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大きな亀もASP方式なら水換え不要にできるの?

甲羅の長さ(甲長)が10cm以上まで育ってきた亀さん。
お水をすぐに汚しちゃうから、水換えが欠かせませんよね。

なんとかして水換えの頻度や負担を減らせないものかと悩んでいる人へ。
砂利を使ったASP方式を試してみてはいかがでしょうか。たいへんな水換えの負担をぐーっと減らせますよ。

ASP方式とは、ソイルを使って水換えの手間をなくす「ろ過システム」のこと。
砂利を使った場合でも、1~2ヶ月は、お水をキレイな状態にできるのですよ。

石の粒である砂利は、ソイルのように崩れません。
だから1年に1回の全交換をしなくても大丈夫。

お店にいる大きな亀たちも、砂利を使ったASP方式です。
ごはんをモリモリ食べてるけど、水換えは1ヶ月に1回だけなのですよ。

今回の記事では、砂利を使ったASP方式に必要なものから、お手入れの仕方まで、くわしく解説していきます。

大きな亀のASP方式に必要なもの


大きな亀さんのASP方式で、使用する商品は以下の2点になります。

・プロジェクトフィルターS
・渓山砂(お店で使用している砂利)

それぞれ、くわしくお話していきます。

プロジェクトフィルターS


アクアシステム プロジェクトフィルターS

大きな亀さんにASP方式を使う場合は、エアポンプ式のプロジェクトフィルターSで循環を行います。
プロジェクトフィルターSを使う理由は2つあります。


1つ目の理由は、水位をうんと低くできるからです。

たとえば、クサガメやミドリガメを飼育している場合、この子たちは甲羅干しをするから、陸地が必要になります。

水中ポンプがないプロジェクトフィルターSは、扇形の吐き出し口が、水中に浸かっていれば問題ありません。

左側がプロジェクトフィルターS
  右側がプロジェクトフィルターPS

亀さんが陸地を登って、脱走できない水位に調節できるのですよ。

エアポンプ式のASP方式は、水中ポンプ式よりも水位を9cmくらい低くできますよ。
上のイラストを参考にしてくださいませ。


2つ目の理由は、隅っこに隠れたがる亀さんの習性を考慮しているからです。

水中ポンプ式のプロジェクトフィルターPSには、黒い箱型をした水中ポンプが、透明なパイプに乗っかるように接続されています。

プロジェクトフィルターPS

隅っこに隠れたい亀さんは、水中ポンプの隙間に入りこもうとします。
このとき、パイプと壁の間に、頭をぐいーっと押しこんでいきます。

すると、亀さんの硬い甲羅が、水中ポンプにひっかかります。
亀さんが、追い込みをかけるように前進すると、水中ポンプはパコンと外れてしまうのですよ。

大きな亀さんにASP方式を使う場合は、この2つの理由により、エアポンプ式のプロジェクトフィルターSを選びましょう。

渓山砂


アクアシステム 渓山砂(中粒)

お店の亀さんたちに使用している砂利(ろ過材)のことです。

渓山砂は、ザラザラした手触りの丸い粒をしています。
ザラザラしているのは、表面が多孔質だからです。
多孔質とは、きめ細かいメッシュのような状態のこと。
ろ過バクテリアがくっつきやすい、という特徴をもっています。

お店で使っている実績があるから、「渓山砂利」はおすすめです。
とはいえ、使用する砂利に決まりはありません。

・ソイルを砂利に変える理由


大きな亀さんは、ザクザクと砂を掘る習性があるので、ソイルの粒を崩してしまいます。
石の粒である砂利を使用することで、崩れる心配がなくなります。

プロジェクトフィルターはそのまま使い、プロジェクトソイルを砂利に変える感じです!

・砂利の粒は、大きさに気をつける


砂利を選ぶときに気をつける点は、粒の大きさです。

さらさらのパウダーみたいな砂だと、プロジェクトフィルターのスリット(お水を通す隙間)に入りこみ、詰まらせてしまうからです。

砂が詰まっているときは、エアー(ぶくぶく)の音も、ボコボコ、ボコボコ、と唸るように響きます。
いつまでたっても、水がキレイにならない状態になります。

渓山砂以外の砂利を使うときは、BB弾くらいの大きさの粒を選ぶようにしましょう。


バクテリアたちは、砂利の表面に「バイオフィルム」とよばれる「自分たちの住みか」をつくり、定着するからです。

バクテリアの住みかを効率よく増やすには、表面積が大きい砂利を使用するのですよ。

たとえば、粒のサイズが違う砂利を詰めた袋が2種類あったとします。それぞれの重さは1kg。このとき、粒の量は、どっちのほうが多いでしょうか。

画像はイメージです

小さい粒をした砂利のほうが、量は多いですよね。つまり、表面積が大きいということなのですよ。

下の写真も参考にしてください。
砂利(粒)の量が多いのは、渓山砂ですよね。

渓山砂1kg(左側)と玉石1kg(右側)

大きな亀のASP方式(お手入れ)


砂利を使うASP方式は、1年に1回のソイル交換がありません。

ソイルを使ったASP方式との違いは、水がすぐ透明にならないことです。
なぜなら、ソイルがもっている汚れを吸着する力は、砂利にないからです。

でも大丈夫。水がきれいになるまで、時間がかかるのは最初だけ。
最終的には、1ヶ月に1回の水換えで、きれいな状態を維持できるようになりますよ。

まずは、水換えのやり方を説明いたします。

水換えのやりかた


写真の水換えクリーナーは「水作 プロホース」

ホームセンターのアクアコーナーや、100円ショップでも販売している「水換えクリーナー」を使います。
砂利の中に溜まりこんだ汚れを吸い出しながら、水換えも一緒にできる道具です。

