一度だけ、涙が出るほど感動した観光地
出会い
「ここは本当に日本なのだろうか?」
すれ違う人も隣を歩く人たちも、海外の方ばかり。
こんなにも日本の文化が連なっているというのに、何とも矛盾した光景だなと思った記憶があります。
私は、立ち止まって人の流れが行き去るのを待ちました。訪れたのが平日だったのが良かったのかもしれません。1.2分ほど待てば、人の流れが道の先に消えて行きました。その瞬間を待っていた。私はすぐさまカメラのシャッターを切って写真に収めました。同時に心の中にもこの景色を収めます。
「ずっとこれが見たかった」
2年間、頭の中で不鮮明だった景色にようやく色がついた瞬間でした。色がついた瞬間、私の目から涙が溢れました。せっかく色がついたのに、もったいないことをしている自覚はありました。
しかし、それは私が意図的に出した涙ではありません。心の奥底からの喜びと感動の涙。これは人生で初めての経験でした。
結論、私が涙を流した観光地は、長野県塩尻市にある宿場町奈良井宿です。
奈良井宿に行った人なら、あの場所で心打たれた理由が分かるのではないでしょうか?
私も感動しちゃった内の一人。
私がこの地に思いを馳せるようになってから、奈良井宿に行くまでに2年という長い年月を要しました。
そんな奈良井宿との出会いは、一件のツイートから始まったのです。
たった一枚の写真と、たった一言のツイート。
いわゆる一目惚れってやつです。
これでもいろんな場所に旅行しに行くのが生業みたいなもんだったので、目は肥えているつもりでした。
奈良井宿の風景は、そんな私の心の中にスッと入ってきたのです。
奈良井で過ごす幸せな時間
当日は中山道の宿場町巡りをしていた私ですが、奈良井宿は最後のメインディッシュということで最後の訪問地。
だからなのか、遠距離恋愛中の恋人と会うときのような感覚で一日を過ごしていました。(遠距離恋愛経験はありません)
奈良井駅で降りてからは語彙力を失い、「本物だぁ」としか呟やかないBOTに成り下がりました。
1キロにも及ぶ宿場町と連なる山のコラボレーションを見た瞬間に、私の目には涙。
「どうして涙が出るんだろう?」
些細な疑問は解決されることなく、ただ私の中に残り続けていました。
私がこの地に感動する理由は、2年のお預けを食らっていたからなのか。我が生きた人生と何か通ずるものがあったのか。今も分かりません。
分かるのは、あっという間の3時間だったことだけです。待ち侘びたひと時は、長いようで短いあっという間の旅でした。
楽しいとかそんな言葉では形容できない体験をすることができました。
最後に
私にも、幾度となく絶景に出会ってきた経験があります。
例えば、西伊豆の夕日・山梨県早川の宿場町赤沢宿。そこに行った思い出も確かに大切な思い出。
今の私は、奈良井宿が一番好きな場所なのかと問われれば、茶を濁すような回答をするでしょう。今を生きている私にとって、一番は奈良井宿ではないかもしれない。
では、当時の私にとって、一番の旅先はどこなのか。
それは、私が涙を流したことが答えです。
今この記事を読んでくれている方で、もし行ってみたい場所があるなら、すぐに行動に起こすべき。
人は変わり続ける。昨日と同じ人間はこの世に存在しないからこそ、当時の私とあの一枚の写真との出会いが、あの日あの時間でよかったと心の底から思う。たぶん運命みたいなもの。
人は何かを永遠に愛すことが難しい。
あなたは今でも戦隊シリーズや仮面ライダーが好きですか?
今でも昆虫が好きですか?
もちろん例外もあります(私もその一人)ですが、この世には、何かを失った経験がある人間しか存在しません。
全てをそのままというのは理想論で難しい。常に変わっていく中で残るものもあれば消えて行くものもあります。
今の時点で一番憧れている何かを失う日は、明日かもしれない。
そう考えたら、頭の中に2年間も潜伏していた奈良井宿は、凄まじいパワースポットですね。私の一番があなたにとっての一番であったら嬉しいです。
もしも一番を探している旅人がいるのであれば、奈良井宿を候補に入れてみて欲しい。
長い歴史の中で多くの出会いと別れが積もる道。そこには私の存在も含まれています。幾千の旅人が歩いた土地に、あなたの思い出も残してみませんか?
きっと特別な思い出になること間違いなしです。
これが私が涙を流した観光地「奈良井宿」です。
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