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"おおらか"と言えば聞こえはいいけれど

真面目な人が苦手だ。
遅刻をしない。
忘れ物をしない。
時間をしっかり守る。
世間ではどれも、「良い」とされていることだ。
けれど私は、それらを「息苦しい」と感じてしまうことが多々ある。

全員が全員そうだというつもりは全くないのだけど、真面目な人は他人にもそれを求める人が多いと感じる。
自分は遅刻をしないのだから、相手にもしないでほしい。
なんなら5分前行動が当たり前。
忘れ物をしないように前日夜と当日の朝にダブルチェックするのは当然。
時間を守らないなんてあり得ない。
ちょっと大げさかもしれないけど、そんな風に考えている”真面目な”人が多いなと思う。

そして、そんな”真面目な”人は、”真面目でない”人によく怒っている印象がある。
「5分遅刻するなんてどういうつもりだ」
「忘れ物するなんてあり得ない」
こういう風景を目にする時、(第三者の)真面目な人はどう思っているのだろうか。
「悪いことをしたのだから、怒られて当然」と思っているのだろうか。
私は、「いちいちそんなことくらいで怒ってんじゃねえよ、心狭いな。謝ってるし、そんなに影響ないし、さっさと許せばいいやん。っていうか怒ってる声めっちゃやかましい、静かにしろ」とまあだいたいこんな感じのことを思っている笑
真面目な人は驚いたかもしれない。
でも私はよくこんな風に心の中でイラついている。
ミスをする人より、それを許せない人が苦手なのである。
そもそも、人間とはミスをする生き物ではないのか?
今まで1度たりとも遅刻せず、忘れ物もせず、完璧な人なんて存在するのか?
こんなことを言ったら「何開き直っとんねん」と突っ込まれてしまいそうだが、でも本当にそう思うのである。
もちろん、ミスの度合いにもよることは重々承知している。
やってはいけないミスがあるのもわかる。
極端な話、100万の発注を間違えて100億としてしまえばめちゃくちゃ怒られるのは当たり前だ。
というか、このレベルだと怒られるだけで済むことはまずない。
何人かの首が飛ぶ可能性もある。
けれど、店も決めずに集合したランチの約束に5分遅れたところで、別に誰の首も飛ばない。
貸すつもりだった本を忘れたところで誰も死なない。
ビジネスですら、情報共有が目的の社内会議が10分遅れになったところで、売り上げに影響は(ほぼ)ない。
にも関わらず、なぜ真面目な人はいちいち怒っているのか。
正直なところ、理解に苦しんでしまう。

私は「自分はよくミスをする方だ」という自覚があるので、できるだけ他人のミスにも寛容でいようと努めているつもりだ。
(差別や誹謗中傷、影響が大きなミスは別)
そして正直なところ、人に対して「私もあなたのミスを許すから、あなたにも私のミスを許してほしいなあ〜」くらいのことを思っている。
もちろん、ミスをしたことに対しては悪いと思っているし謝るけれど、ちょっとしたミスで烈火のごとく怒りを爆発させるのはやめてほしいなあと思う。
”お互いにミスをしないよう気をつける関係性”よりも”お互いのミスを許しあえる関係性”が好みなのだ。
そんな考えでいたら、”類は友を呼ぶ”とでも言うべきか、似たような考えを持っていると思われる友達がたくさんできていた。
そういうタイプの友達とは、まず”ちゃんとした約束”をすることが少ない。
なぜなら守れない可能性があるからである笑
「は?」と思った方もいると思うので説明する。
例えばご飯の約束をする時に、「19時に東京駅の丸の内北口で!」といった表現ではなく「19時”くらい”に東京駅”らへん”におって〜」と表現する。
ちゃんとした時間を決めないので(めちゃくちゃ大幅に遅れてこない限り)遅刻はしない。
合流する時はLINEで「今東京駅の大丸におるねんけど、どこおる〜?」「今サピアタワーのスタバ!出て大丸行くから1階におって〜」などとやりとりすれば何の問題もない。
携帯がない時代なら一生会えなかっただろうけど、モバイル端末普及率9割越えの現代ではこれで十分なのである。
もちろんこれは一例だ。
日によってはちゃんと時間を決めることもあるし、行きたい店が人気店なら予約をすることもある。
けれどそういう場合でも、遅れたときにいちいち友達を責めたりしない。
道に迷うこともあれば、電車が遅れることもある。
前の予定が押すこともあるだろう。
ちょっとの遅刻でいちいち怒っていてはやっていけないと思うのだ。

