人生の一番

なんでこのnote更新しようと思ったか、思い出した。

墓に入れようという魂胆は変わらないけれど、ちょうど今バイトを新しく変えて、なんだかそれが、「舞台役者を目指そう」「親に縁を切られても上京しよう」と思った大学3年生の6月や、「この人をもっと大きな劇場に連れて行く」と覚悟した事務所所属初日の気持ちに似ていたからだ。

これまでの人生で、といっても高校生あたりからの人生で、気持ちの転換期がいくつかある。わくわくする感覚や、新しいことが始まるぞという予感。実家を出て静岡の大学に行くと決めた日、上京を決めた日、事務所の所属が決まった日、引っ越しを決めた日など。今の感覚がその時の感覚と近い。たぶん、ここから新しいことが始まる。

それには少し前の話から始めないといけないので、簡単に書き起こしてみようと思う。面倒な方、どうぞ次の段落はすっ飛ばしてください。

2021年は有り難いことに、芝居に出演させてもらう回数が4回あって(うち1本はコロナの影響でなくなってしまったけれど)、総評してものすごく楽しい1年だった。ただ、体が限界だった。若いから大丈夫なんて甘く見てたら、年末に倒れた。どういう原理か分からないけど、熱もないし食欲もあるのに、足下がぐらついてまともに立ち続けたり歩いたりが出来なくて、1日18時間ぐらい寝る生活になってしまった。まあ半月でなんとかなったわけだけれど、18時間というのは大袈裟ではなく、マジで。なので今頑張ってる人達に伝えたいのは、とにかく休めってことです。話が脱線したけれど、とにかく創作活動には体力が必要であるということ、人間には休みが必要であるということ、しかしその為には十分な時間とお金が必要であるということを身をもって知った23歳の冬だった。その為には、まずバイトをもっと時給の良い環境に。。。と思って応募したバイト先がなんと経営の勉強もさせてくれる職場で、私の夢を応援してくれる人やおもしろがってくれる人がいる場所で。これは本当に偶然で、自分でも吃驚した。その人達のご厚意に甘えることに決めて、転職したのが2月中旬。2月8日に転職を思いついて応募してから一週間経たず決まったので、相変わらず私の人生はジェットコースターである。

すっ飛ばした人、ここから読んでくださーい。

さて、無事に転職できたのをきっかけに、私はお金の問題に向き合うことにした。芝居だけやってても、芝居は上手くなるけど自立できないんだよね。心はともかく経済的に自立できないと、いつかバイトとの掛け持ちに体が追いつかなくて演劇人生が予想より早く終わるなんて事も大いに考えられる。それだけは嫌だ。80歳まで芝居をやると心に決めているから、これは早急になんとか解決したい問題だった。

そこで、私は初めて舞台以外のことを舞台より優先することにした。

この土壇場に来て気づいたんだけれど、これまでずっと私は舞台中心の生活だったようで。10歳で初舞台踏んでから、舞台稽古の合間にご飯を食べて、舞台稽古行くために学校行って、舞台稽古休みたくないから成績もそこそこ良い順位をキープして、舞台の為に健康維持もしてきた。常に私の人生の一番は舞台で、友人でも家族でも恋愛でもお金でも無かった。きっと、ずっと、そんな生活を守ってくれた両親やどこかで我慢してくれた友人がいたんだろう。今更気づくなんてあまりにも遅いけれど、感謝しても仕切れない。本当に頭が上がらない。ともかく、舞台以外の何かが一番になるなんて思いつくことすらなかった。振り返ってみれば、そんな人生だった。

なんなら、上京したときに決めていた。「これから舞台の上に立つ人間として生きてくわけだけど、例えどんなことがあっても舞台を選ぶ」と。嫌な言い方になるが、身内の不幸があろうと、友人に何かあろうと、大切な記念日であろうと、自分の体に何があろうと、舞台に立つことが決まっていたなら、迷わず舞台を優先する。今思えばとんでもなく間違った覚悟。でもね、本気だったんだ。一年前はね。

23歳にして初めて、私は舞台ではなく、その為の仕事を優先した。全てはこれからの舞台人生の為。長く、長く、舞台に立ち続ける為。自分努力次第だけど一瞬の我慢。長い目で見たらきっと必要な時間…。

わかってる。これからは守ってくれた両親や友人がいなくても、自分で自分を律していかなくちゃいけないこと位。だけど、悔しい。悲しい。どうして私は、舞台の上にいないんだろう!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

さっさと自分の生活安定させて、さっさと舞台の上に戻りたい。この時間をいつか泣かずに笑って思い出せるように。くそー、やっぱり悔しい。

人生の一番は、舞台だ。その時、その日の一番は家族や友人かもしれないけど、人生の一番だけは譲れない。

そして、そのための我慢が今から始まる新しい生活なんだと思う。ちょっとマイナスな描き方だけど、後悔はしてない。これからも変わらずレッスンには通うし、観劇も行く。舞台から離れるわけじゃ無いけど、少し自分の気持ちの方向性が変わった瞬間。気持ちの転換期。

いよいよまとめ方が分からなくなった。けれど、ちゃんといつか、この文章を読んで笑えてますように。酒のつまみにでもしておいてね、未来の私。頑張れ、今の私。


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