触れたいと思った瞬間に彼は手を差し伸べてくれた。それはきっと彼も同じ気持ちなんだろうと思った。隣にいてあの距離感にいて触れてはいけないというほうが拷問だろう。

髪を切った。
2年間の20㎝。
潔さは私の長所かと思う。

メンヘラが酷かった頃は
すぐに髪を切っていた。
嫌なことがあると切っていた。
だからずっとボブだった。

なんとなく伸ばしていて
でもなんとなくも着地点はなくて。
あわよくば結婚式とかそういうときに
長いとアレンジ出来ていいだろうなー
とかいう淡い期待がなかったと言ったら
嘘になる。
でももちろん、そんな予定は来なくて
最近のモヤモヤを
突然に髪の毛のせいにし始めて
そう思った翌日には美容室に予約をいれた。

髪の毛には邪気が宿っていると
信じている。
2年伸ばしていた勲章と思ってたが
もはや2年分の邪念という解釈。
だから削ぎ落として、きた。

何が変わるのか。
何かを変えたい。
言い訳がどんどん出来なくなっていく。
満たされない気持ちは増していく。
自分で自分を苦しめているのかもしれない。
でも今はまだコロナのせいにできるか。
言い訳が思いつくうちに
動いていかないと枯れ果てていく。

先週、待ちに待った先週。
大好きな彼に会った。
そしてふとした時に
触れてみた。
応えてくれた。
でも何も生まれない。
生まれてはいけない。
だって彼は既婚者だから。
既婚者だから余裕があって
その余裕があるから一緒にいてくれてるだけ。

決して不倫ではない。
そうしたい気持ちはない。
ただ、昔好きだった彼に私は選ばれなくて
彼はほかの人と結婚して
それでも未だに気にかけてくれていて
私も会いたいと思って連絡しちゃう
といういう関係なだけ。

ずっと会いたかった。
なにかと理由を探して
構ってくれるのを尻尾振って待ってた。
彼は好きな人であり
承認欲求を満たしてくれて
自己肯定感を高めてくれる。
だから好き。

久々に触れてみたけれど
ドキドキしたけれど
何も生まれない虚無感と
彼が既婚者だという罪悪感が
残ってしまった。
もちろんいつものように満たされたことも
あったけれど
今回の彼との再会は
後悔のほうが大きかった。

だから、それを髪の毛のせいにして
急いで切ってきた。
きっと、彼も可愛いと褒めてくれる。
でも彼じゃない誰かに
そろそろ褒めてもらわないと
彼も会ってくれなくなるだろう。

髪の毛が導いてくれるのではないけれど
この頭の軽さを道標に出来るように
生きていかなくては。


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