「本当にそんなことあるのかよ?」と思う方もいらっしゃるかと思うので、私の体験談を書いておこう。
ある時、大学時代の友達6人で夜ご飯を食べに行くことになった。
「じゃ、仕事終わり20時くらいに浅草らへんで〜」という話になったので、私は19時50分くらいに浅草駅に降り立った。
ここまで読んでくださった方ならお分かりかと思うが、私は毎回10分前行動ができるような人間ではない。
なんなら10分遅れることの方が多い。
(ちゃんと毎回謝罪してます・・・)
このとき10分余裕があったのは単なる偶然だ。
私が浅草に着いた時点では、まだ誰も来ていないようだった。
予想通りだ。
20時になった。
まだ誰も来ない。
予想通りだ、何の問題もない。
私はとりあえず、メンバーの中で比較的時間通りに来ることが多い女友達に連絡した。
「浅草おるけど今どこ〜?」
「えっもう着いてる!?ごめんどうせみんな遅れると思ってまだ職場!」
まさかの確信犯でワロタ。
そこからパラパラと集まり始め、全員が揃ったのは21時半。
一応の予定より1時間半遅れの集合だ。
それでも、怒り出す人は誰もいなかった。

逆に、人が立てた予定にイラっとしてしまったこともある。
職場のとある飲み会での話だ。
プロジェクトの成功祝いをすることになり、幹事の先輩から案内メールを受け取った。
「業後18時半スタート」
この時点で「え?」と思った。
弊社は17時半定時なのでまあ無理な時間とまでは言えないのだが、定時退勤日でもない日だったし参加メンバーのほとんどは毎日のように残業する人達だったからだ。
「18時半スタートは厳しいのでは・・・?」
そう思ったが、もう予約済だったので何も言わずにいた。
当日店に向かうと、案の定、時間通りに来れたのは私と幹事の先輩だけだった。
「みんな遅いなあ〜」
イライラしながら呟くその先輩に、私はイライラした笑
毎日遅くまで残っている人達を捕まえて「この日だけは何があっても全員定時に上がれ」という方が無理な話である。
私が普段プライベートで参加する大人数の飲み会(10人以上)は、だいたい20時スタートのものが多い。
店の都合によっては21時スタートのものもある。
それでも間に合わない人もいるけれど、みんなそれぞれ事情があるとわかっているので誰も怒らずに先に乾杯する。
(一斉スタートで遅刻厳禁な場合もたまにあるが)
もちろん、遅れてきた人も「何で先に乾杯するねん!」なんてことは言わない。
正直、幹事が「18時半スタートで」なんて言ってきたら「この人働いたことないんかな・・・?」と思ってしまう。

ここまで読んで、「うわこいつ人としてやばい・・・」と思った方もいらっしゃると思う。
胸糞悪すぎて途中で読むのをやめた方もいるかもしれない。
(もしいらっしゃったらすみません)
これは結局、価値観の違いなんだろうなと思う。
ある種の諦めと言われてしまえばそれまでだけれど。
私は、上述のような”お互いのミスを許しあえる関係性”が、居心地がよくて好きなのである。
決して真面目な人に不愉快な思いをさせてやろうとかそういうことを考えているわけではない。
ただ、そういう人、そういう価値観と合わないのである。
(仕事は仕方ないから別として)できれば真面目な人とは異なるコミュニティで生きていきたいなあと思う。
お互いにとって、その方が精神衛生上幸せじゃないかなと思うから。

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