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自己肯定感を守る①:PSWの福祉コラム

※「自己肯定感を守る」…このコラムは2本立てです。1本目で「自己肯定感」とは何か基本的な解説をし、2本目で失われた自己肯定感をどのように回復したら良いか、自己肯定感が奪われにくくなるための工夫について書いていきます。

自己肯定感の大切さ

うつ病や適応障害を起こしてしまい、仕事・学校に行けず困った状況に置かれる方は一定数いらっしゃいます。社会に参加できない状況は、「自分の価値」が揺らがせ「自己肯定感を低下」させてしまいます。

実はこの「自己肯定感」は、メンタルヘルスを健康に保つ上でとても重要な感覚なのです。

自己肯定感とは

自己肯定感とは、「自分は存在してもいいのだ」と無条件に信じられる感覚。一般的には、親から無条件に愛されることで幼少期に育まれる感覚で、この感覚が「自分を大切にして良い」「自分にとって有利なものを選びとって良い」と言う自信につながるのです。

自己肯定感が希薄になる2パターン

うつ病や適応障害を起こす人の多くは、この自己肯定感に障害を持っています。

それは、幼少期から育まれるはずだった自己肯定感が健全に育てなかった場合と、後天的に他人によって自己肯定感を奪い取られてしまった場合があります。

器質性に自己肯定感が低い

育まれるはずだった自己肯定感が初めから得られていなかった場合。これは、本来幼少期に出来上がるはずだった自己肯定感が育たず、「条件付きの自己肯定」になっていたり、「自己否定感」が育ち上がっている状況です。

この場合、「自分は自己肯定が低い性質なんだ」と理解しておかなければ、他人との関係がギクシャクしてしまいます。

例えば「相手を怒らせてしまった」「相手から嫌われている」と感じた場合。この時可能性の1つに加えるべきなのが「加害妄想」です。

「相手に嫌がられる事を自分がしたに違いない」と信じ込むことは「加害妄想」です。自己肯定感が低い人は「自分が悪い」という評価に陥りがち。その方向に思考バイアス(方向性を持った思考の癖)がかかりやすいことを知っておくことが、その思考に転げ落ちる前に踏みとどまるきっかけになります。

後天的に自己肯定感を奪われた

威圧的な教師、上司のパワハラ、他人による性的暴行など、他人から自分の尊厳を無遠慮に踏みにじられることで後天的に自己肯定感を奪われることがあります。

自己肯定感を失うかどうか、どの程度奪われてしまうかはその人によります。でも、自分が存在していい自信なんて「存在許可バロメーター」があるわけでもなく、他人からの評価ですぐに揺らいでしまう不確かなもの。低評価しかされない環境に置かれ続ければ、自己肯定感は侵食されていきます。

自己肯定感の欠落は「その場所、その対人関係」から始まります。この段階では「仕事以外なら外にも出れ」ますし、「学校以外なら友達にも会え」ます。「甘えてサボっている」と言われるあの状況ですね。

ちなみにこの状態は「適応障害」と診断されることが多く、環境が変われば再び自己肯定感は構築されて行きます。無理!と思ったら早めに環境を変えるのも1つの手段です。

回復が難しい「自己肯定感の喪失」

適応障害の状態から自己肯定感の侵食がさらに進むと、「生きている価値がない」「いつでも悪口を言われている」と言うような、「被害妄想」「加害妄想」に近い思考に支配されてしまいます。

こうなってくると、自己肯定感はほとんど失われてしまっています。「定型うつ病」や「統合失調症」の発症リスクの高い危険な状態。環境調整などをご自分一人で頑張る前に、病院や相談センターに行って、話を聞いてもらう、精神症状に合った薬を処方してもらうなど、回復をサポートしてもらってください。(その方が結果的に自分に余力ができ、拗らせずに済む場合が多いです)

まとめ

「自己肯定感」がメンタルヘルスに置いてとても重要であることについて書きましたが、本題はここからです。

育たなかった自己肯定感とどう付き合うか。また、無くしてしまった自己肯定感をどのように回復させるか。そして、自己肯定感を他人に奪われないようにするためにはどうしたら良いかについて、この次のコラムで記載したいと思います。


駆け出しライター「りくとん」です。諸事情で居住エリアでのPSW活動ができなくなってしまいましたが、オンラインPSWとして頑張りたいと思います。皆様のサポート、どうぞよろしくお願いします!