母の日に思うこと
9年前の某日、私は母になった。
まだ10代だった。
正直言って
人に褒められるような生き方はしてなかった。
なんでも環境や人のせいにして
現実を逃避するような日々だった。
毎日飲み屋に出勤し
浴びるほどのお酒を飲んで
その日の日当で暮らす日々。
将来のことなんて考えてなかった。
ただ、ぼんやりと
いつ死んでもいいな
と思っていた。
ぼんやりとした希死念慮が常にあったと思う。
その状況を打開するには
「結婚」と「子ども」だと
なぜか強く思っていた。
自分の家庭や母に
いい思い出はそこまでなかったのに。
そして、私は母になった。
私は産むまで
子どもを産めば自然と母になれると思っていた。
子どものことを常に思いやれる
強い大人に自然となれると。
でも、現実は違った。
頻回授乳で眠れない夜があった。
お金の工面を必死で考える日があった。
眠くて、泣いている横で何もできないことがあった。
子どものことを素直に可愛いと思えない日があった。
ただ、ぼんやりと死にたくなる日があった。
なんてダメな母親なんだろうと
寝顔を見ながら泣く夜がたくさんあった。
とにかく必死だった。
必死で育ててもうすぐ9年が経つ。
あの頃、ふにゃふにゃだったあの子は
もう「お腹がすいた」と自分の言葉で言えるようになった。
大人と同じご飯を食べるし
トイレにも自力で行く。
言葉にならない声で泣いて何かを要求することはない。
母の日の今日、1人目が
「ママ、ありがとう」
と手紙をくれた。
こちらこそ、ありがとう。
あなたが居るから、私は母になれた。
あなたが可愛くて、あなたからたくさんの愛をもらって
ここまで来れた。
死にたいと思うことは少なくなった。
あなたの成長の見届けたいと
それが楽しみで死にたくないと
思うことが増えた。
今でも、正しい母親像は何かわからない。
ダメだったなと、後悔する日々なのは変わらない。
でも、あなたに会えたことを後悔したことはない。
これからもたくさん後悔することがあるんだろう。
ダメな母だと、泣く夜があるんだろう。
どうすればいいんだろうと、頭を抱える日もあるんだろう。
でも、その倍
楽しくて可愛くて愛おしい日々もあるんだろう。
いつか、私の元を離れるその日まで
その愛おしさを抱きしめながら
大切に過ごしていこうと思う。
母の日、ありがとう。