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⚾阿部翔太の入団は野球界の希望だ⚾

久々に普通(?)のnoteです。

今年のプロ野球ドラフト会議にて、日本生命硬式野球部の阿部翔太投手がオリックス・バファローズから支配下六位で指名されました。

彼は六年もの間、強豪・日本生命において抜群の安定感を発揮し幾度となくチームを勝利に導きました。去年の社会人野球日本選手権や社会人代表@BFAアジア大会での快投を覚えているファンも多いのではないでしょうか。

プロでは中継ぎの可能性がありますが、先発もこなすタフネスさと多彩な球種を交えた投球術で、必ずやチームの助けとなることでしょう。またその経験が、若い選手へ良い影響をもたらすと確信しています(頑張れ阿部ちゃん!)

今回は彼が指名された事実と、それが如何に野球界にとって大きな希望であるのかを書いてみたいと思います。

内容は至極当然のこと、また希望的観測も含まれることを先に断っておきます。

結論

長いので先に言っておくと、彼の入団は

「若年層から見て羨望対象となり、野球を生活の糧に出来る人を増やす希望」を持っていると考えます。

指名年齢

阿部投手は指名当時で満年齢28歳と、低年齢化が著しいドラフトにおいて超を付けて差し支えないオールドルーキーとなりました。指名当時を思い出しても「本当にあの阿部の事を指してるのか?」と何度も思考を張り巡らせたものです。

28歳で一年契約をしたという事は、仮に一年で契約が終了しても29歳という事になり、プロ野球選手の平均引退年齢が29歳であること、ドラフトの最年長指名が30歳であることを考えても相当に珍しく、期待値の高さが窺えるかと存じます。

では具体的に何が希望、それも「野球界」などと対象を大きく語る必要があるのか。もう少し掘り下げていこうと思います。

野球人口の維持及び拡大

何事も、拡大しようとしなければ維持さえ出来ないのが世の常なので、ひとまず野球界においても競技人口の拡大が急務だと仮定します。

実際にどの都市でも少年野球チームは統廃合が増え、他方大学では競技人口が微増、プロに目を向ければ独立リーグのチームが毎年のように増え、プロ野球でも16球団構想が少しずつ顔をのぞかせてきました。

つまり上の終着点は増えても下は先細る一方で、このままでは上位カテゴリに辿り着く選手の質量を保てない可能性が出てきています。

ではなぜ阿部選手の指名がこれらの事象に対する希望となりえるのでしょうか?

答えは単純で、「野球でお金をもらえる人が増える」からだと考えます。

どういう事でしょうか?

社会人野球の立ち位置

社会人野球はいわばアマチュア界のトップです。レベルと見世物としての規模感を総合するとその事実は揺るぎません。NPBの次にレベルの高い組織となるでしょう。

一方でその地位に反し社会的知名度が低く、実力ある選手が相応の脚光を浴びることが極端に少ないです。またあくまで会社員の立場で野球をする為か、実力とは別の理由で人知れず引退する選手が多くいます。

つまり高校や大学までは「職業選択として野球を継続or諦める」だったのが、野球を職業にした選手が自身の意志以外を多分に包含してその進退を決めざるを得ない、という異質な状況が起きるわけです。

これがアマチュア界のトップ、言うなれば日本でNPBの次に実力のある野球組織で当たり前のように起きているわけで、中には実力がありながら野球を続けたかった選手も居たと考えると、技術伝承の観点や将来を志す若者の羨望対象が減る点において、非常に勿体無いといえるのではないでしょうか (誤解のないようにお伝えすると私は社会人野球の大ファンです)

ですが、阿部投手のようにオールドルーキーでプロに入団した事実は以下のような希望のサイクルを強固なものにするはずです。

希望のサイクル

①ジュニア世代

上の方でお話しした通り、野球人口の拡大つまりはジュニア世代の数を増やす事が目的だと仮定します。

彼らの目線から見た羨望対象は多ければ多いほど良く、野球を始めるきっかけとなります。

②アマチュア プレイヤー

具体的には学生野球を指します。

近年の技術向上のスピードは凄まじく、このレイヤーから指導者になる事も大いに可能だと思います。またそれが仕事になる方もいらっしゃる事でしょう。

それ自体は尊いもので否定する事ではありませんが、お金を稼げていない選手が将来への投資を並行することなく競技に打ち込む状況が、当人あるいは競技人口の拡大を長期的に支えるとは思えません。

