見出し画像

2022/08/14 バティストゥータのゴム紐の件

 子、部活休み。このお盆の休みは今日だけだ。息子1は腐す。
「どの部活も盆休みだよ…いや、バドとサッカーは試合だな…」
 歯切れも悪く、腐し失敗。強化部活はどこもえげつなくやっている。文化部唯一の強化部活の吹部は今年初めての県大会突破、九州大会出場のため練習が続いている。ちなみに今日の休みは部活の決まり通り、日曜のお休み。

 私自身は8時起床。リビング、もうすでに30℃超えどころか31℃もある。どうしたものか。換気せずにすぐエアコンを入れるのは嫌なので、まず窓を開けて、次に換気扇を強でかける。こうして強制換気状態を作って、片付けものや軽くフロアモップ、起きてすぐ飲む薬など服薬してコーヒーを入れてだいたい15分が経つ。これでまあまあ換気出来たのではないか、ということでエアコンを入れる。

 息子1、宿題にとても行き詰まっていて、読書感想文を私に書けと言う。もちろんお断り。そもそも小学生の時に何度か入賞しているのだから自分が書けばいい。しかし興味はある。今の私が書いたらどんな結果が出るのかという興味。

 学生時代、読書感想文は大好物だった。だいたいこういう本で、こういう切り出しで、こういう展開したら学年代表以上は確実、という自分なりのデータがあって、そのデータに乗って手堅く書いたり、全く新しいものを書いたり毎年いかに面白おかしく劇的に出来るか頭を使って、書いたものだった。なんせ読み手に力がないのは毎年の読書感想文文集を読めば一目瞭然だったから、それぐらいの読み手に合わせたものを書くような擦れた学生でもあった。

 その私に頼む息子1。どうかと思う。必勝本だけでもと教えると、「かーちゃん人が死ぬの、無理」などと言うので前途多難。まだ本すら選んでない。どうするのだろう。

 昼ごはん、どうしても作る気がせず、息子1は九州大会出場に向けて感染防止厳戒態勢で外食はしたくないというので、CMでやっていたセブンイレブンのカレーフェアに乗った。カシミールカレーやカレードリア、ルーローカレーなど。どれも美味。毎度一番辛いカレーを選びヒーヒー言う息子1の若さよ。オットの息子1も激辛の食べ物を前にするとしばしば蛮勇とか蟷螂の斧とか、そういう言葉を思い浮かべる行いをする。なんだろう、もうこういう予定調和のよう。私は辛いものは得意。だけれど暑くて鼻が出るから好きじゃない。

 午後片付け。2日前の法事でいただいたお弁当について来た金色の、乾麺のうどんぐらいの幅の紐の始末に困って、息子1に
「いる? バティストゥータする? 」
 と尋ねる。
「あっ、しようかな…いや、いらん」
 とのことで、そりゃそうだろう。もうすぐ16歳、敏感なお年頃だもの。マ往年のサッカー選手バティストゥータといえばゴム紐と思ってきた。長い髪を大きなゴムで留めている。息子1は小さい頃、頭にゴムをはめるのが好きだった。いつもバティストゥータになっていたので、今も勧めてしまうのだ。しかしほんとはどんなのはめていたのかね、と調べて愕然。

 え、うそ…ゴムじゃない。ヘアバンドじゃん…しかもバティストゥータのものは幅広。長い時間の中で壮大な思い違いをしていたよう。どちらかと言えば最近の選手がこんな幅の狭いものを使っている。

 ということでバティストゥータと言うのはやめねばなるまい。さよならバティストゥータのゴム紐、などといいつつしばらく断ったら全て忘れて、また言うんだろうな、私。
 ゴム紐は潔く捨てた。

 晩飯、豚のしょうが焼きともやしの和え物、味噌汁(人参玉ねぎわかめ豆腐。熊本の合わせ味噌)。

 風呂に入る前に月を見ようと、うちのテラスの軒の先と隣の屋根との僅かな隙間から空を見ると月ではなく、星が一つ見えた。ほとんど反射的に一番星を見たときに口にする言葉を口の中で唱える。何のおまじないかは忘れたけれど小さな幸を祈るようなもの。こんな取るに足らないことが、生活に色を付けているような気がする。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?