ネタかぶりの恐怖!<小説執筆>
使えそうなアイディアや小説のテーマが見えてくると、気になるのが
「このネタ、誰かが使ってないかな」ということです。いわゆるネタかぶりですね。
ミステリで言えば、先行作品に何一つ似ていないという小説はむしろ少ないような気がします。これまでに考えついていないトリックがあると考える方が不遜な気がします。
例えば密室、一人二役、叙述トリックなどは書き尽くされていると思いますが、このテーマは使っちゃだめ、と言われたら、書けなくなる人がたくさんいると思います。本格ミステリ好きな読者は寂しい思いをするでしょう。
テーマは同じでも、独自の展開や別のアイディアとの組み合わせなどで、新機軸を打ち出していれば良いのです。読者も「同じ素材だけど、今回はどう料理してくれるのだろう」と期待するものです(私も読者としてはそうです)
それでも、その料理の仕方が似通った作品が存在するのは困ります。
それで、ネタがかぶっていないかを、ネットで検索することになります。
アイディアを二つくらいの単語にして、【○○、○○、ミステリ】と検索すると、そのアイディアを使ったミステリがあればヒットします。
私も時折、調べるようにしているのですが、良さそうなアイディアに出会ったときに限って、夢中になって書いてしまい、大分進んだ段階で初めて知ることが多いです。今回も、年末くらいの段階で検索しました。その時点で、かなりノリノリで考えていたアイディアが別の作品で使われていました!
この場合、どうするかの観点としては
ネタかぶりの度合い
使われた時期
ヒット作かどうか
この三点が大事だと思います。かぶりが薄く、発売が数十年も前であり、聞いたこともない作品であれば、あまり気にしなくても良いと思います。
今回の私のアイディアは、設定が同じでした。トリックは違うのですが、おそらく読者は「またゾンビか」という感じの既視感を覚えるでしょう。
(ゾンビではありませんが、分かりやすい例えを出しました)
しかも現在シリーズ展開中のコミックで、映像化する予定があると知って、潔くあきらめました。
このために一カ月ほど、無駄になりました。一年早ければ、書けていたのにと天を仰ぎました。
それでも分かって良かったのです。知らずに進めて世に出たら大変です。
『ロスト・ドッグ』では、ヒヤリとしました
ネットがない頃はどうやって調べていたのだろうと思います。出版前に編集者がチェックしてくれると言っても限界があります。
それに、同時進行していて、同時期に発売したら誰にも分かりません。
もう目も当てられません。
ヒヤリとしたのですが、私の『ロスト・ドッグ』と同時期に発売されたのが
佐藤青南さんの『犬を盗む』。現在も大ヒット中のミステリです。
『犬を盗む』と『ロスト・ドッグ』、タイトルを聞いた瞬間に嫌な予感がしました。
結果から言うと、タイトルが似通っているだけで、内容はまったく違ったものでしたから、ほっと安堵しましたが、少なくとも愛犬をテーマにしたミステリ小説が同時期に発売したわけですから、作家の知り得ないところで別の作家が同じ内容の小説を書いている可能性も十分にあるということです。
これは防ぎようがないのですが、ちょっと怖いですね。
これについては『犬を盗む』を出版した実業之日本社さんが、両方の作品の紹介とともに、対談にまとめてくださいました。興味がある方はどうぞ。
現在、プロットがまとまりかけている小説は、どうやら先行作はないようです。また経過をお伝えします。
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