つまり形はどうであれ、サラリープレイヤーになれるステージが多い方がよく、それは廻り回ってジュニア世代の人口拡大につながるのではと考えます。

③サラリープレイヤー

野球をプレーする事でお金をもらう選手を指します。NPB,社会人野球,独立など。

このレイヤーでさえ野球のみを長年突き詰めて生活できる選手は本当に一握りです。先ほど書いた社会人野球だけでなくNPBも例外ではありません。野球があくまで娯楽の一つだと思い知る現実ですね。

ですがお金が発生するという事はそれを払うファンがいるという事であり、そのファンによって選手の社会的地位は向上し、強いては注目度も上がるわけです。NPBは当然この形態で成り立っています。

また注目度が高い、という事はそれだけジュニア世代のわかりやすい羨望対象が増えるわけで、競技人口の拡大に繋がるはずです。

つまりこのレイヤーの質量を向上させる事こそが、競技人口の拡大に寄与するわかりやすい方法になるはずです。その意味で現状の社会人野球は勿体無いですし、一つの考えとして「社会人野球からNPBに来る選手が増えたらいいのでは」と。

もちろん社会人野球とNPBには小さくない実力差があります。それでもオープン戦の段階なら社会人野球がプロの二軍に勝つのは珍しくない程度にレベルは高く、16球団構想においては20代中盤以降の真の即戦力が多く必要ではないかと思われ、阿部選手指名の事実からも、中堅どころの社会人野球の選手がプロで通用する可能性が示されています。

そんな彼らが比較的実力で区別されるプロの選手に入ったらどうなのか。球界を代表するようなスター選手が増える、少なくともその可能性を堅実に押し上げる事になるのではないでしょうか。

④指導者

どんな偉大な選手でも引退を迎えます。しかし身体は動かずとも得た技術や知識は簡単には消えません。それが羨望の眼差しを受け続け、生活のために時間を費やしたプロであるなら尚の事。誰もが知りたいニーズの高い情報となる筈です。

またジュニア世代やアマチュアプレイヤーには指導者の存在が欠かせません。その指導者の質に知名度というスパイスが加わると、彼らもまた羨望対象となります。という事は彼らもまたお金を稼げる野球人になれるのではないでしょうか。

まとめ

こうして羨望対象を拡大する事で競技人口を増やし、需要と供給を比例させながら競技そのものが発展できる、阿部選手の入団にはそうした明るい未来があるのではと感じ、この note をとりました。

実際オリックスがそういった意図で獲得したか、NPB関係者がどう感じたか、それはこの際どうでもいい事です。

実力のある選手に相応の憧れが向けられ、その知見が還元される事こそ業界にとって何よりの潤滑油なわけですから。

そうした人口拡大のサイクルが強固なものとなる、きっかけになれば嬉しく思います。

P.S.

もう一回だけ言いますが、私は社会人野球のファンで、JABAはおろかMHPSかずさ鹿島に北ガスなど、多くの後援会に有料で入会しています。

ですので社会人野球を潰してプロに~~なんて言っておらず、あるいは以ての外で、社業と野球を両立させ、社員に奉仕する企業チーム独特の熱さ。また、普段は一般企業に勤めながらも休日を中心に活動し、独自のリーグ戦や時には企業チームに挑むクラブチームの面白さはそのまま残すべきだと考えています。

一方で、様々な理由で社会人野球界に残れないが確かな実力があり、かといって技術向上が著しいエリート学生達を差し置いてまで指名はされない選手を多く目にしてきたので、阿部選手の指名は考えれば考えるほどうれしく、それでいて大きな意味があったと感じています。

阿部選手の存在や、ほんと僅かながらでもこの note で、社会人野球見てみようかなと思った方がいらっしゃれば幸いです。面白いのに観客少なくて居心地いいですよ。

(画像はhttps://mainichi.jp/ama-baseball/articles/20200712/ddl/k33/050/254000cより)

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