見出し画像

[第5回] 「あつ森」しずえさんは本当にウイスキーを飲んでいるのか~ウイスキーの密度~ ☆ウイスキーと科学と数字☆

こんばんは、A Whisky Studentでございます。
今回はいきなり大人気のゲームの話から始まります。
任天堂さんの「あつまれ どうぶつの森」案内放送をする人気キャラクターのしずえさんが
夏場に常飲しているもの、、、氷入りの麦茶。
ですが、それが海外においては、なんと『氷入りのウイスキー』として捉えられ、
エニタイムオフィスドランカーとしてやべーやつ扱いを受けることがあるとか。(※1)

そこで今回は科学と数字の面からこの点について考察を入れていきます。
ありていに本稿の動機を述べますと、そこを計算することで『彼女はウイスキーをロックで飲んでいない』と言うことが出来るのでは?と思ったのです。

まず注目して頂きたいのは、グラスの様子です。
琥珀色ともとれる液体には、氷が浮かんでいます。
そう、『液体に』『氷が』『浮かんでいる』のです。

なので、これを科学と数字で紐解いていきますね。
ざっくり言うと、密度が大きいものに密度の小さいものが浮くわけです。
なので、
液体に氷が浮くなら、「氷の密度<液体の密度」ですし
液体に氷が沈むなら、「氷の密度>液体の密度」というわけです。

まず、氷の密度ですが、
0.917 g/cm3 (0℃, 1atm)です。(※2)
ただ、作中の氷は少し白く描かれているので空気を含んでいる可能性はありますが、
これが無視できる範囲という前提でそのまま
0.917g/cm3を採用します。

次に麦茶の密度。麦茶の成分が99.7重量%が水分です。 (※3)
残りのほとんどが炭水化物(ショ糖だと1.59g/cm3)であることから、水の密度を使用して支障なさそうです。
水の密度は0℃付近では 0.9998g/cm3です。(※4)
麦茶の密度としては上記を小数3位までにした1.000g/cm3を採用します。
これには当然氷が浮きますね。

そしてウイスキー。
コンジェナー(ウイスキーを乾かしたら出てくるやつ)を密度に影響が無い程度という仮定で話を進めますが
国税庁のアルコール分と密度(15℃)及び比重(15/15℃)換算表を見ると
15℃の密度が0.917g/cm3を下回るのはアルコール度数58.2%ということになっています。(※5)
同じくアルコール温度補正表(※6)によると、0℃のときに比重計によるアルコール測定値58度なら15℃における真値63.1%、
測定値59度なら真値64.1%ですので、測定値58.2度なら真値63.3%であるはずです。
アルコール度数63.3%を境に0℃の密度が0.917g/cm3を上回ったり下回ったりすることになります。
つまりアルコール度数が63.3%以上なら氷は沈み、63.3%未満なら氷は浮くということですね。

結論:
「あつ森」しずえさんが飲んでいる飲み物は、アルコール度数63.3%以上のウイスキーではない

ごめんしずえさん、貴女の名誉をあんまり守れませんでした。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆パラメータと参照・引用元☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


※1[togetter] 『あつまれ どうぶつの森』のしずえさんが海外から「昼間からロックでグラスウイスキーをあおってるアル中」だと思われていた話が狂おしいほどすき
https://togetter.com/li/1918022
※2[j-stage] 氷の密度は?
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kakyoshi/48/4/48_KJ00003521292/_pdf
※3[wikipedia] 麦茶
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%BA%A6%E8%8C%B6
※4[文部科学省] 水の性質と役割
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu0/shiryo/attach/1331537.htm
※5[国税庁] 所定分析法付表 第2表
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/sonota/070622/pdf/fl02.pdf
※6[国税庁] 所定分析法付表 第1表
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/sonota/070622/pdf/fl01.pdf

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?