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【WBC】準決勝①みどころ

WBCも早いものであと三試合!

オーストラリアを破ったプールAのキューバと、プールD一位ベネズエラを破ったアメリカが対戦します。

政治的な話は抜きにし、シンプルな戦力分析から、見どころを探ります。

打撃

平均系の成績としては、見た目上に大きな差はありません。ただし、積み上げ系を見ると、アメリカが HR 6、三塁打 4 とトップクラスの成績に。苦戦したプールCを経て、調子を上げてきたことが分かります。

打率 キューバ .311 アメリカ .295
OPS キューバ .825 アメリカ .884
HR キューバ 2 アメリカ 6
三塁打 キューバ 1 アメリカ 4

https://www.mlb.com/world-baseball-classic/stats/team

投球

準々決勝前までは日本、ドミニカ共和国に次ぐ投手成績を誇ったキューバ。その位置付けは変わっていないのですが、アメリカも徐々に調子を上げてきました。前回の記事で、アメリカは奪三振がやや控えめといった趣旨を示しましたが、ベネズエラ戦を経て奪三振も伸びました。今やキューバが勝っているのは、通算の防御率と被本塁打で、K/BB ではアメリカが上、という状況になっています。

防御率 キューバ 3.20 アメリカ 4.81
被本塁打 キューバ 2 アメリカ 6
WHIP キューバ 1.18 アメリカ 1.23
K/BB キューバ 2.82 アメリカ  4

https://www.mlb.com/world-baseball-classic/stats/team/pitching?sortState=asc

展開予想からくる見どころ

以上の要素から、これまで安定した成績を残しているキューバの投手陣が、調子を上げてきたアメリカ打線をどう抑えるか?これが焦点になりそうです。ただし、キューバにとって幸いなのは、アメリカのブルペン陣は準々決勝だけでなく、プールCでもそれなりに登板している、という事実。夏場ならいざ知らず、春先のこの時期にリリーフが何試合も調子を維持できるか、と考えると、キューバが付け入る場合は試合の後半と言えそうです。

従って、バチバチに手が合った展開になれば、①序盤はキューバ投手陣が踏ん張れるか、②接戦のまま終盤のアメリカリリーフ陣に立ち向かえるか、の二点が見どころと考えます。

みどころから考える注目選手

予告先発は既に発表されており、アメリカがベテランのアダム・ウェインライト (Adam Wainwright)、キューバもベテランのロエニス・エリアス (Roenis Elías) とベテラン対決に。

つまり前項①に照らし合わせれば、エリアスの出来とその後の継投が①の焦点と考えます。

①序盤はキューバ投手陣が踏ん張れるか→ロエニス・エリアス (Roenis Elías) 

https://twitter.com/jit_digital/status/1636820205912375311?s=20

説明:
ロエニス・エリアス (Roenis Elías) は150を超える直球が光るベテラン左腕。ここまで7回を投げ自責2と上々の出来。ただし、四球こそ1と優秀なものの、三振は3つと寂しい状態。カイル・タッカー (Kyle Tucker) や トレイ・ターナー (Trea Turner) ら、コンタクト力のある打者が目覚めはじめたアメリカ相手には苦戦が予想されます。エリアスの調子を見極めどこでスイッチするのかは勿論の事、誰にスイッチするかも重要。出来れば奪三振を狙える投手が理想で、今大会の成績で考えれば、以前に紹介し今も 8.1回で12奪三振と大活躍の ミゲル・ロメロ (Miguel Romero) のロングリリーフが適当でしょう。

https://www.mlb.com/world-baseball-classic/stats/pitching/cuba

②接戦のまま終盤のアメリカリリーフ陣に立ち向かえるか→ルイス・ロバート (Luis Robert)

https://twitter.com/batealhombro/status/1631991802629697537?s=20

説明:
ルイス・ロバート (Luis Robert) はメジャーリーガー解禁後、その参加が最も注目された選手の一人。ケガは多いものの、若干25歳で既にMLBに定着しており、そのポテンシャルはリーグMVP級とも評されます。ただし今大会ここまで全く乗れておらず、打率 .227 OPS .534 、四球もHRもゼロどころか、長打そのものが二塁打一本のみ。自慢の快足で盗塁する機会も無いという大不振。それでも球団から課せられたノルマなのか、前回紹介したモンカダ、デスパイネ、あるいは ヤディ・ドレイク (Yadi Drake) のような好調の選手を固めるでもなく、ロバートを主軸に置き続けています。つまり、いくらアメリカリリーフ陣が疲弊していたとしても、ロバートの調子がこのままでは立ち向かえるわけがないという状態。主戦場であるアメリカ、そして土地柄上大きな声援が予想されるマイアミで、ルイス・ロバートが本来の活躍をする事こそ、試合が白熱するための最重要事項と考えます。

https://www.mlb.com/world-baseball-classic/stats/pitching/cuba

また、キューバが終盤に立ち向かうだろう、起用の可能性が高いアメリカのリリーフも紹介します。

デヴィン・ウィリアムス (Devin Williams)

https://twitter.com/theScoreMLB/status/1636481228592541696?s=20

説明:
現在のMLBでチェンジアップの使い手を聞かれたら、真っ先に彼を挙げるべき投手。メジャーデビュー時に衝撃を与えたそのチェンジアップは、回転軸上は「左腕の投げるスライダーと類似」という、唯一無二の変化を起こします。つまり右投げが左投手の軌道でボールを投げてくるわけですから、打つのは至難の業。20年の新人王獲得に加え、キャリア通算で155回250奪三振と図抜けた奪三振能力を誇り、今大会も2回4奪三振と好調を保ちます。打つ為には、準々決勝でアクーニャJr.が示したように、完全に一つの球種に絞って振り抜くのが現実的かもしれません。

https://www.mlb.com/world-baseball-classic/stats/pitching/united-states/innings-pitched

補足すると、今大会で守護神的な役回りをしているライアン・プレスリー (Ryan Pressly) は既に三回登板しており、優勝まで見据えた場合に休養を優先する可能性が高いです。

投球回数を考えると他にも、スライダーが特長的なアダム・オッタビーノ (Adam Ottavinoや、純粋なフォーシームの無いクセ球のケンドール・グレーブマン  (Kendall Graveman) なども登板し、デヴィン・ウィリアムスはクローザー的な起用と思われます。

その為、デヴィン・ウィリアムスに加え、その前に登場する投手にキューバ打線がどの程度食らいつけるかが、見どころ②の焦点と言えるでしょう。

何かと因縁深い両国ですが、政治的なものを取っ払った、熱い勝負なる事を心より願って、見どころまとめを終了したいと思います。



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