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The Beatles「Sexy Sadie」のあれこれ

 「Sexy Sadieセクシー・セディ」は「The Beatlesザ・ビートルズ」(The White Albumホワイト・アルバム)に収録されている(C面5曲目)。

制作背景

マハリシ゠マヘーシュ゠ヨーギー

 レノン゠マッカートニーLennon‐McCartneyの作品だが,実質的にはジョン゠レノンJohn Lennonが1968年にインドで書いた曲である。
 ビートルズThe Beatlesには,ヒンドゥー教に基づく超越瞑想を布教するマハリシ゠マヘーシュ゠ヨーギーMaharishi Mahesh Yogiに傾倒する時期があり,1968年に,ジョージ゠ハリスンGeorge Harrisonの要望でインドのリシケーシュのマハリシのもとをビートルズは訪問した。瞑想修行のメンバーには女優のミア゠ファローMia Farrowもいたが,ジョンは,マハリシが彼女と淫行におよんだという噂を聞き,それに対して強い反感と怒りを覚えたことが本作のテーマとなった。
 しかし,実際には,アップル゠コアApple Corpsのサウンドエンジニアのマジック゠アレックスMagic Alexが,ビートルズに対するマハリシの影響を疎んでこの噂をでっち上げた可能性がある。さらに,ビートルズがマハリシと決別した原因についても,マハリシ側からの資金提供にビートルズが折り合わなかったことや,ビートルズが修行の道場でアルコールや薬物を服用していたことなどの説もある。ジョージは後に,マハリシに関する噂を否定し,帰る口実をジョンが探していたに過ぎないという旨の発言をしている。
 当初のタイトルは,ずばり「Maharishiマハリシ」で,初期のテイクには「Maharishi, you fucking cunt. Who the fuck do you think you are?(マハリシ,このクソまんこ野郎。何様のつもりだよ?)」という歌詞が入っている。ポール゠マッカートニーPaul McCartneyはこのことを支持したが,ジョージの説得により撤回された。
 ジョンは,本作について1980年に次のように語っている。

That was inspired by Maharishi. I wrote it when we had our bags packed and we’re leaving. It was the last piece I wrote before I left India. I just called him, “sexy Sadie,” instead of (sings) “Maharishi what have you done, you made a fool…” I was just using the situation to write a song, rather calculatingly but also to express what I felt. I was leaving the Maharishi with a bad taste. You know, it seems that my partings are always not as nice as I’d like them to be.

マハリシにインスパイアされた。荷物をまとめて出発するときに書いたんだ。インドを離れる前に書いた最後の作品だった。「マハリシ。何してんだ。コケにしやがって」と歌うかわりに,「セクシー゠セディ」と呼んだんだ。曲を書くためだけに,それどころか計算高く,でもまた,自分が感じたことを表現するために,その状況を利用していただけなんだ。あのマハリシに嫌な思いをさせてしまっていた。僕の別れはいつも,僕が望むようないいものではないみたいだ。

John Lennon. (1980).

歌詞

Sexy Sadie, what have you done?
You made a fool of ev'ryone.
You made a fool of ev'ryone.
Sexy Sadie, oh what have you done?

Sexy Sadie, you broke the rules.
You laid it down for all to see.
You laid it down for all to see.
Sexy Sadie, oh you broke the rules.

セクシー゠セディ。何してんだよ?
みんなをお前はコケにした。
みんなをコケにしやがって。
セクシー゠セディ。ああ。お前何してんだよ?

セクシー゠セディ。お前は掟を破ったな。
みんなが見てわかるように。
みんなが見てわかるように。
セクシー゠セディ。お前は掟を破ったな。

One sunny day, the world was waiting for a lover.
She came along to turn on ev'ryone.
Sexy Sadie, the greatest of them all.

ある晴れた日,世界は愛人を待っていた。
誰もが振り向くように彼女はやってきた。
いままでで最高のセクシー゠セディ。

Sexy Sadie how did you know
The world was waiting just for you,
The world was waiting just for you?
Sexy Sadie oh how did you know?

Sexy Sadie you'll get yours yet,
However big you think you are,
However big you think you are.
Sexy Sadie, oh, you'll get yours yet.

セクシー゠セディ。ただあなただけを世界が待っていたことが,
ただあなただけを世界が待っていたことがどうやって分かったんだ?
セクシー゠セディ。ああ。どうやって分かったんだ?

セクシー゠セディ。どんなに自分が大物だと思っていても,
どんなに自分が大物だと思っていても,今に痛い目にあうぞ。
セクシー゠セディ。ああ。今に痛い目にあうぞ。

You gave her ev'rything you owned just to sit at her table.
Just a smile would lighten ev'rything.
Sexy Sadie, she's the latest and the greatest of them all. Oo.

彼女のテーブルに着くためだけに,持っているもの全てを彼女に捧げた。
微笑みだけですべてが明るくなる。
セクシー゠セディ。最新で最高だ。ああ。

You made a fool of ev'ryone.
Sexy Sadie
However big you think you are,
Sexy Sadie

みんなをコケにしやがって。
セクシー゠セディ。
どんなに自分が大物だと思っていても。
セクシー゠セディ。

The Beatles. (1968). Sexy Sadie.


アルバムでは,この曲の次に,ヘヴィメタルの元祖ともいわれる「Helter Skelterヘルター・スケルター」が流れる。

音源

The Beatles (The White Album)

Sexy Sadie (Remastered 2009)

Sexy Sadie (2018 Mix)

Esher Demo

Sexy Sadie (Esher Demo)

別テイク

Sexy Sadie (Take 3)

Anthology 3 Version

Sexy Sadie (Take 6)

【文献】
セクシー・セディー ‐ Wikipedia
ザ・ビートルズ (アルバム) ‐ Wikipedia
Sexy Sadie – The Beatles ‐ Goldmine1969.com
ホワイト・アルバムのブックレット

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