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『七回死んだ男』西澤保彦さん

これは何回目だろう……

主人公と同じように、この小説の世界をまた反復してしまいました。
同じ内容なのに読むたびに新しい発見があります。
そして西澤さんらしい楽しい語り口調にまた引きずり込まれました。

私は『ブラッシュアップライフ』や『ふてほど』が大好きです。
「タイムループ」や「タイムリープ」という特殊な設定を存分に使いこなしているからです。

土台は同じでもその上に構築したストーリーにオリジナルがあるのです。「この手があったのか」、「ここまでやるのか」という驚き。
※『ふてほど』はこの先、どうなるか、本当に楽しみです。

脚本家のみなさんは、この魅力的な素材を前にして、先人に負けるものかと、腕を振るっているのだと思います。

あとがきに西澤さんご自身が書いているのですが、
この設定がすでに本格ミステリで使われているだろうと思いつつも
「もしかしたら前例がないかもしれないという一縷の望みに縋った」
とのこと。

私もミステリを書くときには、前例があるかどうか、非常に気にするのですが、前例があることを恐れずに書きたいことを全力で書いて良いのだな、と教えられた思いがします。


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