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キャラの設定<小説の書き方>

キャラクターが書けていない、みんな同じ人に見える、など小説新人賞の選評によく見かける言葉です。
私も小説を書き始めた頃に、登場人物の書き分けができなくて、書いている内に、キャラの性格が変わっていたり、行動に違和感を覚えたりすることがありました。

そこで今日は、キャラを生き生きと個性的に書くために心掛けていることを紹介します。

①登場人物はタレントでイメージをしてみる

見出し画像につけたのは、『ロスト・ドッグ』の主要人物をタレントでイメージした表です。個性的な人ばかりだと思うのですが、外見と雰囲気をお借りして、この人ならこんな仕草をして、こんな口調、表情をしそうだ、というイメージで人物描写をします。
キャラが小説の中でする行動にあわせて探すのですが、「誰に演じてもらおうか」と勝手にキャスティングするのは、楽しいです。

もちろん性格や経歴などは別に考えるのですが、まず最初にそのキャラが明確に頭に浮かぶようにするためです。

キャラの名前
これもいちいち考える時間がもったいないので、イメージを借りたタレントの名前をひっくり返したりして、適当につけます。凝った名前を付ける必要がないのなら、最初はそれで十分だと思います。
しかし、私のキャラの名前とタレントを比べて分かるとおり、似ているのは「茂松」と「松重」さんだけです。他のキャラは育てていく内に、いろいろな理由があって、最初の名前から変わってしまいました。

たとえばですが主人公の保志太一。初めは、星野源さんのイメージだったのです。『おげんさんといっしょ』の星野さんと、松茂さんのコンビが好きだったので、あれで行こうと思いました。
なので「星」=「保志」にしたのですが、この保志太一、どんどんキャラが育っていって、どうやら星野さんではないなと考え直して、頼りない好青年のイメージがある(私にですが)窪田さんになったのです。

②主人公の履歴書、プロフィール表を作る

これは色々なところで言われていることなので、私の場合の見本だけを紹介しておきます。下は主人公の経歴です。小説の現在にいたるまでをまとめてあります。

※プロフィール表は小説のネタバレになるので、割愛します。

③主要人物の行動を時系列表にまとめる

実際の小説のスタートからラストまでの行動はカレンダーに落とします。この時に大事なことは
必ず全員を横並びで一覧できるようにする
ことです。

時系列表

これは時系列表の、ある一日の、主要人物の行動を横並びにしています。
これが小説に書かれる日数分、縦に続くと思ってください。
『ロスト・ドッグ』の場合は18日分なので18行でした。

このようにして、小説のシーンで書かない人物も、その時にどこで何をしているかを書いておきます。後で矛盾や齟齬が起きないためです。
そして、全員の行動を俯瞰できると、実は新しい筋、エピソードが生まれやすいのです。
ここで奈美から佐々木に電話をさせよう、沙智から太一にメールで獣医の情報をアドバイスさせよう、とか発想が膨らみます。

まとめ

これらのツールを使うと、登場人物を深く知り、考えや行動の源泉が明確になります。履歴書やプロフィール表を作ることで、そのキャラがすること、したいこと、考えることが頭に浮かびます。それはつまり作者の中でキャラが育っていくということだと思います。

キャラが十分に育つと、今度はキャラが勝手に動くようになります。こうなるとしめたものなのですが、逆に突っ走ってしまい、他のキャラの行動と矛盾したり、整合性のない動きをすることがあります。
時系列表は、そうならないようにキャラをチェックし、管理するためのツールにもなるのです。

ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
質問、感想などはコメントにどうぞ。







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