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小さな箱の戦士たち~薬剤師奮闘記京都①~

子供の時、薬がたくさん詰め込まれた小さな箱(調剤室)を食い入るように見つめていた。
あの中で何が行われてるのだろう気になって仕方なかった。
真っ白い白衣の人達から受け取った薬で体調が良くなっていく、大袈裟かも知らないけど、わたしは病気と戦ってくれる戦士だと思っていた。
そんな憧れでなった薬剤師。
だが現実は違った。

私が薬剤師なった年はコロナ禍だった。
ドラッグストアには、マスク、消毒液を求め朝から列ができていた。
在庫がないのに従業員がマスクをしてることに悪態をつく人もいた。
実際、従業員用のマスクは存在しており、わたしも使っていたので、顔を上げないように列をかき分けて、調剤室に向かった。
まず最初にするのは、全ての機器の電源を入れていくこと。機器が立ち上がるには時間がかかる。
その次にモップがけ。開局前だが患者さんがいつ来ても反応できるように入口の方に顔を向けてモップを、かけていく。
コピー機のトレーを開けて、薬袋、コピー用紙の補充、店の休憩室にある金庫へ5万円きっちり入ったキャッシャーを取りに行き、レジにセットし、カーテンを開けて開局する。そして昨日の処方箋の枚数を数えるために申し訳ないくらい端っこにある椅子を足で引き寄せて座った。しばらくすると薬局長がやってきた。不穏な空気と目の下のくまと共に。

#薬剤師 #ドラッグストア



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