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怒ることができる教師がいい教師?

みなさん、はじめまして。日本語教師のぱんだです。2019年からTwitter,2020年はWeibo,Bilibiliを開始しましたので、もっと発信力をつけたいとの思いでnoteも初参戦いたします。

そんな私の記念すべき初回のテーマに選んだのが「怒れる教師がいい教師なのか」です。(※実は怒るという表現は好きではないので、ここではきつめの指導や、厳し目の注意などのようなニュアンスでお願いします。笑)

とある事件

このテーマを考えるようになったのはある事件がきっかけです。担任しているクラスの1つ(学年優秀の真面目軍団、学校のホープ)の女子留学生と非常勤先生との間にそれは起こりました。

ある日、私は授業がなく教務室で事務作業を行っていると「いやぁぁぁ!」「ドンっ!!!」「バン!!!」と、それはそれは大きい女子学生の声と、何やら物音。すぐ様子を確認に行くも、女子学生はすでに早退していました。

その非常勤の先生に話を聞くも「あいつはずっとipad見ている上、無視した。それに今回だけじゃない。言ってないが、よくある。この学校はあんな学生受け入れてるなんて、信じられない。この学校は本当に質が悪い。あいつだけじゃない・・・・・」永遠にご意見が止まらずかなりご立腹の様子。

学生の不真面目な行為で非常勤の方に不愉快な思いをさせてしまったことには何度も謝罪しました。ただ、「あんな学生を受け入れるなんて」・・・?ここにどうしても違和感がありました。冒頭でも書いたようにこのクラスは学校でもダントツの優秀クラスであり、他の先生が授業をされているときにそのようなことが起こったことなく、楽しく授業ができるクラスだからです。

非常勤の先生の熱が冷めたころに展開が悪くなります。早退した女子学生はエージェントにクレームを伝えにいき、エージェントさんが大激怒。「もうおたくに学生は送りませんよ!」と。

中国系No1エージェントなんで、そんなことされたらうちは学生確保できません。エージェントいわく、女子学生は泣きじゃくっており、先生が怖いのでこれから通学したくない。体罰もあったと。。これをきっかけに学校全体で事件の真相を深堀することになりました。

うちの学校には各教室にカメラが設置されています。録画内容は、ipadを片付けない学生を遠回りに先生が注意されていました。

先生:お前、大学に行かないのか。

学生:先生に関係ありません。

先生:関係ないのか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(一度教卓へ戻り、教卓を思いっきり叩く)バン!

女子学生の元に近づき、腕を思いっきり引っ張り無理やり立たせる。

学生:やぁぁぁぁぁ!!!

先生:帰れぇ!!!!出て行けぇ!!!

そして、女子学生は走って出て行きました。

簡単に説明すると、学生に無視され怒った先生が手をあげたということ。この映像を見て、びっくりしたのは2つ。

・どうして言葉で注意できることに対して手を出してしまったのか。

・どうして周りのクラスメイトたちは何事もなく座っているだけなのか。

特に2つ目に関しては、本当に驚きました。なぜクラス内が授業状態じゃないにも関わらず、平然としていられるのか。みんな当事者を見ることもなく、自分の席で自習しているだけでした。。

学生の意見

すぐクラスの学生に事情を聞くと「先週もあったから驚かない。」「あの先生はよく怒っているよ。」と。先生が怒ることが日常化になっている様子でした。怒る内容は・授業内の携帯・無断でトイレ・筆記用具不携帯 というもの。(ここの内容で注意するかについてはまた別の記事で書ければ!)

もちろん、間違えたことをしている学生に注意するのも教師の仕事。ただ、映像で先生がしていたこと、あれは注意ではなく、ストレス発散でした。自分の意見を聞いてくれない学生に八つ当たりして、怒る原因を作っているようにも見えました。

学校とエージェントの話し合いの結果、その非常勤の先生は担当クラスを変更するということで落ち着きました。クラスの学生達にもそのむねを伝えると、とある学生が

「悪いことをしていたのは女子学生です。その子は反省しているんですか。怒って、正しいことをやった先生が移動になるのはおかしい。このような形で移動になると先生のキャリアにも影響が出るんじゃないですか。この学校で怒ってくれるのはあの先生だけです。」(あれ?あなた事件のとき寝てたよね?)とも思いつつ、この学生の発言には考えさせられました。

そして、非常勤の先生もこの学生になら怒っていても問題にはなっていなかったんだろうなと思いました。それはこの学生が優秀だからではありません。この学生と非常勤の先生の間に関係性が築けていると思ったからです。

トラブルになりやすい先生の特徴

実はこの非常勤の先生、学生とのトラブルが絶えない方でした。理由としては「授業を聞いてくれない学生への注意」から学生の反感を買ってしまうのですが、注意・指導なら他の先生もされてます。なのに、なぜ学生の反応が違うのでしょう。どうしてトラブルに発展してしまうのでしょう。この先生に限らずよく学生と対立してしまう先生の特徴を考えてみました。

真面目すぎる(悪く言えば頭が硬い)
  →ルールに縛られすぎる、応用がきかない。
高学歴(あくまで統計)
  →ご自身の経験の勉強スタイルと比較しすぎている。
日本語教師SOSが強い
  →S:仕切りたがり O:教えたがり S:喋りたがり
学生のことを知らない

一つずつ説明すると長くなってしまうので、私が特に言いたいのは4点目の「学生のことを知らない」です。トラブルが多い先生って、学生の趣味、留学理由、ましてやフルネームを知らない、と「相手のことを知らない」という方、とても多く感じます。こういった先生の授業に、学生が興味を持ちますか。怒られて反省しますか。

こういった先生は、確かにカリキュラム通りに授業をこなしてくださっていたと思いますが、人対人として生きた授業をしてくださっていたのか疑問に思います。

怒るまえに、そして授業の前提条件として

学生のためになるよう、長い時間かけて準備した授業を学生に聞いてもらいたい気持ちは分かります。ただ、授業の前に「自分と学生との関係性」を少しでも考えて欲しいです。ここでいう関係性は関係の度合いのことです。このトラブルのあった先生でいうとクラスの大半の学生からは名前も知られておらず「よく怒ってる先生」という認識しかありませんでした。このような薄い関係の相手から突然怒られて何か変わりますか。

近年、学習態度の悪い学生に対し「学生の自由、授業の邪魔しなければいい、自己責任」と、注意されない先生が増えてきたと思います。私もそうです。その中でも、自分の時間や体力を使って、間違ったことを教育できる・怒ることのできる先生って純粋にすごいと思います。なので、怒れる先生はいい先生かでいうと、いい先生だと思います。今の日本語業界で希少な存在だと思います。希少といっているのは、怒れるぐらい学生と関係性が築けている・そして正しく怒れる先生が少ないということです。一方で、自分のスタイルを通したいばかりに、授業崩壊しているのを学生のせいにして学生を威圧している先生は増えているのではないでしょうか。

怒りそうになる前に、授業を始める前に一度「自分と学生の関係性」を考えてみると学生に対してまた違うアクションができるのではないかと思っています。

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