見出し画像

ポキ




ポキッ




今日も骨を鳴らして目を覚ます。





私の毎日のルーティン。









始まりの合図。










音が聴こえると目が覚める。











今日は友人達と肝試しにやってきた。



崖の上にある大きな館。







よく漫画で出てくるような不気味な雰囲気。








館の中に入ると、



見慣れた景色が広がった。




私のおばあちゃんの家のリビングだ。










どうして?






わからないけれど、






私は見慣れたこの家でみんなにお茶を淹れようと思った。







みんなを座らせた円卓のテーブルに淹れたてのお茶を持って行くと、






1人だけ知らない人がいる。










どうして私のおばあちゃんの家に知らない人がいるんだろう?









不気味なその女性に後ろから声をかけると、






ポキポキと





骨を慣らして、






首を180度捻ってこちらを見つめ返す。








両目でしっかりと



こちらを見据えながら、




女性は近づいてくる。










ポキポキと





音を鳴らしながら、










あらゆる関節が変な角度に曲がる。











気持ちが悪い。











女性が背中を向いたままこちらを見ながら、







私の首に手をかけた









ポキッ









私の首は音を鳴らす。










世界は暗転し、





目が覚める。









目の前には崖の上に立った不気味な館。





そうだった、







今日は肝試しに来たんだった。







いつから夢を見ていたのかわからない





友人が私を呼んでいる。








玄関の鍵が空いてないから



庭から忍び込むらしい。







大きな庭にはたくさんの植物。





私は一番後ろから着いていく。





すると先頭の友人が急に立ち止まり、


私達を制止する。







ひどく怯えた様子で声を絞り出す







「…誰かいる」










そーっと覗き込むと、








スーツを来た老紳士が庭の手入れをしている。











ここは誰も住んでいない肝試しスポットのはずな
のに。





私達は早足でその場から逃げた





何をしてるのかな?






歩きながらヒソヒソと友達と会話をしていると






急に友達の返事がなくなった。









不思議に思って隣を見ると、







さっきの老紳士が真横に。








ポキポキと





首が変な方向に曲がってこちらを見つめている。









気持ちが悪い。









急いで逃げようとしたけど転んでしまった。









老人に捕まると目の前が真っ暗になり、






ポキッ









と音が聞こえた。









そして館の前で目を覚ます。









あぁ…





また夢を見ていたのか。









夢に出てくる不気味な人物に名前をつけることにした。







ポキポキと




音を鳴らしながら





関節が変な方向に



曲がるから







「ポキ」








わかりやすくてキャッチーな名前だ。









隣にいた友人にこの話をした。








気持ちが悪かったと、



我ながらいい名前をつけたと。









すると友人は怯えた顔で私の後ろを指差す。








それってアイツのこと?








後ろを見ると、



5メートルほど先に、


首が真横に曲がった黒髪の女性が





足の関節を逆方向に動かしながら歩いてきていた。










怖かった。





なぜこちらに




近づいてくるのだろう。









私達は車に乗り込み逃げた。









一時間程車を走らせて、




私の家にみんなで帰ってきた。









あいつは何だったんだろう。






気持ちが悪かったね。










そんな話をしながら一息ついた頃、





庭に白い人影が見えた。













ポキがこちらを見ていた。










ドアを開けてゆっくりと近づいてくる。











ポキポキと







骨を鳴らしながら。












ポキは、





また私の首に手をかける。















ポキッ





そして世界は暗転する。











自室のベッドで目を覚ます。











そうか








また夢だったのか。







身体中の鳥肌がすごい。








ベッドの上で、




凝り固まった身体を伸ばして






骨を鳴らす。











ポキッ










私の毎日のルーティン。









始まりの合図。













そして、終わりの合図。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?