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【2020年7月1日/Yさんへの手紙】

Y様

こんにちは!

日本銀行券は全くもってないのですが、「思い」だけは打ち出の小槌のようにどんどん沸いて出るので、手紙を書きたいと思います。

先日、病院へ不安な気持ちで検査結果を聞きにいったときの話です。2週間前から左太もものむくみがひどいのに、お金がないのと病院嫌いなので、なかなか検査に行けませんでした。

しかし、歩くのもきつくなり、これはヤバいと思い、病院に駆け込みました。

ネットで症状を調べたら大変なことばかり書かれていて、想像力のたくましい私は、検査を受けた時点で、自分が心不全で死に、お葬式で友人が泣いている光景までも妄想してしまうくらいノンストップ・ネガティブに陥りました。

だから、検査結果を聞きに行くのが、とても怖くて、かなりの憂鬱でした。ならば少しでも気持ちを奮い立たせたいと、無駄におしゃれをしていくことにしました。

「病院に行く服」って、気持ちを慰める効果や働きもします。機能性というより、気分を上げてくれる服っていうのは、弱ったこころの励ましの偽薬にもなることを今回、発見しました。

担当のお医者さんが好きな人に少し似ていたこともあったので、とっておきの勝負下着もつけ(?)準備万端で、覚悟を持って病院へ行きました。


しかし、先生はわたしに触れもせず、わたしは服を脱ぐことすらなく(笑)、告知は数分で終わりました。そう、検査結果は全く心配なかったのです。

病院を出た後に見た、空の青くてきれいだったこと。

駅前の電信柱に勢いよく絡みついている青い朝顔の命のタフな姿を見て、私は泣きそうになりました。

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途中でやめるの「その日の花を摘めTシャツ」が欲しいと騒いでましたが、改めてその言葉の意味することを今回は何度も噛みしめました。

空の青さと花のたくましさは絶対に忘れまい、と思いました。この日は、道端に咲く花たちの写真を撮りまくりました。街中の花たち、美しかったです。

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ふとミュージカルの『レント』の曲が降ってきました。映画化もされていますが、ご存じですか?


『No day but today』というナンバーがあるのですが、これこそ「その日の花を摘め」とおんなじことを言っている!と思いました。


そういえば、岡江久美子さんの娘さん大和田美帆さんが以前、ブログで、この曲について語っていたことを思い出しました。
検索してみたら、なんと見つかりました(天才的記憶力!)。

そして、繋がりました。ぶるっと身震い。http://blog.miho-ohwada.com/?eid=199238

「レント」は、AIDS時代の話ですが、いまのコロナ渦と重ねると、響く強さが違います。ネットで検索したら、似たようなことを言ってるひとも何人かいました。

わたしは、映画「レント」のサントラを東日本大震災の後、ひたすら聞きまくっていました。あの時のわたしは、『No day but today』を日常を歩く杖のようにしていたんだな、と思い出しました。

ちなみに、舞台『レント』を作ったジョナサン ローソンのエピソードが凄いんです。興味があったら調べてみてください。『レント』の舞台のあとは、必ず「ありがとう、ジョナサン・ローソン」という謎がわかりますよ。


長々と書いていましました。また、お便りします。

ア、より

※追伸 
病院帰りに撮った写真を添付します。オレンジの花は、ヤブカンゾウで、別名、忘れ草と言います。衣服の紐に花を結んで寝ると、忘れたいことが忘れられるという伝説の花です。


万葉集などによく出てきて、今の時期、東京でも見ることができます。ロマンチストなわたしは、この時期、この花を見かけるたびにセンチメンタルになります。

「忘れ草 我が紐に付く香久山の 古りにし里を忘れむがため」
(忘れ草を自分の服の紐につけてみたよ。香久山(奈良にある山)あたりの懐かしい故郷をわすれるために)

この歌は、大伴旅人が、720年頃、今から1300年前の大宰府(福岡)で詠みました。

Yさんの住んでいるあたりにも咲いているでしょうか。


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