読書感想「塩の樹と森の人魚」

お久しぶりの読書感想文です。
普段はTwitterの方で短くまとめた読了ツイートを発信したりしているのですが、今回は久しぶりに長文で書きたくなってしまったので、こちらに書こうと思います。

そんな今回はこちら

Twitterで相互フォローの方のご著作です。

以前に何度かお話しさせていただく機会があり、話してみてすごくお人柄が好きで「もっとこの人を知りたい…!!!」と勝手ながら思い、「この人を知りたければ本を読んだら少しはわかるのではないか?」というストーカーみたいな不純な動機で手に取ったのですが、惹き込まれた…!

元々のお人柄が好きだったのですが、小説家「塚本はつ歌」さんのファンになってしまい、勝手ながらオタクのクソデカボイスみたいな感じで、早口で感想を述べさせていただきたいと思います。

簡単なあらすじ
飄々としているけど、たくさんのことを考えなんとか自立しようともがく主人公「堀大洋」。
ある日「わたしはいじめられています!!」と学校で叫び、登校しなくなったけど、毎朝学校の近くの樹に話かけているどこか不思議で近寄りがたい「早野明里」。
夏至を境にあまり接点のなかった2人が近づいて、物語は動き出す。

※ここからは、好きな登場人物・好きなシーンを絡めて書くので少しネタバレが含まれます。






まず、冒頭のシーン。まず、昔話のような伝承のような話の後に現実世界のシーンが入ります。(冒頭からすでに惹き込まれた!)
主人公が姉と朝食を食べているシーンです。

ダイニングテーブルの上には、白米と納豆、昨日の残りのゴーヤチャンプルー、近所からもらった塩辛いたくあん。リビングのローテーブルが光をはじき、姉の白い頬に朝日の粒を乗せていた。狭いアパートだ。

塩の樹と森の人魚

ここで、この2人は裕福すぎない、少なくとも普通または質素な生活をしているのかなって想像できるんだよね〜。
「昨日の残りのゴーヤチャンプルー」で自炊をしている人たちってことがわかるし、「近所からもらった塩辛いたくあん」で少なくともご近所づきあいがあるような、都会すぎないところに住んでいるのかな〜なんて想像をしました。
この人はどんな人なんだろうとかってわからないと、その先が進まなくなってしまうわたしにはとてもありがたい描写。

そして、物語の中盤。
主人公が腹違いの妹と海で会話するシーン。

「わたし、いいでしょう」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「わたしはわたしを、素敵だとおもうの」

塩の樹と森の人魚

4歳の子が言っているセリフなんだけど、すごくハッとした。
自分のことは好きだし、大切にしたいと思っているけど、人前でこうやって自信を持って言えるのかと少し考えると、う〜〜〜んってところ。
この子のように自分を誇りに思い、自信を持って自分を素敵だと思えるようにしたいし、自分の子供もこのくらいの自信が持てるように子育てしたいと思った。
その後も、ここの場面は父との久しぶりの会話で主人公が「そうだ、父が好きだった」って気づく(?)場面があるんだけど、全体を通してこの父との再会のシーンは温かくてすごく好きだなあって思いました。

そして終盤、樹を移植するシーン。
ここは全体を通して、ファンタジーと現実を行ったり来たり。
でもすごく描写が美しくて、でも主人公に共感すると苦しくて、感情が掻き乱された!!
でもここのシーンがあるから最後には思わず笑顔になってしまうというか、ほっとするというか。
すごく好きなシーンです!!!

他にも、恋愛シーンで主人公が悶えているところでは一緒に悶えたし、主人公の姉とその婚約者さんがしっかり思い合っているのが伝わるシーンなどなど、全部すき。
なんだけど、note1記事には書ききれないので特に好きなシーンを厳選して…!!!(みんな読んで!!!)

そして好きなシーンもたくさんあるんだけど、登場人物のどの人も魅力的。
特に女性陣は好きなんだよね〜。

主人公の姉の小巻さん。
きっとお顔は綺麗なんだけど、気の強い方。その気の強さの中に少し危なげな脆さもあって、でも強くて人間臭くて。大好きです。

主人公の同級生、早野さん。
高校生で、自分のやりたいことを見つけて、その難しさにもがいて苦しんで。
でも目の前のことから目を逸らさずに戦っている。彼女はすごいと思った。
彼女の未来が明るくありますように。そうやって応援したくなる人物!!!

特にこの2人が大好きで、この登場人物の魅力的なところも物語に惹き込まれる1つの要因でもあるなー!とかって思いました。

他にも
「好き嫌いがなくなるのって、生きてるなかでいちばんつまらないことだわ」
「残されたほうは、何か意味を求めて動かないと喪失を乗り越えられそうにない」
「小巻を大事にしようとすればするほど、彼女を所有物のように言わなければならない」
「つらいなあって思う時はだいたい、たらればを考えているとき。自分の小ささや情けなさを知らされたとき。そういうときは、いつも手を動かすの」
などなど名セリフもたくさん。
1つ1つが心に響くんだよなあ…。
皆さんもぜひ読んで誰がどんな気持ちでこのセリフを言ったのか確かめてほしい!
背景までみて名セリフだと思ったから!

青春を思い出して甘酸っぱくなったり、結婚・その土地の風習・環境・家族とかそんなことを考えたりもするような話でした。

とにかく情景描写が綺麗で、わたしの地元には街を一望できる丘のある公園があるんだけど、そこに行きたくなったなあ…。
あと、全然縁もゆかりもないんだけど、静かな海を見に行きたくなった!

めちゃくちゃ早口で語っちゃって申し訳ないんだけど、本当に面白くて久しぶりに楽しい読書時間を過ごせた感じがします!
もう1作あるので、次はそちらも読ませていただこうと思っています。

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