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今後世界で一番富裕層が増える国ナイジェリア、次の「クレイジーリッチ」はここで生まれる

少し前の話になりますが、2018年に「クレイジーリッチ(原題 Crazy Rich Asians)」という映画が話題になりました。中国系移民2世でニューヨークの大学で教授をするアメリカ人女性がヒロインで、フィアンセであるシンガポールの大富豪の御曹司の実家を訪問するのですが、桁違いのリッチさを見せつけられ、フィアンセの家族や友人などから嫌がらせを受けながらも、様々なハードルを乗り越えていくという物語です。アメリカ社会の中で十分な成功者と言えるヒロインがシンガポールのクレイジーリッチな人々に圧倒されるという姿を描く中で、世界の富の移転、アジアの経済の勢いを示す作品ともなりました。
私はこの映画を当時、ルワンダの首都キガリの映画館で観ていたのですが、アフリカでも既に同じような現象は起こっているし、今後さらに増えていくだろうと感じました。今回はアフリカ最大の国で、今後アフリカで最も億万長者が増えると言われているナイジェリアの状況をお話できればと思います。

2023年までに富裕層(Millionaire)の総資産が世界で一番伸びる国、ナイジェリア

世界の富裕層の実態をまとめたレポート、Wealth-Xの"High Net Worth Handbook 2019"では、今後5年(2023年まで)で富裕層(資産1百万米ドル以上)の総資産の合計が一番伸びる国は世界でなんとナイジェリアがトップとなっています。(2018年~2023年でCAGR16.3%)

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また世界の富豪のランキングを発表しているForbes長者番付 (Forbes World's Billionaires List)でもアフリカの上位はナイジェリア人が常連となっています。アフリカで1位のAliko Dangote氏は西アフリカ最大のコングロマリットDangote グループの創業者です。1981年の創業後、セメントの貿易事業を核としていましたが、90年代以降小麦や砂糖などの食品、石油ガス、不動産など事業を多角化し巨大コングロマリット企業へとシフトしていきました。

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「第二世代」がつくるナイジェリアの新たな産業

今回のランキングに入っているナイジェリアの3人が創業した会社やナイジェリア国内の大手商業銀行などはいずれも80年代~90年代に創業し大きな富を築いています。これらを「第一世代」とすると、彼らの子どもの世代である「第二世代」が20~30代となり起業家・事業家として新たな事業を展開しています。勿論この中には、ここ数年で注目されているテック企業・スタートアップ等も当然含まれますが、ラゴスで生活していると飲食、小売、医療、物流などさまざまな分野で新たな製品やサービスが生まれていることを実感できます。人口2億人、2025年までにGDP per capitaが3,000米ドルを突破する、スマートフォンの普及などの外部環境と相まってこれらの事業が成長をしています。
現地で「第二世代」の起業家・事業家と接する機会の多い私としては、上述の「今後5年(2023年まで)で富裕層(資産1百万米ドル以上)の総資産の合計が一番伸びる国がナイジェリア」と言われても、肌感覚としては納得感があります。まだ定量的に分析ができているわけではありませんが、ナイジェリアで100人以上「第二世代」の起業家と話をしてきた中で私なりにまとめてみると、彼らの特徴として下記のようなものが挙げられると思います。

<「第二世代」起業家・事業家の特徴>

1. 第一世代というお手本が身近にいるので起業して成功するイメージがつく
 - (例)「同じ学校の●●ちゃんのお父さんはナイジェリア最大のXX銀行の創業者」
 - 「社会人≒起業家・事業家」が当たり前。複数、連続で起業。ナイジェリアでは「エリートサラリーマン」という道はない
 - 第一世代の親族等の支援(教育の機会、ネットワークなど)を受け起業ができる


2. 多くが海外での教育、生活を経験
 - 海外のトップスクール等で培ったネットワークをフルに活用して事業の成功確度をあげる
 - 海外(先進国)での生活の経験から、比較して「ナイジェリアに今何が足りないか」という視点で事業の種を作ることができる→タイムマシン経営
 - ミレ二アル世代的な感覚で海外の生活で触れた自分の「好きなこと」を事業に(例:コーヒーに魅せられ、焙煎等も目の前で観れる経験型コーヒーストア、あまりまだ知られていない海外のアパレルブランドを集めてセレクトショップに)


3. 「第二世代」同士が緊密な関係を構築しインナーサークルを形成
 - (例)資金調達をするときのアドバイザーは弁護士の友人の会社に頼む→起業家・事業家を支援する専門家サービス(弁護士、会計・税務、人材採用など)が生まれる
 - (例)起業家同士が同じ大学の出身などで、週末ドライブをしながら何気ない情報交換をする (Y combinatorに選出されるには?など)

繰り返しになりますが、あくまで私の経験に基づいたものなのですべてが当てはまるということはないですが、上記に挙げた傾向はあると思っています。そしてこれらの「第二世代」の起業家・事業家の中から必ず5年後、10年後のForbesの世界の富豪ランキングに載る人たちが出てきます。
日本企業としては今のうちにこれらの「第二世代」の起業家・事業家と関係を作っておくことが必要と言えます。資本参画だけでなく、様々な協働の形を模索し、一緒に成長していける関係を作ることが可能だと思います。また3点目に挙げている通り、彼らは非常に緊密なインナーサークルを形成しています。1人と信頼しあえる関係を築くことができれば、芋づる式で複数の「第二世代」の人々と繋がれることができます。現地にいる私としては「第二世代」と繋がる日本人の先頭にたっていきたいですし、1つでも多くの日本企業が彼らと共創ができる関係を構築できるようにしたいと思っています。

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文章:AAIC 一宮 (AAICナイジェリア法人代表)

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