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カンパッパ

『冬型の気圧配置で寒気が流れ込み日本海側では週末は平野部でも積雪の予想です。』

12月も半ばを過ぎるとスーパーにしめ縄飾りと小さな鏡餅とシャンメリータワーがそびえ立ちそしてこんな物騒なニュースが告げられるようになる。

凍えそうな季節に きーみは 
 愛をどーこー云うの


寒波とか大雪の予報だとか、そんな文言を耳にするたびに、頭にこのフレーズが流れる私は昭和の生まれの人間です。


昔は積雪のほとんど無い地域に住んでいたので、突き刺すような寒さなんだから、男女の打算的駆け引きなんて馬鹿馬鹿しいから、ただただ暖を求めて炎に手をかざすような素朴さで、人肌の温もりを感じよう、だとかそんな風な印象をこのフレーズに抱いていたのだけれど、日本海側北陸地方に住むこと5年、生存を危ぶまれそうな積雪を経験した身でこのフレーズを聞くと、大寒波襲来して大雪になり交通網麻痺して物流も止まり食料が届かなくなる恐れあり、降り始める前に食料の確保、スコップ、長靴、ママさんダンプに車の雪下ろし等の雪グッズの確認をする必要があるんだから、あいだの恋だの、あれが欲しいこれが欲しいは後回しなんだよ分かったかい?

と寒波舐めんじゃねぇよと雪国の厳しさを注意喚起する警告ソングとしての一節という側面が強くなったのは雪国あるあるかどうかは知らない。





"今週末の寒波でそっち雪やばいらしいね"


日本列島大寒波そんなニュースが報じられ始めると、こんなメッセージがスマホの画面に表示された。


太平洋側で一人暮らす夫から。


帰れない週末に雪大丈夫かな、気を付けてと心配しているのだ。



  "寒波"   "雪"  "やばい"


この3単語。  


"安い" "早い"  "うまい"


な回転寿司の宣伝文句みたいなこの並び。



"寒波"   "雪"  "やばい"

この並びを目にした途端、

頭に浮かぶのはもちろん


雪国警告フレーズとしての地位を確立した


この一節


凍えそうな季節に きーみは 
 愛をどーこー云うの




脈絡無いけどね


寒波といえばコレでしょと送信。






そんなんどーだっていいから
冬のせいにして 暖めあおう



間髪入れずに続きが送られて来た


さすが同世代マン。


流行ってた20数年前も知らなくない間柄だもんね、よしっ今度一緒にカラオケに行こう





休日の午前中、しょーもないやり取りに、にんまり口元がほころんで、しばしあったかいんだからとなりまして、寒波に備えて冬装備どーこーする前に、ほんのり素朴な暖かさを携帯の画面から感じましたとさ。




おしまい。

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