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デジタルトランスフォーメーション(DX)の4つの類型

昨今よく耳にするデジタルトランスフォーメーション。略してDX。

いろいろな企業が、いろいろな角度から、これまでの取り組みをデジタル化することで、「DX、DX」と言っているように感じています。そのような中、「ところでDXってそもそも何なの?」と、それらの取り組みの内容を厳密に捉えようとすると、意外に曖昧で、明確に答えられる人がいないように感じています。

そこで、「DXとは何か?」を、整理してみました。

①2025年の崖の観点

2025年の崖とは、これまでに構築されてきた複雑なシステムが、老朽化、ブラックボックス化し、それらをサポートするIT人材の引退やIT人材の不足により、最大で年間12兆円の経済損失が生まれることを指して言います。そのために、これまでのレガシーシステムをクラウド型のシステムへ刷新するなどの対応が求められており、デジタルトランスフォーメーションを加速させる要因のひとつになっています。

②そもそものDXの定義

デジタルトランスフォーメーションとは、新しいテクノロジーによって、これまでの市場やプロセスなどの、破壊・創造・変革を伴う変化とされています。これまでのITによる改善や改革と異なるところは、『破壊・創造・変革を伴う変化』としているところです。つまり、市場や経営、またIT人材の在り方そのもの等を、これまでとは全く異なるカタチにシフトする(させる)ことをデジタルトランスフォーメーションと定義できるのではないかと考えられます。

③DXの類型化

市場やプロセスなどを、破壊・創造・変革し、これまでとは全く異なるカタチにシフトさせるデジタルトランスフォーメーション。このデジタルトランスフォーメーションを整理する観点は4つあり、その4つの観点から類型化されると考えられます。

▼4つの観点に基づく類型化

1)既存のサービス提供及びプロセス × 従来の価値

これまでのサービス提供方法やプロセスを通して、これまで通りの従来価値を提供する領域のDXは、サービス提供プロセスの短縮や削減などが考えられます。また同じくして、これまで手作業や紙、エクセルなどで行っていた業務を省力化して自動化するなども上げられるでしょう。例えば、これまで紙で行っていた申請作業などをクラウド化する、またあるいは、クラウド型システム間をAPIで繋ぎ、データのやりとりを自動化するなどが、この領域にあたるのではないかと考えられます。

2)既存のサービス提供及びプロセス × 新しい価値

次に、これまでのサービス提供及びプロセスを通して、これまでにない新しい価値を提供する領域のDXは、これまで見えなかったものを可視化するなどが考えられます。また従来のサービス提供やプロセスを通して得たデータを活用して、新しい価値を生み出すなども上げられるでしょう。例えば、ECサイトを通して購入したデータをもとに、購入者の嗜好性を可視化し、その嗜好性に沿って新しい商品をレコメンドする、またあるいは、購入データに基づいて所得を割り出し、信用情報として活用するなどが、この領域にあたるのではないかと考えられます。

3)新しいサービス提供及びプロセス × 従来の価値

新しいサービス提供やプロセスで、従来の価値を提供する領域のDXでは、これまでアナログ、またオフラインで行っていたものをデジタル、またオンラインで行うなどが考えられます。例えば、アナログで行われていたフリーマーケットを、デジタルの世界で再現する、またあるいは、これまでクライアントとの関係が断続的だったものを、ITテクノロジーを用いて常時接続的にすることで、これまで受け身だったメンテナンスやサポート業務を、メンテナンスやサポートの提供者側から、受給者に能動的に働きかけるなどが、この領域にあたるのではないかと考えられます。

4)新しいサービス提供及びプロセス × 新しい価値

最後の、新しいサービス提供やプロセスで、新しい価値を提供するDXでは、デジタルの新しい仕組みが、これまでにない新しいニーズを生み出すなどが考えられます。例えば、前段の3)で例にあげたデジタルのフリーマーケットを用いて、ユーザー自身が衣類などを売買するのではあるが、その売買がほぼシェアリング利用に近い利用になるなどが、このよう領域にあたるのではないかと考えられます。

参考書籍:未来IT図解/これからのDXデジタルトランスフォーメーション

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