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仕事のことを書こうとすると、結局どこかに祖母が現れる

きっと最初の投稿には「おばあちゃん」が登場することになるんだろうと思ってたら、やはり登場します。確信犯と言えばそれまでですが。

というわけでnote、始めました。

最近担当した仕事のことをまとめておこうと書き始めたら、高知のおばあちゃんとの思い出がよみがえってきて、そこから働き方やらメディアやら、Webでの記事の届け方に妄想が膨んでいった、という話。

■まずはガイドブック制作の話を

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わたしがいま住んでいるのが東京都杉並区でして、縁あって、こちらの地域の多言語ガイドブック『SUGINAMI SAVOUR THE LOCAL FLAVOURーー杉並のヒト・モノ・コトに会いに行く』の編集・取材・執筆を担当させていただきました。

これまで杉並の取材をすることは何度もあったけど、実は情報誌1冊丸ごとを制作するのは初めてのこと。もちろんひとりではなく、mamimu*のメンバー5名でのチームワーキングしたわけで、そのあたりの話もどこかで書き留めておきたいのですが。

*mamimu(マミム):子育て中のフリーランスの女性を中心とした団体。 ウェブ制作、グラフィックデザイン、ライティング、イラスト、写真、翻訳、管理栄養士など、約30名が在籍。 チームワーキングやスキルシェアをしながら、育児中の「おもしろい」働き方を模索中。

訪日旅行者に杉並を楽しんでもらう、魅力的な店主のいるお店を紹介して会いに行ってもらう。そんなコンセプトのもと、歩きに歩き、食べに食べ、『うちは英語が話せないから』「いやいや、大事なのは歓迎の気持ちですから」なんて説得しながら、60店舗ほどを手分けして回ったわけです。

そして完成してからは、自転車に乗ってせっせと取材先に冊子を届けに回ったわけです。

回ったわけですよ。

そんなときにわーっとよみがえってきたのが、故郷高知の田舎町で、自転車に乗ったおばあちゃんと、おばあちゃんを追いかける私、でした。

■おばあちゃんの広報誌配り

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祖母は高知の田野町という小さな町(本当に四国一小さな町)に暮らしていました。若い頃はもちろん、80を過ぎて病気がちになる直前まで、老人ホームの留守番をしたり広報誌を配ったり、働き続けてきた女性です。

幼いころ、私たちきょうだい、いとこは、長い休みになると田野に集まりました。そして祖母が自転車に乗って広報誌を配るのを手伝ったわけです。お小遣い目当てで。

「あの家は2枚入れて」「あそこはしばらく留守だから入れなくていい」と、祖母はすべての家の事情を把握していて。そして行く先々で世間話をしたり、季節の農作物なんかをもらったりして。

「おばあちゃん、有名人やん」と、なんだか誇らしかったことを覚えています。

■“おばあちゃん”はメディアだ

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わたしの中で「働く」イメージというか、「働いたな」って感じられる瞬間って、これなんだと思います。足を運んで、人に会って、話を聞く。まちを把握する、コミュニティを把握する。情報が集まる、編集する、届ける。それを、やり続ける。

だから今回のガイドブックの仕事は、いろいろ苦労はありつつも、「働いたな」という達成感のようなスッキリ感があった。きっと、届けるところまで担えたことも大きいんだと思います。

でもこれって、働くイメージというか、メディアの役割ですね。もちろんライターを名乗っているのでメディアに関心は強いほうだと思うし、その一端を担っているつもりではあったのですが、ここまで自分の仕事のイメージとメディアが重なっているとは自覚していませんでした。

うちのおばあちゃんはメディアだったのか。ああ、でも確かにメディアだわ。

■ウェブメディアは“広報配りのおばちゃん”になれるのか

そろそろ脱線というか妄想入ります。

最近はもっぱら情報収集はウェブメディアが主流になってきたけど、メディアかくあるべきなんていう話はできないしするつもりもないけど、私が足りないと思っているウェブメディアの要素は何なのか、に考えが及ぶ。

広報誌がメディアなのではなくて、広報配りのおばちゃんこそメディアなのだと仮定すると、足りていないのは「おばちゃん」だ。(あ、近所の人には祖母は「おばちゃん」と呼ばれていたわけなので、ここからは一般化して「おばちゃん」とします。)

自転車こいで、各家庭の状況をなんとなく把握していて、雨の日は無理せず休んで、孫と一緒に配ってまわるような、おせっかいなおばちゃん。

おばちゃんに渡された広報誌は、読み込むわけではないけど、リビングのテーブルの上に置かれて、読むとはなしに、でも知り合いの名前や顔写真が目についてパラパラとめくる。季節のレシピや生活情報にふと目をやる。

ほどよく一方的で、説教くさくない。「置いとくよ~」の気軽さ。

ああ、そうなんですよ。私が最近苦手なウェブメディアの雰囲気がこれとは逆なんです。双方向のコミュニケーションをよしとして、特定の視点からの正論が並ぶ。

ディスカッションは好きだしコミュニティも大切だけど、勝手に読むからほっといてほしいときもある。正論というかきれいごとは好きです。でも、いろいろな人にとってのきれいさを見せてほしい。

■というわけで、メディアづくり始めます

mamimuでメディアを持とうという話はずっと温めていて、温めすぎているのですが、だんだんとイメージが膨らんできているところです。

”広報配りのおばちゃん”も、ひとつ核となるイメージ。

日々に寄り添って、ちょこっとおせっかいを働くようなメディアになればいいなと思っておりますのでお楽しみに。

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