水換えクリーナーとは、吸水側と排水側が、糸電話のように繋がった、ホースみたいな道具です。
ホースには、手動式のポンプが付いています。
水槽の中に、水換えクリーナーの排水側を入れ、揉むようにポンプをシュコシュコします。
すると、お水が自動的に上がってきて、排水がスタートするのですよ。

水換えのやり方

水換えの量は、50%から70%くらいにしておきましょう。換えすぎてしまうと、バクテリアの量が減ってしまうからです。

・最初の1ヶ月間は、水換えを頻繁にする


砂利を使ったASP方式は、すぐに水がキレイになりません。
水換えをしてあげないと、水質が悪化して、亀さんの体調も悪くなってしまいます。

1ヶ月くらいは、1週間に1回の水換えをしてあげましょう。

なぜなら、浄化の働きをするバクテリアが、砂利に定着していないからです。

バクテリアは空気中からもはいってきますが、定着を早めるには調節剤を入れましょう。
お店では、有益な善玉菌を増やしていくために、バイオバランスを添加していますよ。


・水がキレイになるのは、1ヶ月かかる


目に見える「排泄物」を食べるバクテリア目に見えない「アンモニア」を食べるバクテリアが、互いに共生して住み着くまで、1ヶ月くらいかかるからです。

バイオバランス」を添加して水槽に入ってきたバクテリアが、バイオフィルムを形成して、みんなで住める場所をつくります。

プロジェクトフィルターと砂利を組み合わせることで、漂ってるバクテリアも、低床に引き寄せられます。

プロジェクトフィルターは、酸素を砂利に送ってくれるから、バクテリアも活発になり、住みかをつくるようになるのですよ。

セットしたばかりの砂利には、バイオフィルムができても、バクテリアたちがまだ住んでいません。

マンションで例えるなら、空室の状態です。

バクテリアという住人が、バイオフィルムができた砂利(マンション)に入居してきます。

マンションのオーナーをあなた自身(飼育者)とします。
汚れをキレイにするバクテリアが、入居していないときは、マンションのオーナー(飼育者)が水換えをしないとなりません。

1ヶ月くらいすると、マンションは満室になります。
こうなればオーナーの出番は、ぐんと減るのですよ。

アンモニアを分解するバクテリア(硝化菌)が定着する期間は、約1ヶ月といわれています。

・1ヶ月後は、水換えの頻度を減らす


バクテリアたちが砂利に定着をした時期なので、水換えのペースは減らせるようになります。

セットしたときは、ぼんやりと濁っていた水も、すっきりとクリアーになります。
なぜなら、バクテリア群によって汚れが分解されるようになったからです。

とはいえ、バクテリアが定着したのかは、どこでわかるのだろうと思いますよね。
とことん調べるならば、顕微鏡を使って砂利をのぞいてみるしかありません。

お店では、バクテリアが定着したかを決めるときは、水の見た目ニオイで判断していますよ。
お水に関しては、なんとなくぼんやりと濁っていた状態が、シャキッと透明になります。
ニオイに関しては、不快なニオイがしなくなります。

バクテリアの定着が完了していないと、アンモニアの段階で「分解」が滞ります。
このときの水は、ぼんやりと濁っており、ドブっぽいニオイもしてきます。

水換えをする理由


バクテリアが居なくなるのを防ぐために、水換えをします。

分解しきれなった排泄物やゴミは、砂利のなかに溜まっていくので、通水が悪くなるからです。

水中の酸素が、砂利の中に供給されにくくなるから、バクテリアたちは死滅してしまいます。
これに伴い水質が悪化すると、外傷から感染する「水カビ病」になるリスクも高くなってしまいます。

ぼんやりと濁ってきたり、むわっとした臭いがする前に、水換えをしてあげましょう。
水換えをする周期もつかめると思います。

亀さんの健康とバクテリアの活動をサポートするためにも、水換えは必要なのですよ。

水換えの注意点


水道水でジャブジャブ洗うのはNGです!

・カルキ抜きをした水道水を使うこと
・キレイにしすぎないこと

なぜなら、時間をかけて定着させたバクテリアたちが居なくなってしまうからです。

亀さんの排泄物や食べ残しが、砂利の中に溜まっていると、根こそぎキレイにしたくなりますよね。

水道のホースを使い、ジャブジャブしながら水洗いすれば、ピカピカになるし気もちよさそう。でも、これはやってはいけません。

水道水には、消毒のためにカルキ(塩素)が含まれています。
水道水でジャブジャブ洗うと、有益なバクテリアたちも殺菌されてしまうからです。

ですので、亀さんの水換えは、カルキ抜きをした水を使いましょう。

カルキを抜いた水でも、キレイになるまで洗い続けるのはNGです。
バクテリアが形成した「バイオフィルム」も壊れてしまうからです。


バイオバランスを添加しましょう


お店でも使用しているバクテリアです

バイオバランスは、バクテリアの餌になる糖類なども含みます。水換えをしたときに添加しましょう。

水換えの際に、流出したバクテリアの補充ができるからです。

たとえば、水換えの頻度が1ヶ月に1回なら、バイオバランスも1ヶ月に1回の添加で大丈夫です。

バクテリアの増殖を促進させるためにも、バイオバランスは定期的に添加しましょう。

まとめ


砂利を使ったASP方式は、ソイルと違って、全交換の必要がありません。
活性炭フィルターや交換マットを購入して、定期的に取り替えるようなこともないから、コスパも良いですよ。

水換えさえできれば、日々のお世話は成り立ちます。
いろいろな水質調整剤を入れたり、フィルターを増やしたりするよりも、キレイになる効果が実感できますよ。

ぜひ検討してみてください。
この記事が参考になれば幸いです。

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