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イケメン巨根おじさん15〜営業編〜歌い続けるアラサー。



私達は、カラオケのあるスナックへと移動した。



この夫婦との時間には、どうしても歌が必要なのだ。

私達は、どうしても歌を歌いたかったのだ。


チンピラさんはもちろん、私もあまりの空気に耐えきれずに酒に飲まれ、完全に出来上がっており、泥酔状態で焼酎のキープボトルを分けると歌を歌った。



私達は歌を歌うことしかできなかった。


私の夫はというと、空気を消す。という超能力を持っているため、誰からも姿が見えなくなっていた。


私とチンピラさんは、歌を歌い続けていたが、私達は、ちゃんとアラサーである。


しばらく歌を歌い続けた私達は、さすがに体力の限界を感じ、椅子に座り、大人しく酒を飲み始めた。



まだ、でくのぼうと、メンヘラちゃんは、何やら揉めていた。

「ねぇ、アケミさんと何か話してたでしょ?」

「え?あぁ、世間話だけど。」

「そんな大切な話?なんかあるんじゃないの?」

「いや、普通に喋ってただけじゃん。」



アラウンドサーティの私達に、歌う元気はもう残されていなかった。


「最近さ、アケミさんの所飲みに行きすぎじゃない?」

「いや、お前も来てんじゃん。」

「私いない間に何かあるか分からないじゃん…。」






あ、あのさー!!!!!

嫉妬心によるお互いの愛情を確かめ合っている所悪いんだけどさー!!!!!

何回も言うんだけどさー!!!!!


家でやってくんねーかな!?!?!?



大前提に、アケミさんは先程の居酒屋の店主の妻。しかも、店主はかなりのイケおじである。


メンヘラちゃんは、でくのぼうとアケミさんの関係を疑っているようであった。

しかし、あの美人の奥さんが夫であるイケおじの店主を差し置いて、

このヤバい女に殺されるかもしれないというリスクを背負いながら、このいけ好かない中年に惚れる理由があるのであれば、是非教えていただきたいものである。



ちなみに、ちなみにだ。

今日は私の「初契約、おめでとう会」だという事を、皆忘れているのではないだろうか。



2人の口論がしばらく続くと、なんとメンヘラちゃんが涙を流し始めた。


内心おいおい、勘弁してくれよ。と思いつつも、私は戸惑いながら、「でくのぼうさん、メンヘラさんの事大好きなので、大丈夫ですよー!」などと、必死にフォローをした。


チンピラさんも戸惑っていた。


夫は相変わらず、空気を完全に消していた。





おかしな空気は続き、そのまま解散した。
私は、どっと疲れを感じた。



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