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さがしもの



生まれてこの方、私は今日まで、いつもやたらと激しく何かを探すことに忙しく生きてきました。

それは、いつか提出しなければならないと分かっていながらも、期限がさし迫るまで、キリギリスのようにごろごろと、ある時は串に刺さった団子をお茶と一緒にむしゃむしゃ、ある時はぶどう酒とつまみをパクパク食べながらジーっと映像を貪ったり読物の頁をパラパラめくったり、情報の渦を追いかけたりばかりしているので、ぽいっと箱に(ひどい時には、部屋に丸投げ)放りなげたきり整理されていない領収書の山や送付されてきた書類の山から必要な書類を探したりすることが大半なのですが…


探すといえば、毎日の行動をあまり決めつけすぎずに感覚を頼りに生きている方なので、暇をみつけては、食べたいものだとか、行ってみたいお店を探すときもあれば、欲しいな…と頭に浮かぶものは(時期柄、レシートの精査が続いていた為、判明するには)、季節の花だとか、食べものをさがしまわっていることがすごく多いようですが、昨年だと急激に本をよく探していたり、葡萄酒や映画や匂いのするものへの情熱は例年横ばいで、多分女子を維持するための化粧品や洋服への興味もゼロではないけど、それらを上回る趣味というか、自然と目が向いてしまい、気付いたら血眼になってさがしているものが年々輪郭をはっきりとさせているのです。

器、食器、酒器、カトラリー?と言ったら大袈裟になってしまうから、なんと言ったらよいものか、説明はまごついてしまいますが、食卓を飾る装飾品全般、ガラクタから骨董(なんて置き場もないし、地震が心配だし、蓄えも足りずにまともに買えやしないけれど)から新品まで。この数年は、出張先でのふとした時間や、人からの薦めや、通いたい飲食店さんの佇まいを観察している影響からか、民藝に触れ、考えながら生活するのが心地よいと心底思え、仕事の緊張や期限に迫られた事情から解放されるや否や、何かをさがし出すのが習慣になってきているよう。

といっても、何かと考えることが多く、せせこましく生きているし、臆病で慎重でものぐさな欲張りなので、手を出すものと言ったら、管理の簡単そうな豆皿や茶器の類いが多いのですが…


ニ、三日前のこと

傷心を癒すと言うと、これまた大袈裟なのかも知れませんが、仕事の予定がないのをいいことに、気付くと沖縄へふらふらと肉体が勝手に移動してしまっていたのですが…

やはり、よく使うワインを蓋するストッパーみたいなものが明らかに傷み汚れているのを、断捨離でだいぶはじいたりしたにも関わらずぼんやりしすぎて全く気付けずにいたり、コーヒーフィルターを置くドリッパーが、これもかなり使用頻度が高いのに、この一、ニ年の間にあまりにきちんと洗えていなくて、最近そのことにさすがに気付いて重曹などで洗浄をこころみても、積み重なった渋はびくともしなかったから、500円くらいだし買い換えたいなぁ…という思いに急に苛まされると、いてもたってもいられずに、期限が差し迫り落ち着けずにいる(のは、のみすぎて怪獣になってしまい脳が破壊され目下の修復に充てられるロスタイムが多すぎる異常が明らかな原因という自覚まではありますwith怪獣の大粒の涙)あの申告の作業を中断し、さがしものを探しに大好きなやちむんパラダイスへ小走りで向かったのでした。

あらかじめ、自分のその'さがしもの'を下調べすれば話は早かったのかも知れませんが、沖縄の気候、それに浮かれてか起こる私の奇行、心模様が、下調べなんてことをする考えをすっかり忘れさせてくれて…


一軒ずつ見回してみても、'さがしもの'は矢張りうまくは見つからない。何日か前も、以前販売しているのを見かけたことがあった売場になかったので尋ねてみると、比較的数が少ない商品だから展示会などに合わせて作っていたのが丁度売り切れている頃なのかも…という話を聞いていて納得はしていた。

そうこうしていると、おみやげを渡したい人の顔が浮かんできて、箸置きが好きという何人かの自分の好きな人たちやその家族の人数を計算したり、お子ちゃまにはまだ口にいれたりしたら危ないかな?とか何となく実際に会ったのは随分前のことでも、snsでみる近況から想像すると、同じ歳くらいでも皆んな性格やタイプがまるきり違うのが透けてとれるから面白い。

そういえば、赤と黄色のこの沖縄箸はテンションあがるなぁ…とやっと今回の旅の最終日に気付けたので、それもさがしていたら、なんと昼過ぎには四十膳入荷して並べていた箸も残り二膳で、毎日飛ぶように売れているとのこと。


皆思うことは一緒なんだね…
同じ箸を求める気持ちはなんだか嬉しいもの

昨日の昼間、血眼になって探していた電卓は、旅に出る前に旅人によってきっかり書類と一緒にセットされた袋の奥底に沈んでいたのが、時間と共に見つかり出しました。

二週間まえの一瞬の自分の動作までは憶えていられなかった。

欲しい商品はネット通販でも売っていそうだけど、どうした訳か、わざわざ探しに行きたいと思うもの。

そして未だに商品名が何なのか、ものは上記の写真通りのものだけど、目の前の人に口でうまく説明できそうにないので、これからも思い出すたびに、自らすすんで街へさがしにゆくのがはやいと思っています。


ここ最近、登場回数の多い黄色の恐竜のやきものは、こちらから探さずとも、約一週間前にわたしの視界に急に飛び込んできては、一瞬にしてわたしを魅了し、きっとわたしの巣のどこかにこれからも潜み続けることになるのだと思います。

ねぇ、、まだ名のないザウルスくん?ちゃん?

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