、それだけこの期間がなにもない空白だったのだと思い知る。

 ゲネプロの休憩中に、コンサートホールの天井を撮った。 なんて美しいのだろう。必需品である照明がこんなに染み入るとは。無くして気づいたものは美しくてでかかった。ここに、音楽関係者(というか、編曲したり合唱曲の作詞者、もしくは演奏者の身内)としては来ていたものの、私のベースの一部にはやはり演奏者の部分もあったよう。心から満たされたような気持ちになった。
 3年半ぶりということで私を取り巻くものはずいぶん変わった。私には小学生の子供もいないし、今回は息子1と同じステージに乗る。この県劇の始まりの頃、音楽系部活の子だった私は出来たばかりのここのステージに乗った。それが、今はもう十分に十分すぎるほど大人の歳になって、腹の中にいる頃から私とともにステージに乗っていた息子1はピアノのコンペでここのピアノを弾き、今や自分を「県劇の子」と称して演奏者としてやっていると考えると、県劇とともに歩んできたような気すらするから不思議(実際は間に十数年、熊本を離れていたというのに)。

 午前で終えたゲネプロの後は控室で昼食や着替え、準備。仲良しの楽団友人とともに話しながら。楽しい。久しぶりに演奏用の黒ロングスカート。靴が傷んで捨てていたので別の靴にしたらヒール3センチで作ったスカートは裾が余ることに、着てから気づく。
 直前のメンバーの様子を眺めるでもなく眺める。口に出さないものの緊張する人、緊張して口数が減り、食事が進まず挙動不審な人。練習している人。なんだか死後の霊体のような気持ちで、この愛すべき仲間たちを眺めていた。

 1時半過ぎ、本番。楽団にとって数年ぶりの、以前と同じようにお客を入れる演奏会。どうなることか、と思っていたらなんと開演まで入場待ちの列が無くならず、開演を10分遅らせることに。なんだそりゃ人気楽団かよ、どうしよう、パンフレットの数が間に合わないかもね、などみんなで言い合いつつ、ステージへ。

 久しぶりの演奏は楽しかった。11月に復帰して以来、毎日練習してきたものの、演奏能力が戻らず1ヶ月前までは演奏者として完全に終わったのだと思っていた。これがこの1ヶ月でかなり戻った。本番はさらに好調だったので、本当に安堵した。良い演奏を作る内の一人であること、私が納得すること。それだけを目指してきて、目指した以上の結果となったことがうれしかった。
 誰に伝えても、私の得たこの気持ちはあまり伝わらなかった。お休みするまでの私の様子や活動を見ていたら仕方ないのかも、とも思う。演奏能力を失っていたことに愕然としつつ、学生のようにこつこつやって、取り戻したこと。深い喜びを得たこと。でも伝わらなくても全然かまわないと思う。私の得たものは私のものだ。私が納得できたことが一番嬉しいことだったし、きっとそれは私の表面にもにじみ出ていることと思う。そうした様子が伝われば、もうそれでいい。

 色んな人が見に来てくれて、会えた。郊外の中学で吹部の指導をしている息子2の去年の担任の先生や、以前メンバーだった同じパートの若者。たくさん話して、コロナ以来快適に引きこもって落ちた対人能力が若干回復した気がした。私やオットが久しぶりの演奏で結構いっぱいいっぱいで演奏会のお知らせを怠っていたオットの姉が来てくれていたり、私らと同じく現役のプレイヤーである息子1の仲良しのお母さんが来てくださっていたり、ありがたいばかり。息子1部活仲間が駆けつけてくれていて、それにもほっこりした。

 締めの終会が終わって外に出ると快晴。午後の日が気持ちよく差し込んで、演奏で上がった気持ちをさらに後押ししてもらったような心地で帰途に。帰宅後、息子1はオンラインでゲームだとして自室にこもり、オットは打ち上げに出かけたので、私はいちごミルクプリンで一人打ち上げ。

 晩飯は簡単にご飯を炊いてひき肉を出汁で煮て卵とじにしたものを丼に。リビングでそれぞれ勝手にゆっくり過ごして、お風呂にはいつもは入れない取っておきのバブ、サンダルウッドの香りを入れる。とてもあたたまる。バブすごい。

 しかしものすごい3ヶ月だった。そしてこの2週間。ギリギリまで持っていた原稿3つをやっと脱稿したのが前日。演奏会の終了とともに明日からしばらく迫った〆切もない。ちょっと忙しさの落差がでかいけれど、明日からやっとしたかったことに取り組めるよな、と思いつつ就寝。11時過ぎ。

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